You are currently viewing Bitwig Studio “Note FX Spotlight” – vol.4

Bitwig Studio “Note FX Spotlight” – vol.4

新しいノートFXデバイスを曲作りに活用する

第4回:Bend

今回のノートFXはBendを紹介したいと思います。
Bendをより効果的に使用するために既存ノートFXデバイスも組み合わせて使ってみましょう。

図1:メインスクリーン画面

Bendで得られる効果

Bendは、各ノートのピッチを変化させるノートFXデバイスで、その名称の通りシンセサイザーやMIDIコントローラなどに装備しているピッチベンドと同様の効果を付加するものです。

図2:Bendの全体像。今回は設定していないが、モジュレーターを追加してパラメーターを変調するのも効果的だ。

トリガーされたノートに対して設定したピッチ変化が付加されますので、元トラック上にピッチベンド情報を打ち込んでいなかったり、そのトラックのインストゥルメントで設定していなくてもオートベンド効果が得られます。

Bendを使用したトラック制作例(基本編)

Bendを使用した効果を実際に聴いて比較して頂くために簡単なデモを作成しました。
まずは、Bendをインサートする前の演奏を聴いてみましょう。演奏しているフレーズは図のように打ち込んでいます。

図3:演奏しているMIDIノートはこのように打ち込んでいる。

シンセリードのフレーズは符割的には長い音価が多いフレーズです。このフレーズにBendを加えてみると、アナログシンセ的なテイストが付加されているのがわかると思います。

ポルタメントやグライド機能を持たないシンセ音源にピッチ変化を加えたい時などには効果的なデバイスですね。

Bendを使用したトラック制作例(応用編)

基本編ではどちらかというと正攻法の使い方を紹介しましたが、より積極的な活用例として他のノートFXデバイスを組み合わせてみましょう。

図4:Bendの後にMutli-note → Randomizeと追加した状態。

先ほどのシンセリードのトラックでBendの後にMutli-note → Randomizeと追加してみました。

少々やり過ぎな感じもありますが、単音フレーズの時よりも目立ったサウンドになっていると思います。

ここで、追加したデバイスについて補足しておきましょう。
Multi-noteは、大まかにいうと単音の演奏を和音演奏に変化させることができるものです。

図5:Multi-noteのデバイスページ表示状態の全体像。

元のピッチを任意のピッチや強弱に最大8個変化させることができるだけでなく、それらがどの位の頻度で演奏されるかも設定することができるため、微妙に異なるフレーズが得られます。設定次第ではコードメモリー的な使い方もできるので、同じコードの平行移動フレーズを容易に得られます。
Randomizeは、ピッチやパン、強弱などを不規則に変化させるノートFXデバイスです。既にこの連載でも多用していますが、思いがけないフレーズやサウンドを得るには非常に効果的なデバイスです。

図6:Randomizeのデバイスページ表示状態の全体像。

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。