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Bitwig Studio “Note FX Spotlight” – vol.1

新しいノートFXデバイスを曲作りに活用する

第1回:Note Repeats

Bitwig Studioもバージョン4(最新版はバージョン4.1.2)となり、一層の機能充実が図られましたが、やはり注目すべきは新しく追加されたノートFXデバイスでしょう。 ノートFXデバイスは演奏フレーズを多彩に変化させ、オーソドックスなセオリーだけでは思いつかないアイディアを提供してくれます。

図1:メインスクリーン画面

この連載では新たに追加されたデバイスをフィーチャーした活用テクなどを紹介したいと思います。

まずは、Note Repeatsから解説していきましょう。

Note Repeatsの機能と効果

Note Repeatsは、機能名そのままという感じですが、打ち込まれているMIDIノートを繰り返して演奏させることができるエフェクトです。

図2:Note Repeatsの全体像

例えば全音符の白玉コードにNote Repeatsを加えるだけで、指定した音符の音価で分割して演奏させることができますので、分割する音価で8分音符を選べば、ピアノの8分音符の刻みのような演奏になります。

しかしながら、Note Repeatsはそのようなシンプルな効果だけではなく、アクセントを含む強弱や音価などのパラメーター設定の発生確率を設定することによって、ランダムな演奏フレーズを作り出すことができます。

わかりやすいようにBitwigに収録されているループ素材を使用してバックトラックを作成し、シンセデバイス「FM-4」のエレピ風の音色で図のようにシンプルな白玉演奏を打ち込んでみました。

図3:FM-4のトラックに打ち込んだMIDIノートの状態。このまま再生するとシンプルな白玉演奏が再生される。

ノートFXデバイス割り当て前がどのような演奏になっているのかデモ音源を聴いてみてください。

この状態では、FM-4は全音符で白玉を延々と演奏している状態ですが、このフレーズにNote Repeatsを加えてみましょう。

図4:FM-4の手前の黄色い枠線で囲んだ部分がにNote Repeatsをインサートした状態。また、FM-4のデバイス内部右上部分の黄色い枠線で囲んだ部分にもノートFXデバイスを設定することができる。どちらが良いかということについては、特に明確な定義はないので、ケースバイケースで試してみると良いだろう。

ちなみに、ノートFXデバイスはシンセデバイスの中にインサートもできますが、ここでは基本通りシンセデバイスの前に加えます。

このようにNote Repeatsを加えるだけでも、効果的ですが、他のデバイス同様にモジュレータを追加することで、一層複雑かつ多彩な効果を演出することができます。 では、LFOモジュールのBeat LFOを追加してみましょう。モジュールの割り当ては画面左側のスロット部分の“ + ”をクリックし、LFO → Beat LFO と選択して割り当てます。

図5:モジュレーターの空きスロットにLFOモジュールのBeat LFOをを割り当てている状態。黄色い枠線で囲んだ「+」部分をクリックすると上部のリストが表示される。

パラメーターの変調を設定するには、モジュール下部の “ 〇→ ” 部分をクリックし、点滅している状態で変調させたいパラメーター上でマウスをドラッグします。

図6:モジュール下部の “ 〇→ ” 部分をクリックすると点滅が始まるので、点滅している間に割り当てたいパラメーターを設定する。点滅中に複数のパラメーターを設定することも可能だ。

パラメーターの設定が終了したらもう一度モジュール下部の “ 〇→ ” 部分をクリックして設定は完了です。

尚、Note Repeatsの各パラメーターについて調べたい場合には、デバイス上で右クリックし、「表示-アイテムヘルプ」を選択すると各パラメーターの説明画面が表示されます。

図7:デバイス上で右クリックして表示されるメニュー

 

図8:表示されるデバイスの説明。参考例としてここで解説しているNote Repeatsのヘルプはこのように表示される。

他のデバイスを使用する際にも同様の作法で確認できますので、覚えておくと良いでしょう。

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。