2021年もあと残すところ…今年最後のFabFilter Tipsです。
CPU負荷について考えてみる
よく“あのプラグインは重い!”とか“軽くていいよね!”って話を聞きますよね。
Pro-Q 3はほんとのところどうなんでしょう?
音楽的じゃないですけど、ちょっとテストしてみましょう。
その前に
“プラグインの動作が軽いことは正義なのか?”について考えてみたいと思います。
プラグインCPUへの負荷が軽ければより多くのプラグイン処理にCPUの能力を割くことができます。
しかし、高度な演算などを行う場合、どうしても負荷がかかるようになってしまいます。
動作が軽いこと=演算を簡単にしているというわけでもないのがまた難しいところですね。
これについてはたくさんの意見があると思いますが、このコラムでの結果の導き方としては
“音が良くて、操作がしやすくて、できれば軽めのものが良い”というスタンスでお話を進めていこうと思います。
PCのスペックはWindows 10 Core i5-10400(2.90GHz)、メモリー16GBとそんなに高性能ではありません。
では、Bitwig Studio 4.1.2にたくさんのPro-Q 3を立ち上げてみます。
起動前
100個のインスタンス起動後
本当はMAX値を知りたかったのですが、気が遠くなりそうだったので100個立ち上げてみましたが、この負荷率です。
“音もよく、扱いやすく、動作が軽い”と三拍子揃ってますね。
この点からもPro-Q 3をお勧めできる理由が見つかりました。
なんだと?LRとM/Sを混在させたままEQできるだと?
先日、Pro-Q 3を改めてじっくりと試していたら、資料に同じインスタンス(起動しているプラグイン)内でステレオ(L/R)とミッドサイド(M/S)を混在させて使用することができると書かれていました。
とりあえず、音を出してみてからどういう理屈なのかは、年をまたいで解説していきましょう。
L/R と M/S
なんの設定もなにもなく使用した場合、我々が聞いている音楽は、左右(もちろん中央もありますが)のバランスからなるL/Rですね。これは自然界で聞いているバランスに近いものです。
右にあるものは右側から聞こえ、左にあるものは左側から聞こえるように設定することができます。
ちなみにその設定は、ここで選択可能です
よく見るとステレオだけでなくLとRに別々にかけることもできるんですね。
実に面白い(ネタが古い…)。
一歩でM/Sとはミッドとサイドに分かれており、左右両側ともが“サイド”として扱われます。
用途としては、中央に位置する楽器に調整を加えたり、サイドにある楽器に広がりを加えたりします。
左右という考えが通じないという弱点もありますが、イメージの幅を広げたり狭めたりすることができる利点もあります。
ここでは書ききれないので、もっと詳しく書かれている資料を検索されることをお勧めします。 一応、次回にももう少し解説しますけど。
実食!
まず最初に何もしていないトラック
次にサイドの信号の高域はブーストして、低域はカットしています。
これは左右の広がりを強調し、低域がワイドになっているのでサイド部分をカットして重心を中心にしました。
ミックスの基本として低域は中央にし、高域にいくにしたがってワイドになるように..というのを聞いたことがあります。
たしかに低域が無駄に広がっていたり、左右のどちらかにバランスが傾いていると聞いていて気持ちが悪いですよね。
最後に、意図的にバランスを崩しますが、ミッドの120Hzを上げて、右側だけの信号を1kから徐々に始まって20kまでを持ち上げています。
これによってキックの迫力が少し増して、右側の高域にある楽器が目立つようになっています。
この方法は実践的なものではなく、Pro-Q 3の能力を示すために設定しています。
こうやって、同じインスタンスの中で、L/RとM/Sを混在させて調整できるってなかなか面白かったです。
マスタリングに使うといいかもしれないなぁと思いました。
ではみなさん、よいお年を!
Happy Holidays!