前回はFabFilterのインストゥルメントからOneを紹介しました。
今回も前回に引き続きインストゥルメントのラインナップから、もうひとつのソフトウェアシンセサイザー、Twin2を紹介します。
Twin2はこの連載の2〜3回目で解説したVolcano2の兄弟のようなソフトウェアで、コンセプトも同じく『What-you-use-is-what-you-see』で、シンプルな見た目と判りやすい操作感を持っています。
Twin2はこんなシンセ
初めに、Twin2の概要はオフィシャルのこの動画をごらんください。
ここでは主に機能解説を行ないます。
まずTwin2の表面上の見た目はこのようになっています。
左から3つのオシレータ、2つのフィルタ、マスターチューンとポルタメント、メインのエンベロープ・ジェネレータ、最後にディレイのセクションがあります。
合わせて設定する部分では画面再下部のセクションも重要です。
MIDI Learn:MIDI Learnという文字をクリックしてラーニングモードオン。操作したい項目をクリック/選択してMIDIコントローラから信号を送信してラーニング。下向きの三角ボタンをクリックするとMIDIマッピング情報のクリアやセーブ/ロードが行なえます。
- Poly/Mono:クリックして開くメニューからポリフォニックとモノフォニックを切り替えます。
- Voices:同時発音数を設定します。最大32ボイスです。
- Unison:ユニゾン数を設定します。最大32まで設定できます。
※VoiceとUnisonは相互関係にあるので設定には注意が必要です。
仮にVoicesを8に設定した場合にもUnisonが8に設定されている場合には、同時発音数は1で8ユニゾンのボイスが発音します。
- Spread:ユニゾンのボイス設定をしている場合に、サウンドにデチューンとステレオの広がりを与えます。
- Output:Twin2のサウンドとサイドチェイン入力中のオーディオ信号のモニター切り替えが行なえます。Twin2のモジュレーションのEnvelope GeneratorとEnvelope Followerはサイドチェイン信号でリトリガー可能です。
- STEREO:ステレオの左右の広がりを調整します。
- Out:マスターボリュームです。クリックしてノブを表示するとパンの調整も行なえます。
それでは本題です。
まずはオシレータセクションから見て行きます。
オシレータのコンポーネントボタン(波形が表示されているアイコン)にカーソルを合わせると、ポップアップウィンドウが表示されます。
コンポーネントボタンを縦にドラッグするとオクターブ切り替え、横にドラッグするとデチューンの調整が行ないます。
同じくコマンド(winの場合はコントロール)+縦ドラッグで波形の切り替え、コマンド(winの場合はコントロール)+横ドラッグでSyncの設定を行ないます。
Syncは1に設定している時に変化なし、数値を上げて行くとハーモニクスと金属的な響きをサウンドに加えます。
シフトキーを押しながらドラッグすることで、縦または横を固定して操作することもできます。
ノブで調整を行なう場合、または値を直接指定する場合はコンポーネントボタンをクリックします。
パルスワイズモジュレーションの設定はこの拡張パネルからのみ調整可能です。
続いてフィルターセクションです。
2つのフィルターはプルダウンメニューでルーティングを選択できます。
Serial(直列)、Parallel(並列)、Per Osc(オシレータに対して1台ずつ)の3種類です。
フィルターの場合もコンポーネントボタンにカーソルを合わせると、ポップアップウィンドウが表示されます。
縦のドラッグでピーク、横のドラッグでカットオフ、コマンド(winの場合はコントロール)+縦ドラッグでLP、BP、HPの切り替え、コマンド(winの場合はコントロール)+横ドラッグでフィルターのパンニングを設定します。
フィルターもコンポーネントボタンをクリックして詳細を表示します。
ピーク、カットオフ、LP、BP、HPの切り替え、パンニング設定の他に、フィルターの12dB、24dB、48dBの選択ができます。
フィルターのパネルはVolcano2にそっくりですね。
ここでは2つのフィルターは常にリンクされているので、1と2のハンドルをドラッグして個別設定の他に、間のリンクハンドルをドラッグすると2つ同時にコントロールできます。
他にもキーボードのキーを併用したクリック/ドラッグで様々な動作をします。
- コマンド(winの場合はコントロール)+ハンドルをクリック:LP、BP、HPを切り替え
- シフト+ハンドルをクリック:各フィルターの12dB、24dB、48dBを切り替え
- Alt+ドラッグ:1または2のハンドルをドラッグしている場合にもAltを押すことでリンクハンドルの動作に変更
- Alt+コマンド(winの場合はコントロール)+ドラッグ:2つのフィルターはリンクハンドルを中心に相対的に動作
このドラッグの辺りは文章では判りづらいので後ほど動画でご案内します。
最後にディレイセクションです。
ステレオディレイと、ディレイ音にのみ掛かるフィルターが用意されています。
フィルターは前項のフィルターセクションと同様にシリアル、パラレル、パー・オシレータからルーティング可能で、機能もまったく同じものが用意されています。
ドライ/ウェットは独立したノブでそれぞれボリュームとパンニングを調整できます。
WETボリュームノブの下にはOn/Offスイッチがあり、IでOn、OでOff、カギのマークの着いたオフボタンを有効にしている場合、プリセット変更後、変更先のプリセットがディレイを使用している場合にも、強制的にオフにします。
ディレイセクションのコンポーネントボタン。
ご想像の通り、カーソルを合わせるとポップアップウィンドウが表示されます。
縦ドラッグでフィードバック、横ドラッグでディレイタイム、コマンド(winの場合はコントロール)+縦ドラッグでクロスフィードバック、コマンド(winの場合はコントロール)+横ドラッグでSyncの設定を行ないます。
この場合のSyncはテンポシンクです。
左右のディレイの間にあるカギのマークをクリックすると、L/Rディレイをリンクして、同じ設定で動作させます。
Twin2が先かVolcano2が先か?
画面中央のMODULATIONをクリックすると、強力なモジュレーションソースが表示されます。
この連載の過去記事をお読みいただいた方にはピンとくるのではないかと思いますが、Volcano2と同じモジュレーションソースがあります。
果たしてTwin2からフィルターを抜き出したのがVolcano2なのか、Volcano2にシンセとディレイを搭載したのがTwin2なのか、謎が謎を呼んで次回、つづく。
いや、つづかないですが、このモジュレーションについてはVolcano2の後編で猛烈に解説しているので、そちらをご参照いただきたい次第です。
VOLCANO 2はシンプルな操作で、隠し味からキレッキレのサウンドやトリッキーなサウンドまで守備範囲広し。後編
それでは最後にフィルターのハンドルのクリック/ドラッグとキーボードの合わせ技で文章では判りづらいところの動画をどうぞ。
Alt+コマンドで相対的に動作させるフィルターは、強烈な使い方はもちろんですが、LPとHPを補い合うような使用方法も面白かったりします。
Twin2は独特の操作感を持っていますが、慣れるとコンポーネントボタンでほぼ事足りるのと、思いついたイメージは多彩なモジュレーションソースで柔軟に実現できるという辺りが魅力的なシンセサイザーです。
是非一度試してみてくださいね!