You are currently viewing Spireでゼロからのサウンドメイク vol.27

Spireでゼロからのサウンドメイク vol.27

今回はストリングス音色にフォーカスしたサウンドメイクの締めくくりとして、その他の設定ポイントについて解説しましょう。

今回の作成音色を読み込んだメイン画面

<デモサウンド>

今回作成した音色のデモサウンドです。ストリングスのサウンドをゴージャスに聴かせたい場合には、デモのように低域から高域まで使用したオープンボイシングで演奏すると一層効果的です。

エフェクトセクションの設定

今回の音色ではシェイパー、ディレイ、リバーブを使用しています。

上から順に、それぞれシェイパー、ディレイ、リバーブのエフェクト設定の状態。

ディレイとリバーブは、奥行きや広がりを付加するために各パラメータを気持ち深めに設定していますが、設定を大きくした分だけ、エフェクトバランスを小さめにしてオケの中で浮かないように調整しています。

シェイパーを使用した理由は、ジャンルにもよりますが、リアルなストリングス音色ではなく、一癖あるサウンドの方が逆にストリングスらしく引き立つ場合もあります。このような場合に役に立つのが汚し系エフェクトです。

とは言え、シェイパーはある意味諸刃の剣のようなエフェクトなので、あまり極端にかけてしまうとストリングスらしさがなくなってしまうリスクもあります。

シェイパーを使用する際には、和音演奏した時のサウンドの濁り具合によって調整するのが良いでしょう。

ベロシティの設定

ある意味今回の音色で重要な設定ポイントとなっているのが、このベロシティの設定でしょう。

ベロシティの設定状態。黄色の枠線で囲んだ部分がベロシティ設定の部分となる。

ストリングスの音量変化やダイナミクス変化は、DAWのトラックオートメーションで設定することが多いと思いますが、強弱のダイナミクスによる演奏感は打ち込んだ際のベロシティ調整の方が総じて表現しやすいように思います。

ここでは、マスターアウトのベロシティ感度を最大に設定し、それぞれのENVセクションでカットオフフリケンシーとメインボリュームのベロシティ設定を行うことで、デモサウンドのような雰囲気を出すことができます。

今回の音色は、マトリックス機能やLFOなどを特に設定せずに作成しているように、オシレータ、フィルター、アンプ各セクションの基本的な調整とエフェクト設定などだけで敢えて作成してみました。
この一連の作成プロセスは、パッド系音色を作成する際にも応用できると思いますので、ぜひ色々トライしてみてほしいと思います。

<音色データ>

今回作成してるサウンドのプリセット・データ(音色データ)です。
以下のリンクをクリックしてダウンロードされる「Destructive_Strings.spf_.zip」ファイルを解凍後、現れた「Destructive Strings.spf」ファイルを、SpireのLoad Presetから読み込みます。

Reveal Sound SPIRE

Spire

ポリフォニック・シンセサイザー

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。