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FabFilter Tips vol.36

徐々に気温と湿度が上がってきて夏が近づいてきている予感をさせますね。
竿物の楽器を使われている方は湿度の管理に気を使った方がいいかもしれませんね。
さて弾こうかと思って手に取ったギターのネックが反っていてピッチが合わなくて録音できなかった!なんてことにならないように。
さて、今回からはアコギの処理についてお話します。
アコギと言ってもジャンルだったり、奏法やオケの中での役割によって音作りも変わってくると思うので、一般的なことをお話しようかと思います。
皆さんは、それを出発点として使ってもらい、その後お好みの数値に調整してもらえると嬉しいです。
まぁプリセットというありがたいものもありますけど。

プラグインは何を使うか?

今回、ストロークをした場合の音色について調整していこうと思いますが、2つのプラグインを使います。
Pro-Q 3とPro-C 2ですが、順番としてはPro-Q 3 → Pro-C 2 → Pro-Q 3という順番になります。
なぜイコライザーが2つ出てくるのかはお楽しみにしててください。
まぁ1つでもいいんですけど、2つの方がわかりやすいです。
まず、先頭のイコライザーで軽く音を整えてみることにしましょう。
まずは、何もかかっていない音をアンサンブルとソロで聴いてください。

EQ1

最初のイコライザーでは不必要な音を取り除くことをメインに考えます。
これは友人のエンジニアに教えてもらったテクニックなのですが、コンプレッサーをかける前にイコライザーで不必要な音を取り除いておくと、コンプレッサーがよりナチュラルな反応をしてくれるようになるそうです。
家で録音した場合、部屋によってはいろんな反響が入ったり、部屋の鳴りが思ったようにいかない場合がありますね。
こういうときにイコライザーで気になる部分を抑えるようにするとよい結果を生み出すことができるようになるわけです。
では、さきほどのアコギのトラックの響きを確認しながら目立ちすぎる鳴りを抑えて補正していきましょう。

コンプレッサー

音が(だいたい)整った時点でコンプレッサーをかけることにします。
アコースティック楽器の雰囲気を壊したくないのであまりかかり過ぎず、アタックも緩やかに設定してみました。

ちょっと大きいピークを抑えてるくらいの感じですね。
1つめのEQがない状態でコンプをかけるとこんな感じの音になります。

比較して聴いてみるとちょっとゴツゴツした感じになりますね。

EQ2

1つ目のイコライザーとコンプレッサーによって音が整えられたので最後はキャラクター付けを行います。

ここでは細かい調整は行わずに「明るめにしたい」とか「力強くしたい」とかそういうイメージ的な方向付けを行います。
今回は明るく、軽めのサウンドにしようと思いました。

低域をローカットで抑えて、高域を少しだけ上げました。
こういう調整をするとき、低域を下げて高域を上げると落差が大きくなるので思ったよりも極端に音が変わったように感じるかもしれません。
高域を上げ過ぎるとギラギラした音になりすぎてしまうので気を付けてください。

最初のアンサンブルとは何も変えずにアコギのEQ、コンプをしただけで使用後がこちらです。
ギターのソロ、アンサンブルの順で聴いてみてください。

なぜイコライザーを2つに分けるのか

1つ目と2つ目のPro-Qは、別々の役割が与えられています。

  • 1つ目はコンプレッサーをかける前に補正しておきたいアコースティックな部分を担っています。
  • 2つ目はコンプレッション後にキャラクター付けとして。

こうすることによって、どちらかを変更したいときに何をどう変更すればよいか見失わずに最短距離で進むことができるのです。
また、コンプレッサーのかけ方にも薄く何回もかけるっていう方法もあるみたいです。
次回はアルペジオのギターについてお届けしようと思います。
お楽しみに!

福地 智也

Jimmy Nolen、Nile Rodgers等に影響を受け、 Blues, Soul, Funkをこよなく愛す。ギタープレーヤーとして杏里、倖田來未、片瀬那奈、さんみゅ~、楠田亜衣奈等のレコーディング、佐藤康恵のライブに参加、同サポートバンドでは、バンドマスターを務める。ギター 演奏、音楽制作のみならず、楽器、DAWのセミナー、デモンストレーションでは、難しい用語を使わずに、誰にでもわかりやすい内容が評価を受けてい る。 https://www.dopewire.net/