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ディリゲントと愉快な仲間たち Vol.4 〜Martin Musaubach〜

Studiologicキーボードのプロモーションビデオでも圧倒的なピアノプレイを披露している、MUSA(ムサ)ことMartin Musaubachがディリゲント協力のもと、日本の強力なアーティスト越智巌&梅沢茂樹( Speaker Sgt.)と共に全国6カ所のジャパンツアーを行いました。
Studiologicのユーザーでもありプロフェッショナルキーボーディストである、MusaさんにNuma Stageを弾いてもらいながら、日本ツアーの感想や鍵盤に対しての思いを伺いました、どうぞお楽しみください!

ジャズピアニスト Martin”MUSA”Musaubach

Dirigent (以下D):
まずは、初めての日本ツアーを終えた感想を聞かせてください。

MUSA:

僕は北京語を話せるので、これまで台湾や中国を始めとして、マレーシアやシンガポールなど、主として北京語が通じるアジアの国でプレイをしてきたけど、やっと今回初めて、日本でプレイする機会を得ることができた。
僕はジャズだけでなく、フュージョン、ラテン、ファンクもプレイするから、どのジャンルに関しても日本はアジアで最も大きな市場だと知っていたし、成熟したリスナーが多く存在するこの国で、自分の音楽がどのように受入れられるのか、とても興味があったんだ。
結果として、オーディエンスは素晴らしい反応をしてくれた。

現在本拠地としている台湾と日本では、シーンやマーケットの違いはいろいろあるけれども、ライブでのお客さんの反応には全く違いは無かった。
何となく、日本人はもっとシャイで静かな反応をするのかと考えていたけど、一旦演奏が始まってしまえば、僕らの演奏でダンスをしてくれたり、歓声を上げてくれたり、本当に期待以上だったよ。

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D:
台湾と日本には違いが無いとのことですが、ざっくりと、アジアと欧米ではお客さんの反応には違いはありますか?

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MUSA:

欧米、特にアメリカの人たちは、やはり感情表現が豊かなので、お客さん全員が静かに音楽を聴いているという状態はまず無いんだよね。ただそのかわり、拍手やチャント(*)みたいな反応もものすごく大きいんだ。
日本や台湾では、みんなが洗練された態度で静かに音楽を待ってくれるから、大きなキャンバスの前に立った絵描きのような心境で、とても集中してプレイを始めることができる。
でも、プレイ前のガヤガヤしたノイズも自分のテンションを上げてくれる大事な要素だし、プレーヤーとしては、どちらの環境にも違った良さがあるね。

※楽曲に合わせて返される声援/応援のこと

D:
ここから機材的な話になりますが、ジャズピアニストとして、ステージピアノに求める要素とはなんでしょうか?

MUSA:

これは、2つに分けて話した方がいいかも知れない。
まずは単純にピアニストとして言わせてもらうなら、やはり何よりもキーのタッチ、ウェイトを重視している。
その点、Studiologicの鍵盤は本当に素晴らしい。完璧といってもいいくらいだよ。
ラテン、ジャズ、クラシックといった色々なジャンルでも、早いフレーズでもゆっくりしたテンポでも、最高のタッチで演奏ができる。

※プレイしながら説明してくれました。動画を参照してください。

また、ジャズキーボードプレーヤーとしての意見で言えば、大事なのはシンプルさ。とにかくシンプルであって欲しい。
必要な操作が瞬時にワンタッチでできることが必要だ。
あ、どちらの場合も、もちろん音源のクオリティが高いことが前提だよ。当たり前だけど。

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ステージでよく使うグランドピアノ、エレピ、クラビといったいくつかの音色を迷い無くボタン一発で呼び出せて、あとはコンピューターや外部機器をちょこっと操作する程度のMIDIコントロールがあれば便利かな。
ただこれは非常に難しい問題で、大体の場合、高機能なステージピアノはシンプルさに欠けているし、シンプルなモデルはサウンドや鍵盤のクオリティに不満が出てしまう。

Studiologicはこの問題をとてもうまく解決していると思うよ。
今回のツアーでも使用したNuma Stageは、ハイエンドのサウンドクオリティを持っているのに、極めてシンプルなワンタッチオペレーションを実現しているし、必要最小限のMIDIコントロール部もある。
これはちょっと驚くべきことなんじゃないかな。

D:
なるほど、それはStudiologicのステージピアノには全モデルに共通したコンセプトですよね。

MUSA:

そう、Studiologicのアドバンテージは、ステージピアノについて言うなら、さっきも説明した通り、サウンドクオリティとシンプルさのバランスだね。
ピアノである以上、鍵盤部は省略するわけにいかないから、コントロールの部分をどれだけ簡潔にできるのか、他のメーカーにも良く研究してもらいたい。
もちろん楽曲制作に使うスタジオ用キーボードの場合であれば全然話は違うだろうけど、ピアニスト、キーボーディストとしての僕の意見は、キーのタッチ、シンプルな操作、音源のクオリティ、これが全てかな。
あ、大事なポイントを忘れていた!
ありがたいことに、最近では僕は自分で機材を運ぶ必要はあまりなくなったけど、もちろんそうなるまでには時間がかかったし、常に自分で機材を持ち運んでいた。

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そんな時、Studiologicのステージピアノは、本当に軽くてとても助かったよ。

台湾で撮ったStudiologicのデモムービーで、スタジオに僕がNuma Pianoを担いで入ってすぐにセッションを始めるというシーンがあるのは、僕がNuma Pianoを使っていて良かった点を伝えたかったからなんだ。
素晴らしいフィーリングのハンマーアクション鍵盤に、最高のクオリティの音源を積んで、なおかつ軽いなんてね!

