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【連載】Blue IIIを使いこなそう 〜 digging into Blue III – vol.1

第1回:主な操作画面をチェック

2005年にリリースされたRob Papenの「Blue」は、昨年11月のバージョンアップで「Blue III」となりました。

今回から何回かに分けてプラグインバンドル製品「eXplorer 8」にも収録されているBlue IIIをピックアップして紹介したいと思います。

図0:メインスクリーン

Blue IIIの特徴とスペック

最初にBlue IIIの主な特徴やスペックを紹介しましょう。

Blueはクロスフュージョン・シンセシスが行なえる同時発音数16ボイスのシンセサイザーです。アナログシンセサイザーで良く用いられている倍音減算合成方式(=サブトラクティブ・シンセシス)だけでなくFMシンセシスも可能な上、弦楽器系のモデリングシンセシス方式の一つである「Karplus Strong String Synthesis」もオシレーターで選択できる他、ウェーブ&フェイズ・ディストーションによる変調が行なえるなど、アナログモデリングシンセサイザーの域を超越したシンセシスエンジンを装備しているシンセサイザーです。

オシレーター波形には、新規ウェーブフォームや内蔵サンプルが追加され、それらが活用されたプリセット音色を5,000以上用意されています。この膨大なプリセット音色は操作性の良いバンクマネージャーで効率よく検索できるため、曲作りの最中でも容易に音色選びが行なえます。

また、操作性においてはGUIのサイズを100、125、150、200%に変更できる他、ダイヤルやフェーダーもアニメーション化されるなど使い勝手が十分に考えられています。

主な操作画面について

Blue IIIは、主に8個の操作画面で構成され、GUI上部右側で各ページの切替が行なえるようになっています。それらは以下の8個になります。

  • MAIN

    ・・・Blue IIIのメイン画面
  • XY

    ・・・XY Displayの設定などを行なう画面
  • ARP

    ・・・アルペジエーターに関する設定を行なう画面
  • EASY

    ・・・Blue III全体の設定を手早くエディットするための画面
  • SAMPLES

    ・・・Blue IIIのオシレーター波形としても扱えるオーディオデータの編集が行なえるサンプルエディター画面
  • SEQ

    ・・・最大32ステップのシーケンスフレーズが作成可能なシーケンサー画面
  • MANAGER

    ・・・プリセット音色を管理するブラウザ画面
  • FX

    ・・・エフェクトの設定画面

これらの画面の中でXY、EASY、MANAGER、FXについてはBlue IIにもありましたが、Blue IIIではこれまでメイン画面の中でエディットメニュー的に扱われていたARPやSEQに専用のページが設けられた他、新たな機能としてサンプルエディター画面が追加されて様々なオーディオ素材をBlue IIIのサウンドとして活用できるようになった点が今回のバージョンアップでの大きな特徴の一つとなっています。

次回はMAIN画面を主に解説したいと思います。

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。