ディレイとリバーブの印象の違い
梅雨入り前にけっこうな雨が降りましたね。
アコースティック楽器を持っている人はコンディションが心配になる季節ですね。湿度が音に影響したりネックが反ったりと心配事が絶えません。
そうそう、先日インタビューに伺ったときに大雨に降られまして電車は止まるし、駅まで車で送っていただけたものの水没しそうなくらい雨水が溢れていたり…楽しかったインタビューの熱を冷静に冷ましてくれた雨でした。
鋭意原稿を作成中ですので楽しみにお待ちくださいね。
ディレイ
前回までリバーブで残響音をつけるということをお伝えしていましたが、今回からはディレイについてお話していこうかと思っています(いずれ両方を合わせた音作りになっていくのですが…)。
この記事で紹介してきたシリーズのPro-xxという名称ではなく「Timeless 3」というプラグインになります。
Proシリーズとそれ以外になんの差があるかわかりませんが、パッと見たところUIに関する基本的なコンセプトは踏襲されているようですね。視認性の高さはFabFilter製品に共通するところです。
加えてモジュレーションがかけられるようになっていて、積極的な音作りもできるようになっています。
リバーブだけで残響を賄おうとするとふわっとしすぎてしまうとき、ディレイを使うとスッキリさせることができます。また、音を包み込むようなリバーブと違って、ディレイは原音の後にディレイ音がついてくるので、原音をはっきりさせつつ残響を付けたい場合に有効です。
テンポに合わせる合わせない?
ディレイで最初に調整するのはディレイタイムだと思うのですが、これをやみくもに設定しても良い結果を生み出しにくいです。
昭和の時代にはディレイタイムを計算した表があって、テンポXXの時、四分音符ならXXXms、八分音符ならXXmsというように早見表をみてテンポに合わせていました。 なぜテンポに合わせるのか、それはテンポに合わせたディレイと合わせていないものを聴き比べてみましょう。
今回も原かの子さんの曲を使用させてもらいます。そしてディレイのテンポがあってるかどうかをわかりやすくするためにテンポに合っているものと合っていないものを用意しました。
まず、テンポが合っているもの。
次にテンポに合わせていないもの。
聴き比べてどうでしょう?テンポに合わせている方がすっきり美しく聴こえますね。
そしてプラグインの場合は、ほぼ100%DAWのテンポに合わせられるようになっています(あえて合わせないということもできますけど)。あとは四分音符、八分音符、付点八分などタイミングを選択するだけですね。
この設定は中央にある一番大きなノブ「DELAY」の右上にあるメトロノームマークをクリックすると設定画面が表示されます。
この場合、DAW側で設定しているテンポとシンクするので便利ですね。
一番上のFreeを選択した場合、ノブ下の「Delay」という文字の上にマウスのポインターを合わせると、「TAP」という表示に変わり、自分がタップしたテンポに合わせてディレイタイムが設定されるようになります。テンポがわからない曲のミックスを頼まれたときに便利ですね(本来はファイル名にテンポを記入しておくべきですが)。
リピート回数はどれくらい?
ディレイの重要なパラメーターの一つに「Feedback」があります。
これはディレイ音を何回繰り返すかを設定するのですが、どれくらいの長さが良いんでしょう?
個人的には少な目が好きです。
少な目だとこんな感じです。
少し多めだとこんな感じです。
短いディレイタイムで多くのフィードバックを適用すると繰り返される音が重なり続けて音がグチャグチャになってしまいます。歌が短めの音符で文字数多めに歌われている場合、一つ一つの言葉を聴きとりにくくしてしまうかもしれません。
細かいメロディの場合は、短めのディレイタイム+少な目のフィードバックで使用することをお勧めします。
声の余韻を感じさせるようなディレイっていい雰囲気だと思いますよ。
次回は左右のディレイタイムの調整によっておこる変化も試してみたいと思います。