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FabFilter Tips vol.5

すっかり春めいてきていて、天気も落ち着かない感じですね。暖かかったり、そうでもなかったり、風が強かったり…。
花粉もピークだし、参った参った。こんな時は家で大人しく音楽と戯れましょう。
今日紹介するネタは次回のYoutube Liveまで取っておこうと思ったんですけど、出し惜しみしてもしょうがないので、今回やっちゃいます(もしかしたらYoutube Liveでも復習するかも)。

EQで削る?

イコライズって平均化するっていう意味なんですが、みなさんはイコライジングについてどんなイメージを持ってますか?
楽器や声っていろんな周波数帯を発しているので、楽器が増えれば増えるほど重なり合ってしまう帯域があるんです。
そして、溜まりすぎると帯域によってはブーミーになったり、こもって聴こえたり….弊害が出てきます。
そういう場合に、イコライザーを使って抑えても音にあまり影響のない音色を選んで削って特定の周波数だけが突出しないように平均化を図るという使い方をすることがあります。

EQで持ち上げる?

もちろん、EQは持ち上げる方向でも使いますよね、そりゃ。
その際、知っているとは思いますが、気をつけなければいけないことがあります。
それは、“収録されてない音はどんなにブーストしても出てこない”ということです。
入っていない、またはレベルが小さすぎる帯域は、持ち上げたところで出てこないですし、一緒に録音されたノイズが大きくなるだけなので、モコモコの音をパキパキの音にすることはほぼできないんですよ。
録り音が大事ってことですね。
太い音を細くはできるけど、細い音を太くはできません。

Pro-Q 3の性能実験その1

先ほど、音は様々な周波数が含まれていることはお話しました。
Pro-Q 3の性能としてどこまで細かく周波数をさばけるのか試してみようと思います。
どれだけ詳細に“削れるか”ってことにも繋がりますね。
ギターの5弦の音を鳴らしてみましょう。

Aの音ですが、色々な音階が鳴っています。
A:440Hzの音だけを抜き出して鳴らしてみようと思います。 ※注:ギター5弦開放の基音は110Hzです。
抜き出すにはバンドパスフィルターを使います。指定した帯域のみをパスしてその他をカットするイコライザーですね。
こんな感じのカーブでこんな音になります。

あれ?なんかシンセっぽいですね。
そうそうサイン波の音ですね。
念のため基音の110Hzも聞いてみましょうか。

基音となる音が音程を決めて、それにいくつもの倍音が足されていってギターの音色が形成されるということになります。
倍音の出方って、ギターや弦、ケーブルの種類によっても異なるんですよ(音が変わるんだから当然か)。
どんな音でも基音を丸裸にしちゃうとこんな感じです。
逆を言えば、倍音って大切なんですね。

Pro-Q 3の性能実験その2

さて次に、逆のことをしてみましょう。
指定した帯域のみをカットするフィルター/イコライザーを使ってみます。
この機能を持ったイコライザーをノッチフィルターとかバンドリジェクトフィルターとか言われています。
ある特定の気になる部分のみを取り除きたい場合に使います。
一定の帯域が気になって仕方ない!ことがあったりしたら出番ですね。
録った後でハムノイズが入ってた!とか(録りなおした方がいいとは思いますけど…)。
元の開放の音はさっき聞きましたよね?
では基音である110Hzを取り除いてみましょう。

なんだか軽い音になっちゃいましたね。
重要なものが欠けている感じというか….基音がないからそりゃそうか。

Pro-Q 3はこんなマニアックなこともできます。
次回は本格的に何をどう削るか、そしてその効果についてお伝えしたいと思います。

福地 智也

Jimmy Nolen、Nile Rodgers等に影響を受け、 Blues, Soul, Funkをこよなく愛す。ギタープレーヤーとして杏里、倖田來未、片瀬那奈、さんみゅ~、楠田亜衣奈等のレコーディング、佐藤康恵のライブに参加、同サポートバンドでは、バンドマスターを務める。ギター 演奏、音楽制作のみならず、楽器、DAWのセミナー、デモンストレーションでは、難しい用語を使わずに、誰にでもわかりやすい内容が評価を受けてい る。 https://www.dopewire.net/