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FabFilter Tips vol.25

2022年一発目のFabFilter Tipsです。
今年も楽しく音楽を作っていきたいと思います。
みなさまよろしくお願いしたします。

続・M/Sのお話

前回、M/SセッティングでPor-Q 3を使うっていうお話をしました。
「M/Sって言葉は知ってるし、ミッド/サイドということは知っている」という方もいるでしょうし、「M/S?モノラル/ステレオ?」っていう方もいらっしゃるかもしれません。もちろんよく理解されている方もいるでしょうし。 ちょっとだけどういうことかということの整理をしておこうかなと思います。

通常のステレオフィールドでの音のプレースメント(配置)は左右(L/R)ですね。
EQの場合、ステレオフィールド全体に適用することが多いのですが、Pro-Q 3は左右のチャンネルに対して独立してイコライジングすることも可能です。
前回も書きましたが、M/Sの場合、左右という概念は無く、中央にあるミッド、サイドにあるものは文字通りサイドとして括られます。

M/S処理を取り入れてイコライジングすることで得られること

  • ローエンドを引き締めてスッキリさせることができる。
  • ステレオフィールドに広がりを持たせることができる。

これは前回も書いたように、一般的には低域はセンター定位で始まり、高域に行くにしたがって幅広くなっていく逆三角形のような形が理想と言われています。
実際、ステレオの幅を広げることって限界があるので、サイドの音色を目立つようにすることで広がったような錯覚を起こすような処理を行うということですね。

どんな音色/トラックに使うといいのか?

ミッドとサイドという分け方が適した音色がいいでしょうね。
まず、モノラルソールではないと思います。
ギターはモノラル楽器ですが、ダブルトラックなどの場合、ステレオのバストラックを作ってまとめて、そのステレオバストラックにかけるといいでしょうね。
低域がもわっと広がってしまっていたら低域のサイドを抑えて重心をセンターに集中させることで低域に締まりが出てきますね。
サイドでなっているシンセの音を軽くするためにも低域を抑え、高域をブーストするっていうのはアリだと思います。
ギターが中央でボーカルに被ってしまっているとき、ギターのステレオバス内の中央でボーカルと被っている帯域を下げると中央ではボーカルにスペースを与えることができます。これでボーカルはくっきり聞こえてきます。
そして、サイドチェンネルでその部分を少しブーストすることで存在感を残しつつボーカルとギターを棲み分けさせることができます。
こういった特徴からマスタリング時にも威力を発揮しますね。
音圧を稼げるようにするだけでなく、よりステレオ幅を広げたり、中央のボーカルにフォーカスがいくようにイコライジングしたり…。
ただ、エフェクト全般に言えることですが、やりすぎには注意です。
特にM/S処理でやりすぎてしまうと収集つかなくなって、結局やり直すハメになり、「M/Sなんて….(涙)」ということになったりします。

次回はサウンドサンプルともに失敗例や「実際のところどうなの?」って思う部分を取り上げ、そうならないためにどうPro-Q 3を使うかについてお知らせしたいと思います。

福地 智也

Jimmy Nolen、Nile Rodgers等に影響を受け、 Blues, Soul, Funkをこよなく愛す。ギタープレーヤーとして杏里、倖田來未、片瀬那奈、さんみゅ~、楠田亜衣奈等のレコーディング、佐藤康恵のライブに参加、同サポートバンドでは、バンドマスターを務める。ギター 演奏、音楽制作のみならず、楽器、DAWのセミナー、デモンストレーションでは、難しい用語を使わずに、誰にでもわかりやすい内容が評価を受けてい る。 https://www.dopewire.net/