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Bitwig Studio “Note FX Spotlight” – vol.6

新しいノートFXデバイスを曲作りに活用する

第6回:バージョン4.2で追加されたFXデバイス

先ごろ、バージョン4.2リリースのアナウンスがあり、登録ユーザーはベータ版でその新機能を既に体験している方も多いかと思います。 今回は追加された機能の中から新規追加された3つのオーディオFXデバイスを紹介しましょう。

図1:メインスクリーン画面

バージョン4.2の新機能

まずは、バージョン4.2の概要を簡単に紹介しましょう。Bitwig Studio 4.2の大きな特徴は、前述の3つの新規オーディオFXデバイスと、新しいGrid環境となる「Note Grid」が追加されている点です。

新しいオーディオFXデバイスは、クラシックなオーディオエフェクターからインスピレーションを得て開発されたChorus+、Flanger+、Phaser+の3種類です。いずれも4タイプのキャラクターを持っており、それぞれがビンテージエフェクトの名機のサウンドを想起させるものになっています。 また、Poly Grid、FX Gridという独自のモジュラーサウンドデザイン環境に更に追加されたNote Gridは、ノート処理や生成を行なうためのGrid環境です。Note Gridは、大まかに言うとDAWなどに装備されているMIDIエフェクトと似通ったものですが、Note Gridの場合には、184のGridモジュールを自由に組み合わせて、MIDIエフェクト以上の複雑かつ高度なノート処理や生成が行なえる点が異なります。

この他の特徴としては以下のような追加点が挙げられます。

  • OscilloscopeとSpectrumの各デバイスにミニビュー
  • ほとんどのGrid Shaperモジュールへの「アンチ・エイリアシング」オプション
  • Hard Clipモジュール
  • Channel-16モジュレーター
  • GridモジュールのProbabilitiesなどでノート生成時の「Confidence出力」
  • 言語設定にフランス語を追加

バージョン4.2の詳細については、こちらのページも併せてチェックしてみてください。

新規追加されたオーディオFXデバイスについて

それでは新規に追加されたオーディオFXデバイスを使用したデモトラックを聴いてみてください。

このデモトラックにおいては、新規追加の3つをシンセのリフパートに対して使用しており、開始から15秒ぐらいまではエフェクトをバイパス状態で、15秒以降はエフェクトをオンにした状態となっています。

図2:下部のオートメーション編集パネルで、FX Layerのオンオフ状態を9小節目からエフェクトがオンになるように設定している。

シンセのリフパートは、Polysynthを使用しており、デバイス内のFXチェーンを使用して直接エフェクトをインサートしています。

図3:シンセリフのパートで使用しているPolysynthの状態。黄色飲枠線で囲んだ部分が、FXチェーン部分となる。

演奏途中でエフェクトのオンオフを容易に切替できるように、3つのエフェクトをコンテナデバイスのFX Layerを使用し、Flanger+、Phaser+、Chorus+の順で直列につないでいるのも今回のポイントです。

図4:FX Layerの設定状態。

ちなみにFlanger+、Phaser+、Chorus+の設定状態は下図を参照してください。

図5:Flanger+の設定状態。

図6:Phaser+の設定状態。

図7:Chorus+の設定状態。

コンテナデバイスはFX Layer以外にもいくつかありますが、緻密なサウンドメイクを行う上で重宝するものなので、ぜひ使用してみてください。

今回はまだリリース前ということですので、3つのFXデバイスをまとめて使用していますが、個々については正式リリース後に改めて細かく解説したいと思います。

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。