リバーブ?ディレイ?
みなさん、ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたか?
私は北海道に行ったり、BBQしたり、自宅で飲み会したりと満喫しました。若いころはオフの重要性を理解していなかったけど、最近はオフをしっかりとることでパフォーマンスが上がるのかなと思うようになりました。
音楽もそうですね。好みにもよりますが音がずっと出続けたままの状態では聴いていても疲れちゃいますよね。
歌もブレスを入れないと歌えないですしね。
自分的な観点ですけど、音が出ている瞬間も当然大切ですが、出ていない時間をどうコントロールするかもとても重要な気がします。音の隙間をうまく使えると魅力が増すんじゃないかなぁ…なんて思っています。
さて、今回からリバーブ、ディレイに関してお届けしようと思っています。
2つの残響音をどう使う?
どちらも残響音を扱うエフェクトですが、それぞれに特徴や役割があります。
イメージ的にいうとリバーブは、お風呂の中で歌ったときのような感じで残響音に包まれる感じがしますね。一方のディレイは、やまびこのようにエフェクト音が後からついてくる感じです。
リバーブを深くかけるとリバーブ音にまみれて音が遠く奥の方へ行ってしまいます。ディレイを深くかけすぎると原音がどこにあるかわからないほど音がぐちゃぐちゃになります。
どちらも適度な値である場合は素晴らしい効果を与えてくれますが、やり過ぎるとカオスな結果を生んでしまうので両方のいいところを引き出して効果的な残響を作り出せるようになりたいですね。
リバーブについて考える
ここでリバーブとはなんぞや?という話もナンセンスなので、プラグインエフェクト、特にPro-Rでリバーブをかける場合についてお話していきたいと思っています。
リバーブにはギターアンプで使われているようなスプリングやプレートなど構造に由来する名称のものもあれば、ホールやルーム、カテドラル(チャーチ)のように建物を指しているものもあります。構造に由来するものはそれが持つ独特なサウンドを再現していますし、建物を意味しているものはそれの広さを再現しています。
ただ、Pro-Rの場合は、そういったタイプを選択するパラメーターはなく、中央にあるSPACEというパラメーターがその役割を兼ねています。
その違いを確認してみることにしましょう。
SPACEの大きさを確かめてみる
SPACEというパラメーターにはスモールアンビエント(200ms)からカテドラル(10Sec)までを選択可能な6個のアイコンがついていて、時計回りに回すほどスペースが大きくなっていく設定になっています。実際には12個のルームモデルを選択できるようです。
まずはドライ(なにもかかっていない音)を聴いてみましょう。
今回も原かの子さんの曲を使わせてもらっていますが、歌のみで聴かれるとシンガーさんは恥ずかしいでしょうね(原さん、スミマセン)。
一番小さな値を試してみましょう。
値は0.20sと表示されています。0.2秒の残響が残っているわけですが、ドライ時よりも少しどこかの部屋にいる感が出てきました。
ちょっと冷たく感じるのはリバーブ成分の高域が目立つからかなぁ…と分析します。コンクリート打ちっ放しなどの硬い材質の壁である場合、音をよく反射するのでこのような結果になりやすいですね。
これが和室だったりすると全然質が違うことになると思いますし、床が絨毯で壁も柔らかい素材の場合は吸音もされるので響き方がかわりますね。
リバーブの音色を考えるとき、アレンジや音色に合わせてどんな響きがいいのか考えることも大切です。 ギラギラのサウンドにさらにギラギラしたリバーブが合うか、それともうるさくなってしまうか…この辺の選択もセンスですね。
森元さん、熊本さんにインタビューさせて頂いた時も「センス」というワードはちょくちょく出てきたような気がします。
Pro-Rではリバーブ音にEQをかけることができます。
上段の青い曲線は、イコライザーというよりもディケイがどれくらい早く減衰していくかを調整するものとしてとらえた方がわかりやすいでしょう。その他のパラメーターとバランスをとりながら好みの音色に仕上げるために視覚的にも確認しつつ調整できるのでイメージがつかみやすいですね。
下段の黄色い曲線はディレイ音をイコライジングするために使用します。
この図では600Hzあたりを中心に凹んでいて、10kより上が落ち込んでいくようになっています。この中域の凹んでいる部分を少し戻して、高域をもう少し下から削っていくと室内の質感が変わるような気がします。
こんな値にしてみました。
ちょっと響きすぎてしまっている部分もありますが、雰囲気の差をなんとなく感じてもらえたらうれしいです。
次に3番目のアイコンの位置にしてみましょう。このアイコンの位置に素早く設定するには対象となるアイコンをクリックすることで一気にジャンプさせることができます。
そして音はこんな感じになります。
一気に広くなりましたね。人があまり入っていないホールのような雰囲気を感じさせます。
最後に最大値で聴いてみましょう。
まぁ…明らかにやり過ぎてますね。(笑)
でも、この音に使い道がないのではなく、その他のパラメーターを調整していくことでうまく活かせるような場面もでてきます。今回はSPACE以外のパラメーターはすべて同じでミックス量も同じという同条件下での比較なので不自然に聴こえるかもしれませんね。
次回以降、これらをどのようにうまく手なずけていくかをお伝えしたと思います。