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【連載】Blue IIIを使いこなそう 〜 digging into Blue III – vol.6

第6回:Phase DistortionとWave Shapingについて

今回はMulti-Page Panelの中にあるPhase DistortionとWave Shapingの設定について解説していきましょう。

PD/WSについて

Phase DistortionとWave Shaping(以下、PD/WS)はオシレーターの出力する波形を変調して異なる倍音構成の波形を生成する機能です。PD/WSを使用して波形をエディットするには、最初に各オシレーターにある“SHAPE”の設定を“PD”あるいは“WS”にし、Multi-Page Panel部分で“PD/WS”ページを選びます。

図1:SHAPE設定で“PD”を選択し、“PD/WS”ページを表示した状態。

次にShaper Amountを設定する“SHAPE”ノブを調整して効果をオシレーター波形に反映させます。

図2:このノブを調整することで波形の変調量が変わり、シンプルな波形から複雑な波形に変化する。

“PD/WS”ページの四角いエリア(PD/WS screen)にマウスを使用して波形を描きます。

図3:実際にマウスを動かして自由に波形を描いた状態。

右側の四角いエリアは、Phase DistortionとWave Shapingが適用された波形の状態を表します。また、Shaperモードのプリセットを選び、Shaper Amountの1と2を調整して波形を描くことも可能です。

図4:黄色の枠線で囲んだ部分がShaperモードの設定を行なう部分。プリセットを選び、Shaper Amountの1と2を調整した後に“APPLY”をクリックすると設定が波形に反映される。

オシレーターの“SHAPE”設定を変更すれば波形は変化しますので、サウンドも異なるのですが、参考までにオシレーターの設定をPDにした場合(図5参照)とWSにした場合(図6参照)をCubaseのチャンネルEQの画面で見てみると、それぞれに含まれる周波数成分の違いがわかるでしょう。

図5

図6

図5、6:オシレーターの“SHAPE”設定を変えて図4で作成した波形をノートナンバー=60(中央のド)で発音させた状態。高域に含まれる倍音成分に両者の差があることがわかる。

デモサウンドと作成した音色について

今回はPhase Distortionを使用してクラビネット風の音色を作成してみました。

作成した音色についてですが、オシレーター1のみを使用して、PDの波形は手描きしたものです。その他はシンプルにフィルター1でローパスフィルターを使用し、フィルターとボリュームのエンベロープを設定した後、軽くリバーブをかけています。

上記で作成した音色を使用したデモサウンドを参考に聴いてみてください。

サウンドメイクに関しては、ベースにBlue III、ドラムにPunch 2を使用していますが、クラビネット音色自体は本体のパラメーター設定のみとなっており、エフェクトについても内蔵エフェクト以外は不使用です。

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。