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SL MK2シリーズ ユーザーマニュアル

SL73 MK2 / SL88 MK2 / SL88 GT ユーザーマニュアル(SL MK2)


もくじ

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はじめに

SL MK2シリーズをお選びいただきありがとうございます。これは新世代のキーボード・コントローラーで、堅牢かつスタイリッシュな筐体に、新開発のテクノロジーと Numa X Piano 由来の革新的な UX Logic ユーザー・インターフェースを搭載しています。アフタータッチ対応の鍵盤に加え、プログラム可能なスティックやトランスポート・コントロールにより、演奏表現を総合的にコントロールできます。

Numa Player とのシームレスな連携、内蔵プロ仕様オーディオ・インターフェース、そして高解像度の MIDI 2.0 に対応している点が、SL MK2をユニークな存在にしています。

スタジオ配線例

  • USB-C:DAWなどのソフトウェアが動作するコンピューターへ接続
  • MIDI In / Out:外部ハードウェア音源などへ接続
  • L / R オーディオ出力:アクティブ・ステレオ・スピーカーに接続
  • PHONES:ヘッドホンに接続
  • Pedals 1 / 2 / 3:それぞれスイッチペダル、スイッチまたはエクスプレッションペダル、マルチファンクションペダルに接続

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電源入力と接続端子

  1. 付属AC アダプターでUSB-Cポートを電源に接続
  2. 電源プラグ横の電源ボタンで本体をオン

USB給電

本機は、付属のUSBケーブルまたは品質の高いシールドUSBケーブルを使用し、接続されたデバイスから電源を供給することもできます。

コンピューターまたはモバイル機器が十分な電力を供給できることを確認してください。可能な限り、USBハブやアダプターの使用は避けてください。

USBデータ

本機は、下記の4つの異なるMIDIポートおよび1つのUSBオーディオポートを実装しています。

  1. SL CTRL(Mac)/ SL(Windows):標準的なMIDI入出力制御用ポートです。
  2. SL MIDI 2.0(Mac専用):新しいMIDI 2.0プロトコルを有効にします。

    CTRLポートとMIDI 2.0ポートは並列で動作します。MIDIノートの重複を回避するために、どちらか一方のみをDAWのトラックで有効化してください。MIDI 2.0ポートは[グローバル・エディット]で無効化が可能です。

  3. SL DAW(Mac)/ MIDIIN2–MIDIOUT2(Win):DAW のトランスポート制御用ポートです([DAWモード]参照)。

    本機をコントロールサーフェスとして使用する場合、このポートをMIDIトラックの標準MIDI入力から無効に設定してください(Mackieプロトコルでは、一部のトランスポートコマンドにMIDIノートメッセージが使用されるため、誤って音が再生される場合があります)。

  4. SL LINK(Mac)/ MIDIIN3–MIDIOUT3(Win):Numa Playerおよびその他の互換アプリケーションとの連携機能を有効にします([Appモード]参照)。
  5. SL AUDIO(Mac / Win):48 kHz / 16 bit出力のデジタルオーディオインターフェースとして機能します。

    外部のデジタルオーディオインターフェースを、異なるサンプリングレートや解像度で使用している場合は、競合を避けるためにこの機能を無効化してください。

ペダル

ペダルは、本体背面の PED1 / PED2 / PED3 と表示された各端子に接続してください。

  • PED1:スイッチペダルを接続できます。
  • PED2:スイッチペダルまたはボリューム/エクスプレッションペダルのいずれかを接続できます。
  • PED3:スイッチペダル、ボリューム/エクスプレッションペダル、またはStudiologic SLP3-Dを接続できます。

オーディオ出力

外部アンプシステムを使用する場合や、演奏音を録音したい場合は、L /R オーディオ出力端子を、適切なケーブルを用いてミキサー、アンプ、またはコンピューターのオーディオ入力端子に接続してください。

SLシリーズはMIDIコントローラー・キーボードであり、本体内部に音源は搭載されていません。ただし、「Audio over USB」機能により、コンピューターまたは対応するデジタル機器からのオーディオ信号をアナログのオーディオ出力へルーティング(出力)することが可能です。

