You are currently viewing FabFilter Tips vol.76

FabFilter Tips vol.76

このところ…

気温が落ち着かなくて体が疲れちゃいますね。肩が凝りやすく、あんまり肩や首が凝ると音の聴こえ方も左右されるので気を付けたいところです。

さて、いよいよ3月。暖かくなる日が待ち遠しいです。今春から新生活を始めるみなさんはきっと今はドキドキですね。いろんなことがあると思いますが、すべてを楽しんでいきましょう!

ギターとは違うリバーブをかけてみる

前回はギターとボーカルに同じリバーブをかけてみましたが、今回は別の物を使ってみようと思います。

ギターにはステレオリバーブをかけて広がりを与えていますが、ボーカルはセンターに定位しているもので「もしかしたら広げなくてもいいかも」という仮説のもと、モノラルのリバーブを使用してみようと思います。これは、この方法をお勧めするというか、実験的要素が強いですね。

今まで私がお伝えしてきた感じだと「同じ空気感の中にあった方が良さそう」だという価値観でしたが、それがすべてではないということで、今回は別のリバーブを使ってみようということになりました。

ボーカルに使うモノラルリバーブは何を選んでみるか

せっかくオケ(ギターとは)別にリバーブを用意するのであれば、同じタイプのものでも…なんて思いますよね。

私もそう思います。が、あえて「同じリバーブのモノラル版」を試してみましょう。そうするには、同じ設定の方がよりいい比較ができそうです。ということでギターに使用しているパラメーター値を保存してオリジナルのプリセットを作っておきましょう。

オリジナルのプリセットを作る

まず、ギターに使用しているインスタンスを表示させましょう。

次にプリセットを選択するプルダウンメニューから「Save As…」を選びます。

適当な(いい加減という意味ではない「適している」)名前をつけ、保存先を確認し、保存を押します。

デフォルトではファクトリープリセットと同じフォルダが指定されています。プリセットが保存されているフォルダ内に新しくフォルダを作ると、プリセット内でタイプ別にブラウジングしやすく便利ですよ。念のため保存したプリセットが表示されるかも確認しておいてくださいね。

かけてみた

ボーカル用に使用するバストラックを作り、そこにモノラルのPro-Rをインサートしましょう。

立ち上げたら先ほど作ったプリセットをロードしたら完了です。

イヤフォン、ヘッドフォンで聴いてみてください。

同じリバーブをかけた前回

同じリバーブをボーカルにだけモノラルで別にかけた今回

この場合、かかり具合をそれぞれ別に調整できるのがいいですね。ただ別にして、ステレオ/モノラルを使い分けただけですが、雰囲気も異なりますね。ステレオでかけた方がほんのりと広がりのある感じになっていていいですし、モノラルの方がボーカルがしっかりと中央に位置していることが際立ちますし…。

作り出したい雰囲気で使い分けたらいいかな、なんて思っています。

違うタイプのリバーブを使ってみる

次に、ボーカルの雰囲気に合わせたリバーブタイプを選んで使ってみましょう。

前にも紹介した通り、Pro-Rにはリバーブのタイプを選択するパラメーターはありません。基本的にはBRIGHTNESS、CHARACTER、SPACEなどを駆使して作っていくような感じです。SPACEにはメモリにアイコンが書いてあり、それがタイプをイメージするためのヒントにもなっています。

まぁ数値で100%決めるわけではなく、聴いたイメージで「こんな感じがいいかな?」と耳で判断するのが一番いいと思います。

結局、どんな印象?

「そんなこと言われたってわかんねーっす。」という意見もあると思いますが!それを必死に想像してイメージに近い音に近づけていくことも大切だと思いますよ。Don’t think! Feel. ですよ。ギタリストが理想の音に近づくように工夫を繰り返すのと(ほぼ)同じです。

ですが、Pro-Rにはプリセットもたくさん搭載されているので、イメージに近そうなプリセット名を使ってみて、それをスタートに音作りをするのも良いと思います。

今回は「Vocal Wood Room」を選択しました。

イメージとしてはあたたかな響きでありながら声に「残り香を感じさせる」ことにしました。

先ほどのプリセットよりもリバーブタイムは短めですが、こっちの方がより響きを感じさせてくれています。 ボーカルのスナガイさんの声が素敵なのでオリジナルのミックスのままで充分だと思いますが、それではこのコラムが成り立たなくなってしまいますよね(笑)。うまく表現できていれば嬉しいのですが…

まとめ

今回は、オケに当たるギターとメインのボーカルに別のリバーブをかけてみてそこで棲み分けができるのかというテーマで進めてみました。

アンサンブルの一体感を求めて同じ空気感を持たせるために同じリバーブをかけるのもいいとは思いますが、それぞれのソースをより良く輝かせるためにこだわった結果が個別にリバーブをかけるという結果ならそれも良いと思いますよ。

スナノツカ

喪失グラビティ

福地 智也

Jimmy Nolen、Nile Rodgers等に影響を受け、 Blues, Soul, Funkをこよなく愛す。ギタープレーヤーとして杏里、倖田來未、片瀬那奈、さんみゅ~、楠田亜衣奈等のレコーディング、佐藤康恵のライブに参加、同サポートバンドでは、バンドマスターを務める。ギター 演奏、音楽制作のみならず、楽器、DAWのセミナー、デモンストレーションでは、難しい用語を使わずに、誰にでもわかりやすい内容が評価を受けてい る。 https://www.dopewire.net/