You are currently viewing Spireでゼロからのサウンドメイク vol.25

Spireでゼロからのサウンドメイク vol.25

今回は曲作りにおいて使用頻度が比較的高いストリングス音色にフォーカスしたサウンドメイクについて解説したいと思います。

ストリングスは音色的に作りやすいのですが、それだけに独自性を持たせるのも難しい面もありますが、筆者なりのサウンドメイクの着眼点を紹介していきましょう。

今回の作成音色を読み込んだメイン画面

<デモサウンド>

今回作成した音色のデモサウンドです。ストリングスのサウンドをゴージャスに聴かせたい場合には、デモのように低域から高域まで使用したオープンボイシングで演奏すると一層効果的です。

初期状態からのサウンドメイクのススメ

ストリングスは、クラシックからJ-POP、ロック、EDMに至るまで幅広いジャンルで使用される音色です。Spireのプリセットにもストリングス系音色がいくつか用意されていますが、時にはプリセットに用意されていないタイプの音色が必要になることはしばしばあります。例えば以前の連載で紹介していたようなチョイ足しエディットで事足りない場合には初期状態から作ってみるのも良いでしょう。特にストリングスの音色は、極端に言えばシンセ波形でノコギリ波を選んで、アタックとリリースを調整するだけでも原型を作れるため、やってみると意外な発見や閃きも得られると思います。

オシレータの設定

ストリングスの音色は、ジャンルにもよりますがアンサンブル音色を使用する機会が多いと思います。Spireでアンサンブル感を出すにはオシレータを多く使用するのに加えて、ユニゾンデチューンを効果的に使用するのがポイントとなります。

今回は4基のオシレータを全て使用し、かつ、ユニゾンデチューンの設定をして、重厚なサウンドになるように調整しています。

各オシレータの設定状態。各画像は上から順に、オシレータ1、オシレータ2、オシレータ3、オシレータ4の設定となっている。

オシレータはクラシックモードを4基ともに使用し、オシレータ1から3はノコギリ波に設定していますが、オシレータ4のみオクターブレンジを1オクターブ上に設定し、少し波形を変化させています。

また、ユニゾンデチューンの設定は各図のようにそれぞれ4ボイスのユニゾンに設定し、detuneとdensityの設定を意図的に異なる値にすることで複雑なチューニングの揺れによるコーラス効果を加えています。

今回のユニゾン設定は、それぞれのユニゾンボイス数を同じ数にしていますが、好みでそれぞれのユニゾンボイス数を変えてみるのも良いでしょう。

<音色データ>

今回作成してるサウンドのプリセット・データ(音色データ)です。
以下のリンクをクリックしてダウンロードされる「Destructive_Strings.spf_.zip」ファイルを解凍後、現れた「Destructive Strings.spf」ファイルを、SpireのLoad Presetから読み込みます。

Reveal Sound SPIRE

Spire

ポリフォニック・シンセサイザー

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。