ヘッドホン

ヘッドホン端子は、通常のヘッドホンの接続に使用できるほか、追加のステレオオーディオ出力として使用することも可能です。

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パネル – ディスプレイと操作

Aノブ

ノブを回してSL本体のアナログオーディオ出力レベルを調整したり、押下して無効化(ミュート)できます。

Bノブ

マスターMIDIボリュームに相当します。複数のゾーンを使用している場合、このノブですべてのアクティブゾーンの音量を一括して調整できます。

ゾーン・コントロール

ゾーン・エンコーダー
  • エンコーダーを回して対応するゾーンの音量を調整します。
  • エンコーダーを押下して対応するゾーンをミュートします。
ゾーン・ボタン
  • ボタンを押下して対応するゾーンを選択します。
  • ボタンを長押ししてズームモードに入り、関連するパラメーターを詳細に調整します。
  • DAWモード時 、ボタンを押してDAWのトランスポートコントロールが可能になります。

システム・ナビゲーション

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プログラム

SL MK2の基本画面にはプログラムが表示されます。各プログラムは4つのゾーンで構成され、ゾーンごとの設定がすべて保存されています。

ゾーンの状態

  • ON(有効):カラー表示
  • OFF(無効):黒表示
  • MUTE(ミュート):グレー表示

ホーム画面には各ゾーンのポート / チャンネル / ボリュームが表示され、Homeボタンを押すとズームモード(現ゾーンの詳細表示)へ切替可能です。

プログラムの選択

メイン・エンコーダーを使用して、プログラムを選択する方法は2通りあります。

  • 回す:プログラムを順番に切り替えます。
  • 上 / 下を押す :プログラムリストを表示し、目的のプログラムに直接ジャンプします。

お気に入りに割り当てたプログラムも同様に選択可能です(次項 [お気に入り]参照)。

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お気に入り

お気に入りは、プログラムを好みの順序で並べたコレクションであり、いわばセットリストのようなものです。この機能を使用することで、ライブ演奏中などに目的のサウンドへ素早くアクセスできるようになります。合計8個のFavoriteバンク内に、最大24個のプログラムを保存できます。

変更の保存

  1. 適用ボタンを押して保存メニューを表示します。
  2. 保存場所(P001-P100)と任意のカスタムネームを設定します。
  3. 適用ボタンをもう一度押し、保存を確定します。

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ゾーン・エディット

  1. ゾーン・ボタンを長押しして、編集したいゾーンのズームモードに入ります。
  2. メインエンコーダー(Main Encoder)をに操作して、以下のページを切り替えます。
    • CONTROLS:4つのゾーン・エンコーダーに割り当てられているMIDI CCを表示します。
    • SETTINGS:ゾーンのすべてのパラメーターを編集します。

  3. エンコーダーを上下に操作してパラメーターを選択し、回す と値の変更ができます。
ゾーンパラメーター一覧 設定可能な値
ZONE STATUS Off / On / Mute
ZONE NAME 値を入力します
MIDI PORT USB / DIN
CHANNEL 1–16
BANK MSB / LSB OFF / 0–127
PROGRAM CHANGE OFF / 1–128
VOLUME OFF / 0–127
OCTAVE SHIFT ±4
TRANSPOSE Global / ±12(半音)
VELOCITY CURVE Global / Normal / Hard / Soft / Fixed
FIXED VELOCITY 0–127
AFTERTOUCH Global / Off / On
PEDAL 1/2/3 FUNCTION Global / OFF / CC1–119(PED3はグローバル・エディットと連動)
PEDAL 2/3 MIN/MAX 0–127
STICK 1 FUNCTION Global / Off / On
STICK 2 FUNCTION Global / OFF / CC1–119
KNOB 1–4 CONTROL OFF / CC1–119
INITIALIZE

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DAWモード

SL MK2では、本体パネルから直接DAWのトランスポートをコントロールできます。

DAWボタンを押すと、ゾーン・ボタンがトランスポート・ボタンへ切り替わります。

  • ループ
  • 停止
  • 再生
  • 録音

この機能は、主要なDAWソフトウェアおよびMackieプロトコル準拠アプリケーションに対応しています。

一部のDAWでは、別途追加コンポーネント(拡張モジュールやスクリプト)のインストールが必要となる場合があります。

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Appモード

Appモードボタンで、SL MK2から対応サードパーティ・アプリを直接コントロールできます。

Studiologicは、対応アプリの全機能を統合的に制御するための新しいプロトコルSL LINKを開発しました。最初にこのプロトコルへ対応したアプリはStudiologic Numa Playerです。

