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【連載】Blue IIIを使いこなそう 〜 digging into Blue III – vol.2

第2回:メイン画面のオシレーターセクションをチェック

今回からBlue IIIのMAIN画面(以下、メイン画面)を解説していきましょう。まずはサウンドの核となるオシレーターセクションを中心に解説したいと思います。

図0:メインスクリーン

メイン画面のオシレーターセクション

最初に画面の全体を簡単に紹介しましょう。

メイン画面にはサウンドメイクやエディットを行なうためのオシレーター、フィルターセクションを始め、それらの変調を行なうEGやLFOなどのセクションを備えています。また、GUI右側にあるアンプセクションやポリモノ切替、ポルタメントなどの演奏設定を行なうPLAYセクションは、サンプルエディタ画面やプリセット音色を管理するブラウザ画面を除き、その他の画面を開いても表示されます。

図1:アンプセクションとPLAYセクション

続いてオシレーターセクションの細部を見ていきましょう。

Blue IIIはオシレーターを6基装備しています。これはアナログシンセサイザーで言えばVCOが6基相当ですので、分厚いサウンドは容易に出せますし、全部のオシレーターでノコギリ波にしてデチューンすれば、Super Saw的なサウンドを出すこともできます。

また、Blue IIIはFMシンセシスも装備していますので、GUI下部で“ALG”を表示させるとアルゴリズムのタイプや変調設定を行なうことができます。

図2:GUI下部のアルゴリズム設定部分の状態

オシレーター1基がオペレーター1基になるので6オペレーター相当のFM変調が行なえ、プリセットのアルゴリズムは32種類ありますので、スペック上はFM音源の名機“DX7”相当のサウンドメイクが可能だと言えるでしょう。

実際にサウンドメイクを行なう際の大きなポイントとしては、オシレーター信号の出力先が選択できる点が挙げられます。

図3a
図3b

図3a、3b:それぞれ3aはオシレーター出力の送り先を設定している状態で、3aの黄色の枠線部分をクリックすると、3bのように出力先のリストが表示される。

アナログシンセサイザー的なサウンドメイクにおいてオシレーター出力はフィルターに送るのがセオリーですが、2系統のフィルター以外にそのままオシレーター信号を出力するDryに加えてエフェクトへ信号を出力するFXが用意されています。Blue IIIにはエフェクトが4基ありますが、どのエフェクトに出力するのかをフレキシブルに選ぶことが可能です。

例えばオシレーター1の出力先を“ALL FX”にすると4個のエフェクトにそれぞれオシレーター1の出力を送ることができます。

図4:出力先を“ALL FX”に設定している状態

これを利用するとエディットしていないシンプルなシンセ波形を設定している1個のオシレーターだけでも参考例のようなサウンドを作ることができます。

デモサウンドについて

前述のデモサウンドは、初期設定状態のプリセット(Bank=00、プリセット番号=35)を選択し、初期状態からの音作りを行なっています。実際にはエディットらしい作業はほとんど行なっておらず、オシレーター1でノコギリ波を選び、出力先を“ALL FX”に設定したのみです。エフェクトはFX1:コーラス、FX2:Waveshaper、FX3:AutoWah、FX4:HQ Reverbを使用しました。個々のパラメーター設定は図5をご参照ください。エフェクトのルーティングはパラレル接続に設定しています。

図5:FXセクションの画面。各エフェクトは図のような設定状態となっている。

なお、サウンドメイクはドローン系のサウンドをイメージしてエフェクトを調整しました。エフェクト調整後には分厚いサウンドを得るために演奏設定としてPLAYセクションでユニゾン設定を4ボイス同時発音にして厚みを加えています。

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。