D:
確かに今回のツアーでの演奏中、途中で頻繁に音色を切り替えてのプレイする曲もありました。
Numa Stageの音源で、お気に入りの音色などはありますか?

MUSA:

場合にもよるけど、このローズの音色(E PIANO 1)は個人的にとても気に入っている。ファンキーなプレイなんかには最高だね。

ステージ上に生のグランドピアノを置く余裕がある時は、このトレモロの効いたエレピ(E PIANO 2)をセットしてピアノの横に並べている。
あとは、音色のレイヤーを使ったピアノストリングスも好きだし…
うーんやっぱり一番のお気に入りは生のグランドピアノとE PIANO 2の組み合わせかな。

D:
Fatar Touch機能(*)は使っていますか?

※(ワンタッチで最適なベロシティーカーブを設定してくれる便利機能)

必ず使っているよ!
面倒くさい作業無しでベロシティーカーブを作れるから、予備機を初めて使う時なんかは、まず最初にこの設定をするんだ。
これを使うと、鍵盤のハンマーアクション機構の動きと自分の演奏がしっかりとマッチした音になる。
僕の演奏には欠かせない機能だよ。操作もボタン一つだけなんて最高じゃないか。

D:
なにか今後のStudiologic製品にリクエストしたいことはありますか?

MUSA:

それはとても良い質問だなあ。
僕は自宅スタジオでは最上位機種のNuma Concertを使っていて、木製鍵盤のフィーリングには心から満足している。
さすがに木製鍵盤は持ち運ぶには少し重いけど、同じハンマーアクション機構のStageも素晴らしいタッチだ。
サウンドについては、ConcertもStageも共通の音源を搭載していて、文句の付けようが無い。

強いて言うなら、ステージでの使用を考えて、MIDIアサインできるノブが4つくらい付いていれば、もう完璧じゃないかな。
でも、なにか機能が増えたとしても、それでマニュアルが分厚くなったり、使いづらくなったりしたら意味が無い。
本来キーボードやピアノにマニュアルがあるなんておかしな話だと思うくらいだ。

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D:
最後に、このインタビューを読む日本のみなさんにメッセージをお願いします。

MUSA:

まずは、僕のコンサートに来てくれた人をはじめ、日本で出会った全ての人に感謝します。
訪れた全ての街で、本当に温かく迎えてもらいました。みなさん、どうもありがとう。
一緒にツアーを回った日本人ミュージシャンも素晴らしい人たちで、感謝の気持ちで一杯です。
また必ず日本に戻ってきますので、みなさん期待していてください。

僕と同じ、日本のStudiologicユーザーのみなさん、ユーザーからのフィードバックは機材メーカーの大きな支えになります。
それぞれのユーザーがプレイする音楽は一人一人違うので、たくさんのユーザーがたくさんのフィードバックをすることで、僕らはより良い製品を使うことができるということを忘れないでください。

僕の印象では、Studiologicは他のどのブランドよりもフィードバックを製品に反映するのが上手なメーカーだと感じています。
まあそれは、現在のStudiologic製品を触ってみれば分かることですよね。

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D:
タイトなスケジュールのツアー最終日に、インタビューをさせてもらってありがとうございました。
また日本で会えることを楽しみにしています。

MUSA:

絶対にまた来るよ!

Martin”MUSA”Musaubach

MUSA

アルゼンチン生まれのMartin Musaubachこと”MUSA” は、4歳からピアノを始め、ブルースに傾倒する。2007 年、初めて海外を旅した際に東アジアの有名なジャズバーで演奏する機会を得て、そこで出会った台湾のインデペンデントレーベルD.F.M と契約、ピアニスト、キーボーディスト、作曲家、アレンジャー、プロデューサー、バンドリーダーとしてキャリアをスタートし、その名声は台北から世界に広がり、イタリアの鍵盤メーカーStudiologic によるスポンサードを受けるようになる。2009 年にファースト・アルバム「3690」をリリースし、初の世界ツアーを敢行。2012 年台湾に拠点を移す。MUSA のルーツである南米音楽とアジア音楽を融合させる彼のプレイスタイルは、セッションプレイヤーとしてアジア・シーンで重宝されている。
https://www.musaubach.com/

ふかし

世界中の面白い音楽機材やソフトウェアを日本に持ってくる仕事が楽しくてたまらない。最終的なブランド選定基準は「中の人がいいヤツかどうか」。