Studiologic Numa Playerで利用可能な操作

  • メイン・エンコーダーで特定のプログラムを開く
  • ゾーン・ボタンで特定パート選択 / ミュート切替
  • ゾーン・ボタンを長押ししてアプリ内のセクション(パラメーター、設定、エフェクト、マスター)をナビゲートする

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グローバル・エディット

グローバル・エディットボタンを押すと、グローバル・エディットに入ります。

グローバル・エディットは自動的に保存され、各プログラムとは独立しています。

ファームウェア・バージョン

画面のサブタイトル部分には、現在インストールされているファームウェアのバージョンが表示されます。

MIDIバージョン表示

画面の右側には、現在のMIDIバージョンが表示されます。SL MK2は、接続された機器との互換性に基づき、MIDIプロトコルバージョンを自動的に切り替えます。

MIDI 2.0は、Musical Instrument Digital Interface(MIDI)プロトコルの最新進化版であり、デジタル楽器、ソフトウェア、その他のデバイス間のより表現力豊かで柔軟な通信を実現するために設計されています。1984年から使用されているMIDI 1.0を基盤とし、MIDI 2.0は、より高いベロシティ分解能、制御能力の向上、最新技術とのより優れた統合、MIDI Capability Inquiry(MIDI-CI)、Property Exchange、Universal MIDI Packet(UMP)など、数々の改良点、新機能をサポートしています。これにより、より繊細な演奏が可能になり、音楽制作と演奏において大きく前進しました。MIDI 1.0デバイスとの下位互換性も保証されています。

設定一覧

メインエンコーダーの上下を押してパラメーターをスクロールし、回して 値を変更します。

グローバルパラメーター 機能 設定可能な値
TRANSPOSE 鍵盤全体のピッチを任意のキーに移調します。 ±12(半音)
VELOCITY CURVE 演奏スタイルやタッチの好みに応じて、異なるベロシティカーブを選択できます。 SOFT / NORMAL / HARD / FIXED
VELOCITY FIXED VELOCITY CURVEFIXEDに設定した場合に、固定値を指定します。 1–127
KBD SENSITIVITY 現在のベロシティカーブに対する感度を調整します。 −25%(重め)〜 +25%(軽め)
KEY SENSITIVITY 鍵盤のキーを押しながら、感度レベルを微調整します。 −30%〜+30%
KBD B/W BALANCE 黒鍵と白鍵の反応バランスを調整します。 ±15%
AFTERTOUCH 内蔵鍵盤でのアフタータッチ機能を有効または無効にします。 ON / OFF
AFTERTOUCH SENSITIVITY アフタータッチの反応感度を調整します。 −32%〜+32%
PEDAL 1 TYPE PED1端子に接続するペダルのタイプを設定します。 SWITCH A / SWITCH B
PEDAL 1 FUNC PED1に割り当てる機能を選択します。 OFF / CC1–119
PEDAL 2 TYPE PED2端子に接続するペダルのタイプを設定します。 SWITCH A / SWITCH B / CONTINUOUS A / CONTINUOUS B
PEDAL 2 FUNC PED2に割り当てる機能を選択します。 OFF / CC1–119
PEDAL 2 MIN/MAX PED2で制御する値の範囲を設定します。 0–127
PEDAL 3 TYPE PED3端子に接続するペダルのタイプを設定します。 SWITCH A / SWITCH B / CONTINUOUS A / CONTINUOUS B / SLP3-D
PEDAL 3 FUNC PED3に割り当てる機能を設定します。選択可能な値はPEDAL 3 TYPEの設定内容によって変化します。 OFF / PIANO PEDALS / P+ P− HOLD / CC1–119
PEDAL 3 MIN/MAX PED3で制御する値の範囲を設定します。 0–127
STICK 1 ON / OFF
STICK 2 FUNC Stick 2に割り当てるMIDI CC番号を設定します。 OFF / CC1–119
COMMON CHANNEL  USB MIDIをSingle Channelモードに設定します。共通のチャンネルを使用し、DAWとの間でMIDIパラメーターを送受信できます。 OFF / 1–16
UI LAYOUT ホーム画面の外観を設定します。 CLASSIC / ZOOM
MERGE IN  DIN端子(MIDI IN)から受信したMIDIメッセージをMIDI出力へマージ(統合送出)するかを設定します。 OFF / USB / MIDI OUT (DIN) / USB + MIDI OUT (DIN)
USB MIDI MODE  MIDI 2.0 LOW RESを選択すると高分解能MIDIを無効化、MIDI 1.0を選択するとMIDI 2.0ポート自体を無効化します。これは、MIDI 2.0非対応機器やMIDIメッセージの重複を回避する際に有効です。 MIDI 2.0 / MIDI 2.0 LOW RES / MIDI 1.0
USB AUDIO USBオーディオ機能を無効にするにはOFFに設定します。 ON / OFF
LCD DIMMER ディスプレイの明るさを調整します。 0–100%(5刻み)
FACTORY RESTORE すべての工場出荷時設定を復元します。メインエンコーダーを押し込み、適用ボタンを押して確定します。

