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FabFilter Tips vol.43

イケボになろう!その4

日々、こんなことできるかな?あんなことできるかな?なんて考えて過ごしたりすることがあるのですが…(ドラえもんか!)。
思いついたことを試してみてはやり直しなんてこともありますね。

これエフェクターの使い方や設定だけでなく、楽器の演奏もそうですね。
そんな空想?妄想?が新しいアイデアを生むこともありますよね。
ストイックにどうしよう!?って考えるわけではなく緩めに妄想したことを試すだけでもいいと思います~。

さてここ数回、スタティック&ダイナミックなエフェクトについて比べてみたりしました。
で!新たな刺客が現れました!
その名は“マルチバンドコンプ”です。
FabFilterでは“Pro-MB”というプラグインですね。
「なんそれっ!?」っていう人のために簡単に説明しますね。

マルチバンドコンプとは

読んで字のごとく“複数の帯域”に独立して“コンプレッサーやエキスパンダーを適用する”ものです。
1つのコンプレッサーのインスタンスで最大6バンド(帯域)にコンプレッサーをかける…ってことは高域だけを抑えるなんてディエッサー的なことをこなしつつ、中域や低域をエクスパンドするなんてこともできるんでしょうね。
また、帯域によってはコンプのかかり具合を変えたいなんていうことがあれば、そんな便利なことが1つのプラグインでできてしまうってことです。

まずは試してみる

さて、実際に使ってみましょう。
実際のプラグイン画面はこんな感じです。
わかりやすくするために6バンドすべて作って適当な値にした画面です。

カラフルっすね~。

デフォルトではこんな画面です。

FabFilter製品ではおなじみの面持ちですね、Pro-MBと書いてなければPro-Q 3と違いが判らない。(笑)
操作に関して一貫性があるので、初めて使うときも迷わずにすみますね。
中央の黄色い線をクリックして1つバンドを作り、それの帯域を目一杯広げると一般的なコンプレッサーを同じ働きをします。

コンプレッサーが対応するバンドは左右にある縦線を左右にドラッグすることで調整が可能です。

もう一つバンドを追加してみました。

1k(1kHz)をセンターとして上下に2つバンドを作ってみた感じです。
実際、この設定で使うことはあんまり現実的ではないと思いますが、調整方法についてこの画面を使用して説明します。
まず、それぞれのバンドを調整するパラメーターはそれぞれのバンドのエリアをクリックするとフローティングウィンドウが表示されます。

ここで一つTIPSです。

画面の上半分のそれぞれのバンド内をクリックすると表示がクリックしたバンドのウィンドウが表示されますが、ウィンドウと同じ高さの他のバンドをクリックすると、一度ウィンドウは閉じます。
表示させ続けたいときと一度消しておきたいときで使い分けるといいですね。

パラメーターのコントロール

各バンド内のコントロールは以下の通りです。

左から「THRESHOLD(スレッショルド)」「RANGE(レンジ)」「ATTACK(アタック)」「RELEASE(リリース)」「OUTPUT(アウトプット)」、これらはコンプレッサーとしてはほぼお馴染みのパラメーターですね。

下段のスライダーやボタンは左からコンプレッサーとエキスパンダーの「MODE」切り替え、「RATIO(レシオ)」「KNEE(ニー)」「LOOKAHEAD(ルックアヘッド)」です。

この中で一般のコンプレッサーではあまり見かけないパラメーターは、

上段の「RANGE(レンジ)」:コンプレッションを適用する最大レンジの設定。
このレンジとレシオをうまく組み合わせると効果的に使えると思います。

下段の「MODE」切替えスイッチ:音を圧縮するコンプレッサーとして使用するか音を拡張(が正しいのか?)するエキスパンダーとして使用するかを選択するスイッチ。

「LOOKAHEAD(ルックアヘッド)」:信号を先読みすることで信号がスレッショルドを超える前にコンプレッサーが動作の準備をすることができ、反応を早く、正確に行うことができる。が、先読みすることでレイテンシーは増す。

そして、各バンド間の縦線にあるアイコンをクリックして上下にドラッグするとバンド間の値のクロスフェードのスロープを調整することができます。

ちょっと解説するだけで長文になってしまいました。
次回は、このマルチバンドコンプとコンプレッサーの比較などをしてみたいと思います。

お楽しみに!

福地 智也

Jimmy Nolen、Nile Rodgers等に影響を受け、 Blues, Soul, Funkをこよなく愛す。ギタープレーヤーとして杏里、倖田來未、片瀬那奈、さんみゅ~、楠田亜衣奈等のレコーディング、佐藤康恵のライブに参加、同サポートバンドでは、バンドマスターを務める。ギター 演奏、音楽制作のみならず、楽器、DAWのセミナー、デモンストレーションでは、難しい用語を使わずに、誰にでもわかりやすい内容が評価を受けてい る。 https://www.dopewire.net/