ようやく世の中も元に戻っていく兆しが見えてきましたね。
このままのペースで戻っていけるといいですね。
日常が早く戻ってレコーディングもライブも前のようにこなせるような日が早く来ることを願っています。
それまでもう少し、おとなしく家で制作活動に励むことにしようと思います。
それぞれのプラグインの使い方やパラメーターについての解説は一通り終わった感じなので、今回からはFabFilter製品をいくつか組み合わせて実用的な例を紹介していこうと思います。
近い音、遠い音
ステレオフィールド内で音の配置を移動させる場合、パンを使用して左右に動かすことが一番簡単ですが、ミックスをしているときにもっと手前に、もっと奥にあれば…ということがあります。
アンサンブル内に音が多い場合、左右のパンニングだけではアンサンブルのバランスがとり切れなくなることがあります。
ストリングスやパッドの音を後ろの方で鳴らしたい場合、一般的にリバーブをかければ奥に引っ込むような効果は得られますね。
室内で音を出した場合、マイクとソースの距離 + 部屋鳴りで奥行きが表現されます。
部屋鳴りの成分が多くなれば、部屋の奥の方に配置されたように感じられ、部屋鳴りの成分が長くなれば大きな部屋に感じるようになります。
これはウェットシグナルに関しての処理ですね。
現実世界で音とのマイク(や耳)との距離が離れた場合、ドライシグナルにも変化が起こります。
※ ウェットとはエフェクト音のことを意味し、ドライとはエフェクトがかかっていない原音を意味します。
みなさんが現実世界で音を聞いた場合、近く鳴っていた音を次に距離を置いて聞いた場合、周波数的にも変化がありますよね。
これをミックスに置き換えて考えた場合、遠くに音を置きたい場合、リバーブ成分だけを足していくと音がモヤっとしてしまいやすくなります。
じゃぁどうやったら遠く感じさせることができるでしょう?
周波数的には、低い周波数の方が遠くに飛ぶらしいのですが、低い周波数帯ばかりになってしまうと前述したようにモヤっとした音になりがちですね。
同じ人の声でも目の前で話しているときと20m離れて話した場合、声にどんな変化があるか想像してみてください。
私のイメージではちょっと軽くなるような気がするんですよね。
ということでそんなイメージで音を比較してみましょう。
リバーブ <Pro-R>:
まずはイコライジングしていないトラック。
リバーブセッティングはこんな感じです。
もりもりっとした感じで生々しいストリングスですね。
(生ではないですけど)
リバーブを別に用意して長めセッティングでかけてみました。
イコライザー <Pro-Q 3>:
次にストリングスの音を軽くしてみました。
EQ処理はこんな感じです。
Qを緩めにした方が自然なイコライジングになりますね…。
バランス的にも聞きやすくなったし、軽くなりましたね。
距離が遠く感じるかどうかと聞かれると…なんとなくですけど。
こうすることでアンサンブル全体のバランスが整っていき、聞きやすくなっていくと作品としてのクオリティが上がれば幸いです。
普段から街中を歩いているときもいろんな音を聞いて「この距離だとこんな感じで聴こえるんだなぁ」とか想像しながら歩いて観察をしてみると面白いですよ~。