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【連載】Blue IIIを使いこなそう 〜 digging into Blue III – vol.5

第5回:エンベロープセクションについて

今回はエンベロープセクションについてサウンドメイクのポイントとともに紹介したいと思います。

図0:メインGUI

エンベロープセクションについて

Blue IIIには1から6の各オシレーターボリューム、Filter 1と2、メインボリュームにそれぞれエンベロープを個別に設定できるだけでなく、様々な変調に使用可能な4基のマルチエンベロープを装備し、トータルで13基という実に多くのエンベロープを装備しています。

これらのエンベロープの設定は、Multi-Page Panel部分で行ないます。

図1:図はGUI下半分の部分で、黄色の枠線で囲んだ部分がMulti-Page Panelとなっている。図はボリュームエンベロープが選択表示されている状態。

図中の上部にあるページ切替ボタンで一番左の“ENV”が各エンベロープの設定ページ、中央部分にある“MULTI-ENV”がマルチエンベロープの設定ページです。

では1から6の各オシレーターボリューム、Filter 1と2、メインボリュームに対するエンベロープの方から見ていきましょう。

基本的には多くのアナログシンセサイザーで採用されていたADSRタイプなのですが、アタックタイムの前段にプリディレイタイムがあったり、リリースタイムの変化カーブが決められるなど全部で10個のパラメーターによって緻密な設定が行なえるようになっています。

図2:オシレーター1のエンベロープを設定する画面。画面中のグラフィック部分でADSRの大まかな設定を行ない、黄色の枠線で囲んだ部分でエンベロープの変化の詳細を調整すると良いだろう。

それに対して4基あるマルチエンベロープの方は、最大で16ポイントのエンベロープパラメーターが設定可能で、任意の範囲をループ設定することができ、Blue III上のほとんどのパラメーターの変調に使用可能です。

例えば、オシレーターのピッチ(Semi)をマルチエンベロープで変調するとシンプルな効果音が容易に作成することができます。

図3:マルチエンベロープでオシレーター1のピッチ(Semi)を変調するには、Multi-Page Panelで“MOD”を表示し、SOURCE、DESTINATIONを図のように設定する。AMOUNTはここでは最大値に設定している。

図4:今回作成した参考例のマルチエンベロープの設定は図のようになっている。黄色の枠線で囲んだ部分がループ設定している部分。

この設定に内蔵のディレイをかけると後述のデモサウンドのような効果音が得られます。

図5:内蔵ディレイは図のように3個のステレオディレイを使用した。

この音色のデータは “ Multi-ENV FX 001.fxp ”と共にチェックしてみてください。

デモサウンドについて

マルチエンベロープの効果の参考例として、上記で作成した音色を使用したデモサウンドです。

今回もサウンドメイクに関しては、本体のパラメーター設定のみとなっており、エフェクトについても内蔵エフェクト以外は不使用です。

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。