Bitwig Studioにヴォコーダープラグインが追加
Bitwig Studio 3.1.1のバージョンからヴォコーダープラグインが追加となりました!
そのヴォコーダーデバイスの名は「Vocoder」。わかりやすいネーミング!
今回は新搭載となったそのヴォコーダープラグインをご紹介します。
- ヴォコーダーとは何か?
- 音楽制作においての活用方法
- Vocoderプラグインを試してみよう(前編)
- Vocoderプラグインを試してみよう(後編)
ヴォコーダーとは何か?
そもそもヴォコーダーとは何をするためのもの?という方に大変簡単に説明すると、人間の声をロボットボイスにできるエフェクターと言えます。
まず、ヴォコーダーという名前は「ヴォイス」+「コーダー」を合わせた言葉からきています。
仕組みとしては、モジュレーターとキャリアという2系統の入力があり、モジュレーターには声を、キャリアにシンセサイザーなどの楽器音を入力するとロボットボイスとなって出力されます。
原理としてはシンセサイザーなどの楽器音を、人間の声のスペクトルデータで変調させているのですが、使う感覚としてはロボットボイスで歌えるエフェクターといった感じですね。
ハードウェアのヴォコーダーとしては、Roland VP-330などが有名で、YMO – テクノポリスのイントロの「TOKIO(ト・キ・オ)」というロボットボイスのフレーズでも使われていたそうです。
また、ヴォコーダーに近いものとしてトークボックスやオートチューンなどがありますが、原理が異なり効果も違います。
音楽制作においての活用方法
上記のYMO – テクノポリスの「TOKIO」の場合、”ト・キ・オ”という短いフレーズに音程をつけてロボットボイスにしていますが、長いフレーズに自由に音程をつけてロボットボイスで歌うこともできます。
さらにキャリアに入力するシンセサイザーの音声を和音にすれば、ロボットボイスでハーモニーを奏でることもできちゃいます。
最近の楽曲では、歌メロに対しバックコーラスとしてロボットボイスでハーモニーを加えることで印象的な演出をしている曲もあります。
この使用方法が面白そうだったので、次の項目で実際に試してみたいと思います。
Vocoderプラグインを試してみよう (前編)
ヴォコーダーを使用して女性ボーカルの歌メロに、ロボットボイスのバックコーラスを加えたいと思います。
まずは前編としてボーカルのアカペラ素材をロボットボイスにするところまでご紹介したいと思います。
下準備としてトラックの作成、ロボットボイスで歌わせるためのオーディオデータと、どのようにロボットボイスで歌わせるか指定するためのMIDIデータを用意します。
- オーディオトラックとインストゥルメントトラックを作成
- ロボットボイスの元となるオーディオデータを貼り付ける
- ロボットボイスに歌わせるMIDIデータを入力
今回はあらかじめ用意したオーディオデータとMIDIデータを使用しましたが、リアルタイムでの演奏もOKです。
- オーディオトラックにVocoderをインサート
オーディオトラックにVocoderをインサートするとオーディオトラックの音声が左上の[Modulator]に適用されている状態になります。
次にキャリアへの入力を設定します。
キャリアへ入力する音声はノイズ音またはノコギリ波のシンセ音などが適しており、今回はデフォルトでインサートされているノイズ音は使用せずにシンセ音を入力します。
右上の[Carrier]をクリックし、右にチェインを展開し、デフォルトのBROWN NOISEデバイスはオフにして、AUDIO RECEIVERデバイスのAudio SourceにMIDIノートを打ち込んだトラックを設定します。
選択する際に、プリ(PRE)とポスト(POST)が選べるので、プリ(PRE)を選択します。
- インストゥルメントトラックにシンセサイザーをインサート
今回は、POLYSYNTHのプリセットBrasstardを使用しました。
このインストゥルメントトラックは、ロボットボイスに歌わせるためのものなので、不要なリバーブは切っておきます。
また、実際にシンセサイザーの音声は鳴らすことはないので、インストゥルメントトラックのボリュームはゼロ(無音)の状態にしておきます。
以上の設定で、MIDIデータに入力してある音程をロボットボイスで歌わせることができます。
- ここまでの設定で実際に聞いてみましょう
ロボットボイスの元となる女性ボーカル(アカペラ)の音声
シンセサイザーの音声
- Vocoderが適用前の状態と、適用後の状態をそれぞれ聞いてみましょう
Vocoder 適用前
Vocoder 適用後
Vocoderのパラメーターは変更していませんが、すでにそれっぽくなっていますね。
最終的には歌メロに対してのバックコーラスを想定しているので、ボーカルすべてにヴォコーダーを適用させるのではなく、印象的に聞かせたいフレーズのみに適用させました。
ちょっと長くなってしまいましたので、今回はここまで。
次回は、Vocoderプラグインを試してみよう(後編)をご紹介します!