第3回:オシレーターセクションの機能を活かしたサウンドメイク
少々前回から時間が空きましたが、今回はオシレーター機能を実際に試しつつ、シンセパッド音色のサウンドメイクについて紹介しましょう。
サウンドメイクにおけるオシレーターセクションの設定
それでは早速説明に入りましょう。
まず、今回作成したシンセパッド音色ではオシレーターを3基使用しています。

元々はオシレーター1と2でオーソドックスなアナログシンセ風パッドサウンドの作成のみだったのですが、音色的に少し動きが欲しかったため、オシレーター3で内蔵PCM波形を使用したデジタルシンセ風のサウンドを加えてみました。
それぞれのオシレーターセクションのポイントを見ていきましょう。
基本のパッド部分のサウンドはオシレーター1と2を使用して形成しています。設定については、オシレーター2を1オクターブ上の5度音程にチューニングしている以外は、概ね同質のサウンドを左右に振り分けて広がりを出しています。このパッド音色の元になっている波形はノコギリ波のようなサウンドに聴こえますが、実はサイン波を変調して作成しています。このサイン波は、Shaper AmountとFeedbackの値を上げていくと徐々に波形が変化し、図2のようなセッティングにするとノコギリ波的なサウンドになります)。
図2:黄色の枠線で囲んだ部分が調整のポイントとなるShaper AmountとFeedbackのパラメーター設定。
各オシレーターセクションの下部左にある“SPREAD”というパラメーターの設定がポイントです。
図3:ユニゾンデチューン設定を行なう“SPREAD”部分。
SPREADは、1オシレーターに対して微妙にチューニングをずらした2基のオシレーターを追加してユニゾンデチューン効果を加える機能です。これによって1ボイスに対して3オシレーター相当の厚みを得ることができますので、今回のようなパッド音色などには最適な機能となります。
デジタルシンセ風のサウンド部分となるオシレーター3は、サンプル波形の“RingFX01”を基にウェイブシェイピングで波形を変化させ、図のようなパラメーターセッティングを行なっています。
図4:オシレーター3の設定はこのようになっている。
ちなみに音色調整については、オシレーター1と2はFilter1、オシレーター3はFilter2で別のフィルターを使用して調整しています。

実際の音色設定やサウンドについては音色データ “Synth Pad 0003 AN.fxp”と以下のデモサウンドを参考にしてください。 また、Blue IIIをお持ちの方はこの音色データを読み込んでチェックしてみて頂くと良いでしょう。
デモサウンドについて
今回作成した音色を使用したデモサウンドです。
サウンドメイクに関しては、本体のパラメーター設定のみとなっており、エフェクトについても内蔵エフェクト以外は不使用です。