コンピュータの性能が向上するにつれ、近年ではソフトウェアも日々進化する性能と、際限なく追加されていく機能。ひとつのソフトウェアの機能の中でも一生使わない機能があるとしても、何ら珍しくなくなりました。そんな複雑なソフトウェアが溢れる中、今回ご紹介するRob Papen社のSubBoomBassは、ベースに焦点を定めることで使い易く、直感的でありながら、迫力あるハイクオリティなサウンド作りが可能となっています。
■ まずは外観から
初期状態のSubBoomBassは、必要最低限の表示のみが行なわれているので、見た目にもシンプルです。
画面上部をパッと見るとわかるように、音作りは2つのオシレーターとフィルター、それからアンプで行ないます。
オシレーター、フィルター、アンプ部分のノブはすべて表示されているので、音楽制作に最も関係ない「機能を探す」という手間がかかりません。オシレーターのどちらか、または両方のオシレーターを有効にして、65種類のWAVEFORMを選択、AMPセクションでADSR設定を行なったら、あとはフィルターでサウンドに動きを与えたり。それだけで十分使えるサウンドが作れます。
SubBoomBassには通常のADSRの他にFadeというセクションが搭載されています。FadeはAttack – Decay – Sustainを通過した後で、もう一度Attackレベルに到達させることや、もちろん使用しないこともできます。例えば、最速のAttackでDecayに信号をわたし、150ms程度でSustainを0%、その後Fadeを300ms程度に設定すると、このようになります。
Fade デモサウンド
簡単に動きのあるサウンドができてしまいました。サウンド作成と言えばモノ/ポリフォニックの設定やポルタメント、ユニゾンなどの設定も重要要素ですね。SubBoomBassでは画面左下にPLAY MODEとPITCH LFOなどの設定がまとめてあります。
太くてパンチのあるサウンドが必要ならUnisonを使えば一発です。SubBoomBassのUnisonは以下の種類から選択できます。
- Oct(1オクターブ下のサウンドを加えます)
- 2(2ボイスのユニゾンです)
- 2+Oct(2ボイスのユニゾンに1オクターブ下のサウンドを加えます)
- 4(4ボイスのユニゾンです)
- 4+Oct(4ボイスのユニゾンに1オクターブ下のサウンドを加えます)
- 6(6ボイスのユニゾンです)
- 6+Oct(6ボイスのユニゾンに1オクターブ下のサウンドを加えます)
試しに6+OctのサウンドにDetuneを若干かけたサウンドを聴いてみてください。
※Detuneはユニゾンのサウンドのピッチを変更してサウンドに厚みを持たせます
原音
6+Octユニゾン
ユニゾンを選択しただけで凶暴なサウンドに変身しましたね。ベースだけではなくて、もちろんリードサウンドにも強力な武器になるのでいろいろ試してみるとおもしろいと思います。
「SubBoomBassは簡単ですよ」というテーマで機能に触れてきましたが、ここまで読んでも「まだ面倒だ!」という方にはEASY MODEがオススメです。
必要最低限の機能を残した究極のイージーモードです。プリセットを選んでちょっと加工して……という使用方法とかなり相性が良いモードになっています。
■ 隠された機能に迫る!
さて、ここまではSubBoomBassを簡単にサラッと使う紹介をしてきました。ここからはSubBoomBassの隠された機能に触れてみます。
SubBoomBassの画面下半分には、普段隠されているステップシーケンサーやフリーモジュレーション、エフェクトの項目があります。それぞれのSEQUENCER、FREE MODS、FXというボタンをクリックすることで表示されます。
【SEQUENCER】
16ステップのオーソドックスなステップシーケンサーで、AとB、2種類のシーケンスを組むコトができます。A/Bのシーケンスを交互に鳴らすこともできるので、最大32ステップシーケンサーとして使用可能です。
TUNE項目にセミトーンを数値入力すると、リズムだけでなくフレーズを組むことも可能で、KEY ENTRYを有効にしていると、接続しているMIDIキーボードから入力することもできます。ステップシーケンサーを使用する場合は、PlayModeでSeqを選択しておく必要があります。
試しに以下の画像のようにシーケンスA/Bを組んで、交互に再生するように設定してみました。
ステップシーケンサー
指一本でMIDIキーボードを押えているだけで演奏できてしまいます。また、SubBoomBassのオシレーターに搭載された豊富なWaveFormには打楽器のサンプル波形も含まれるので、パーカッション風のサウンドも得意です。Sequencerと組み合わせるとおもしろい効果が期待できますよ。
パーカッション風のサウンド
【FREE MODS】
SubBoomBassの中で最もややこしい部分と言えます。とは言っても、難しいことは何もなくて、EnvelopeやLFO、その他にもMIDI CCの信号を使用して、自由にオシレーターやフィルター、アンプを変調させて遊びましょう!っていう部分だと思ってください。
各項目のDESTで何を変調させるかを決めて、AMOUNTで適用量を決めます。例えばLFOのDESTでフィルターのCutOffを選択して、AMOUNTを適度に設定すると、SPEEDで設定した周波数でカットオフが自動で開いたり閉じたりする、というような使い方ができます。
【FX】
歪みもの、空間系、時間系から飛び道具まで、使い勝手の良いエフェクトが24種類搭載されています。2系統同時に使用することができます。
SubBoomBassのエフェクトで面白いところは、エフェクトの中にもモジュレーションが用意されているところで、ノートが高音になるに連れて深くなるリバーブや、SequencerのVelの数値に連動して歪み量を変えるディストーションや、他にも色々なアイディアが思い浮かびますが、エフェクトのアイディアの幅を一気に広げてくれています。
駆け足でご紹介いたしましたが、SubBoomBassの魅力を少しでもお伝えできたでしょうか?
「ソフトウェアの勉強をする時間よりも、音楽制作する時間が欲しいんだ!」という人で、ベース音源を探している人には、ぜひ一度お試しいただきたいと思います!