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Spireでゼロからのサウンドメイク vol.24

3回に渡ってエレクトリックオルガン音色の作成ポイントを解説しましたが、最後にエフェクトの設定などについて説明したいと思います。

今回の作成音色を読み込んだメイン画面

<デモサウンド>

今回作成した音色のデモサウンドです。マトリックス機能を使用してコーラスエフェクトのかかり具合をリアルタイムコントロールしています。

エフェクト設定について

この音色ではコーラスとリバーブを使用しています。

まず、コーラスエフェクトの設定には少しこだわってみました。エレクトリックオルガンにはロータリースピーカーを組み合わせて使用することが多いのですが、Spireにはロータリーシミュレータはないので、似たようなサウンドに近づけるためにコーラスエフェクトの設定に一工夫してみました。ローターのスピードの変化による音色の揺れ具合はコーラスのレイトとデプスをリアルタイムに変化させれることでそれらしい変化になるので、マトリックス機能を使用して下図のように設定しています。

コーラスエフェクトの設定状態。

マトリックス機能の設定状態。

変調ソースとしてはLFOでも良かったのですが、LFOの場合だと、一定の周期で変化し続けてしまうため、リアルさという点では今一つとなったため、モジュレーションホイールでコントロールすることにしました。これによってリアルタイムコントロールで任意の箇所で思ったように変化させられるため、演奏のリアルさを演出しやすくなります。それと独自性を出すためにフィードバックの設定も少し変化するように加えています。リバーブについては、残響感を適宜加える程度に留めています。リバーブタイムは気持ち短かめ、エフェクトバランスはドライ:ウェットが6:4位を目安に設定しています。

リバーブエフェクトの設定状態。

ちなみに、好みでディレイエフェクトを追加すると、70年代位のプログレ風のサウンドになります。その場合ディレイタイムはやや長めに設定すると良いでしょう。

実際に音色を使用する際のポイント

最後にオシレータ設定について1点補足しましょう。

各オシレータのみにするとシンプルなサイン波ですが、それぞれをミックスすることでオルガンらしい音色になるのがわかるかと思います。オシレータ出力のミックスバランスを変えることで、音色のバリエーションが出せますので、状況に応じて調整してみると良いでしょう。

オシレータのミックスバランスの調整以外に、各オシレータのオンオフもバリエーションを得るのに有効だ。

また、オシレータ3と4の設定は変調感があまりないので、ただのサイン波のように聴こえるかもしれませんが、Ctrl Bのパラメータを動かすとFM変調による変化がより感じられますので、どのように変化するかチェックしてみてください。

<音色データ>

今回作成してるサウンドのプリセット・データ(音色データ)です。
以下のリンクをクリックしてダウンロードされる「B3_Organ_1.spf_.zip」ファイルを解凍後、現れた「B3 Organ 1.spf」ファイルを、SpireのLoad Presetから読み込みます。

Reveal Sound SPIRE

Spire

ポリフォニック・シンセサイザー

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。