Rob Papen社プラグイン製品のうち、eXplorer IIにも含まれるRP-DELAY、RP-VERB、RP-DISTORTという3種はエフェクト・プラグインで、他にもう1種PREDATORはシンセサイザー製品でありながら、エフェクトとしても起動することができます。
個人的にエフェクトの使い方はある程度の基本というか、定番はあっても「こうしなければならない」ということはないと思っているので、「結果が良ければそれが正解」で良いのではないかとも思っています。
が。
近年のDAWソフトウェアの急激な進化によって便利になった分、良くも悪くも意識しないで使えてしまう点が増えたせいか、改めて考えてみたらエフェクトを起動する場所の違いが良くわからないという質問を受けることがあります。
そこで、今回はエフェクトの使用方法ではなく、ルーティング(信号の流れ)について簡単に説明してみようと思います。
エフェクトを使用する場合、初めにインサートかセンドかを選ぶことになります。このインサートとセンドの違いがそもそも何か?という点と、ではセンドはどういうときに使うのか?という点で混乱することがあるようですので、その辺りを順番に書いてみます。
インサート
原音そのものを変化させる場合、インサート・エフェクトとして使用します。
図にしてみるとこういうことになります。
元の音をエフェクターに通すと、エフェクトが掛かった音が出てきます。コンプレッサーやイコライザーなど、原音そのものを加工する場合にはエフェクトをインサートしますね。Rob Papenプラグイン・エフェクトではRP-DISTORTがインサート・エフェクトの代表選手です。
センド
読んでそのまま、エフェクトにセンド(送る)します。
図にするとこうなります。
この場合、元の音とエフェクトで加工された音が同時に鳴ることになるので、原音にエフェクト効果を足したいときに使用するということになるでしょうか。
例えばディレイを掛けるときに原音がなければただ元の音が遅れるだけで「何が!?」ということになってしまいますし、リバーブの原音がなければただもわもわしているだけになってしまいます。わざとそういう効果を狙う場合ももちろんあると思うので、やはり「結果が良ければそれが正解」で良い。なのです。
Dry / Wet(ドライ/ウェット)
Dry / Wetのノブがついたエフェクトは世の中にたくさんあります。もちろんすべてのRob Papenエフェクト・ラインにも搭載されていますが、このノブはDry(原音)とWet(エフェクト音)のバランスを取るために使用します。
▶ RP-VERB
これによって、センド・エフェクトのように原音を残しておきたいエフェクトを使用する場合にもDAWソフトのインサート・スロットに起動することができます。Dry / Wetはソフトウェアによっては多少表示が異なり、RP-VERBではDry / Wetと表示されますが、RP-DELAYではmixと表示されます(画像赤枠)。
RP-DELAYはセンド・エフェクトとしての使用を前提としているため、デフォルトではmixのノブはWet100%(エフェクト音のみ)に設定されています。変更する場合はsendボタンを解除します(画像黄枠部分)。
話しが逸れました。
エフェクトに関する質問を受ける中で、「Dry / Wetの機能があるのにどうしてセンド・エフェクトを使用するのか?」という内容がたまに出てきます。答えは複数のトラックからひとつのエフェクトにルーティングする場合があるからですね。
上の図でトラック1から6すべてにリバーブを掛けようと思ったなら、マスターアウトにリバーブを掛ければ良いのですが、トラック3と5には掛けたくないというような場合にはAUX(Auxiliary:オグジュアリ)やBus(バス)などを使用してエフェクトを掛けたいトラックの信号をリバーブに送ってあげる必要が出てきます。
例えば複数のトラックにレコーディングしたコーラスなどに同じリバーブを掛けてまとまりを出すというような使用方法はわりとポピュラーだと思いますし、ハイスペックを求められるエフェクトを使用する場合に各トラックにではなくAUXで1台のみ起動することでマシンパワーを節約する、という場合もあるかもしれません。
さて、エフェクトのルーティングについて簡単に解説してみましたがいかがだったでしょうか?
冒頭に書いた通り、エフェクトの使い方に「こうしなければならない」はないと思いますが、基本も知っておいて損はないですよね。その上で、自由な発想でサウンドメイクを楽しんでください。
投稿者:Support I
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