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Spireでゼロからのサウンドメイク vol.13

Spireには変調のソースとしてエンベロープジェネレータ(以下、EG)やLFOに加えてステップシーケンサータイプのStepperという機能を使用することができます。

今回はStepperを使用してポリリズム的な音色変化を持った音色を作成してみたいと思います。

今回の作成音色を読み込んだメイン画面

<デモサウンド>

Stepperを使用してポリリズム的な音色変化を持った音色を使用したフレーズ例です。
リバーブやディレイは本体内蔵エフェクトのみ使用しています。

オシレータ1のみをオンにした状態で同じフレーズを演奏させた例です。

オシレータ2のみをオンにした状態で同じフレーズを演奏させた例です。

オシレータ3のみをオンにした状態で同じフレーズを演奏させた例です。

まずはStepperの機能について解説していきましょう。

Stepperとは?

一般的にEGやLFOは一定の時間的変化や周期的変化を作り出すための変調モジュールですが、大まかに言うとStepperはその両者の特徴を持っていると言えます。

Stepperの設定画面

なぜかというと、この設定をループさせれば、任意の変化を周期的に繰り返すLFOのようになり、ループさせなければ、複雑な時間的変化を表現するフリーEGのようにターゲットとなるパラメータを変調できるためです。

さて、Stepperは16個のステップで構成されており、ステップごとに開始から終了ポイントまでの変化を設定可能です。使用するステップ数は任意に設定できるため、タイムベースの設定次第で様々なリズムで変調を行なうことができます。

例えば、タイムベースを1/8、ステップ数を7に設定することで、符割的には7/8拍子のようなタイム感による変化を表現させることができます。

また、Stepperは2基装備しているので、もう一方のStepperのタイムベースを1/16、ステップ数を5に設定すると、符割的に5/16拍子のようなタイム感による変化を同時に利用できます。

つまり、複合拍子=ポリリズム的な変化を1つの音色の中に混在可能となるワケです。

Stepperの設定方法

Stepperの設定は、図のように青線で囲んだ部分で1/8、1/4などのようにタイムベースを設定します。

Stepperの設定ポイントを図示した画面(本文参照)。

使用するステップ数は赤線で囲んだ部分で設定します。この時に開始(Start)と終了(End)位置のステップを自由に設定できますが、リトリガーとループのオンオフの設定次第でステップの再生順番が変化するのがポイントです。

そして、各ステップの設定を行うには、設定したいステップの位置をクリックして選択し、図中の黄色の矢印で示しているように右下部の拡大表示されたエリアでマウスをドラッグして設定します。

ちなみに、図中のX1, X2, X3, X4を設定することによって、各ステップの時間分割数(=波形変化の回数)が設定できますので、数値を大きくするにつれてより細かい符割のリズム変化を設定することができます。

<音色データ>

今回作成してるサウンドのプリセット・データ(音色データ)です。
以下のリンクをクリックしてダウンロードされる「polyrhythmFX.spf_.zip」ファイルを解凍後、現れた「polyrhythm FX.spf」ファイルを、SpireのLoad Presetから読み込みます。


Reveal Sound SPIRE

Spire

ポリフォニック・シンセサイザー

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。