第13回:KeyScapeを使いこなすためのポイント(プラグイン音源として使用する際のセッティングのポイント – その1)
今回と次回に渡ってKeyScapeをプラグイン音源として使用する際のポイントとなる設定に関して解説したいと思います。
やや専門的な内容になりますが、知っておくと後々役に立つことも多々含まれていますので、この機会に知っておくと良いでしょう。
プラグイン音源としてKeyScapeを演奏する際のポイント
一般的にDAW上でプラグイン音源などを使用して音楽制作を行う場合、安定した動作を維持しながらストレスなく作業が行えるようにコンピューター本体やDAW、プラグイン音源などのそれぞれで設定することが不可欠です。
KeyScapeを使用する場合にも同様で、それぞれの制作環境に応じたレスポンスが得られるように音源の動作設定を行っておくと良いでしょう。
KeyScapeの音源設定は、「SYSTEM」に用意されているメニューで設定を行います。
図1:黄色の枠線で囲んだ部分をクリックすると設定を行うページが表示される。
表示された画面に再生音のストリーミングに関する設定の他、マスターチューニング、ラウンドロビン、KeyScapeの操作などに関する設定やMIDIの受信に関する設定を行うことができます。
SYSTEMの設定ポイント : 1. STREAMING設定
STREAMINGセクションの設定項目には、Pre-Load Memory SizeとStream Brakeが用意されています。
図2
それぞれのパラメーターは以下のような役割を持ち、KeyScapeの動作において重要な設定項目となっています。
Pre-Load Memory Size
発音するサンプルのプリロードに割り当てるメモリ量を決定しするためのコントロールを行います。
設定値を高くすることで、ストリーミングの際の問題となるグリッチの発生率を低くすることができますが、設定値を上げることによってメモリの消費量が増加するため、Soundsourceのロード時間が長くなります。
KeyScapeのオンラインマニュアルに記載されているメーカー推奨値は22,000から66,000となっており、標準のデフォルト値は60,000となります。なお、パッチでTimbre、またはSample-Startを使用している場合には、このパラメーターの設定値を40,000以上にした方が良い場合があるようです。
Stream Brake
ストリーミングとその他の操作間のシステムリソースバランスを調整を行うパラメーターで、プリロードメモリサイズの次に重要なストリーミングパラメーターです。設定可能な値の範囲は0.00秒~1.00秒になります。
こちらもKeyScapeのオンラインマニュアルによると、通常は0.1程度の値に設定する必要があり、0.5以上の値に設定すると、アプリケーション内の他の処理を優先するためにストリーミングの読み取りに遅延が生じ、ストリーミング不具合の発生する可能性があります。逆に0に設定すると、ストリーミングがCPUを独占する状態となるために他の操作で不具合が発生する可能性があります。
Stream BrakeとPre-Load Memory Sizeパラメーターは相関関係があり、Pre-Load Memory Sizeの値を大きくした場合は、通常、Stream Brakeの値も大きくする必要があります。
次回は、SYSTEM設定のMiscellaneousとMIDIセクションについて解説したいと思います。