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安全にお使いいただくために

感電、ショート、破損、火災、その他の危険による重大な人身事故や死亡の可能性を避けるため、以下の基本的な注意事項を必ず守ってください。

電源供給

ヒーターやラジエーターなどの熱源の近くに製品を設置しないでください。製品仕様で指定された正しい電圧および付属の電源コード/プラグのみを使用してください。

分解しないで!

本製品には、ユーザーが修理・調整できる部品は含まれていません。内部の部品を分解したり、改造したりしないでください。本製品の修理は、必ず資格のあるサービススタッフに依頼してください。

湿気に注意

本製品を雨や湿気にさらさないでください。液体を入れた容器を本製品の上に置かないでください。水の近く(プール、浴槽、湿気の多い地下室など)で使用しないでください。寒い場所から暖かい部屋へ移動した場合、内部に結露が生じることがあります。損傷を防ぐため、本製品を室温に戻してから電源を入れてください。濡れた手で電源プラグの抜き差しをしないでください。

設置

製品を設置する際は、安定したラックや台を使用してください。製品のサイズと重量に十分ご注意ください。不安定な場所や過度の振動がある場所には設置しないでください。製品の上に他の物を載せないでください。

取り扱いについて

無線信号を発する機器の近くで使用すると、ノイズが発生する場合があります。本製品を過度のほこり、振動、極端な寒暖(直射日光下、ヒーター付近、または日中の車内など)にさらさないでください。

クリーニング/メンテナンス

表面を傷つける恐れのある研磨剤入りの洗剤は使用しないでください。わずかに湿らせたマイクロファイバークロスの使用を推奨します。

梱包材の保管

輸送時や修理が必要な際に製品を保護できるよう、すべての梱包材を保管してください。

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宣言

保証

Studiologic by Fatarの製品はすべて慎重に製造され、校正され、テストされています。本製品には保証が付いています。輸送、設置、取り扱いに起因する損傷は保証の対象外です。製品の価格を超える補償は除外されます。詳細については、販売店または地域の代理店にお問い合わせください。これは地域の代理店またはFATAR srl(イタリア)の一般的な規約に基づいています。

CE適合性

FATAR srl
Zona Ind.le Squartabue
62019 Recanati MC, Italy

本製品は、以下のヨーロッパ指令に準拠しています。

2004/108/EC:EMC指令(電磁両立性)
DIN EN 55013:サウンド、テレビおよび関連機器の電磁波妨害
DIN EN 55020:サウンド、テレビおよび関連機器の電磁波耐性

Recanati, 2024年2月2日 Marco Ragni, 最高経営責任者

本宣言は、承認なしに本装置が改造された場合には無効となります。

RoHS適合性

本製品は、2002/95/EC指令に従って製造されています(有害物質の制限に関する指令)。

廃棄/ WEEE

EC指令2003/108/ECの目的は、優先的に電気および電子機器廃棄物(WEEE)の排出を防止し、廃棄物の再利用、リサイクル、その他の回収方法を促進することです。廃棄物の処分を削減し、環境保護にご協力ください。

技術の最先端

Studiologic by Fatar の製品は、常に最新技術を駆使して設計されています。そのため、事前の通知なしに更新、改良、変更が行われることがあります。技術仕様および製品外観は、このマニュアルと異なる場合があります。

商標

本マニュアルで使用されているすべての商標は、それぞれの所有者に帰属します。

著作権

本マニュアルの一部または全部を、事前の許可なく複製または送信することはできません。

FATAR Srl
Zona Ind.le Squartabue
62019 Recanati, Italy

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