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Spireのプリセットサウンドを更に良くするチョイ足しエディット術 vol.31

さて、今回はヴィンテージシンセの名機minimoog風のシンセリードをチョイ足し感覚で作ってみたいと思います。

オリジナルの実機をエミュレートしたシンセはハード、ソフト共に製品化されていますが、Spireでもそれ風のサウンドが出せるコツを紹介しましょう。

minimoogサウンドをSpireで再現するポイント

minimoogに限らず名機のサウンドの再現を行うには、「そのモデルの特徴をどのように実機らしく再現するか」がポイントとなります。

minimoog風シンセリード音色の設定状態。オシレータとフィルター、エフェクトのディレイの設定以外はほぼデフォルトの状態なので、音色作りの最初の設定としてここから様々なサウンドに変化させていくのも良いだろう。

今回のminimoog風サウンドを作る際には実機らしさを表現するために以下のような点

  • 3VCOのモノフォニックシンセであること
  • オシレータの1と2にランプ波という特殊なシンセ波形を内蔵していること
  • シングルトリガーによるレガートで演奏した時の音のアタック感

をSpireでどう設定するかに着目します。

今回の作成例では、モノフォニック発音とシングルトリガーらしさは発音モードを“mono 2”に設定すればオーケーです。

Spireの発音モードはここで設定する。モノモードは4種類、ポリモードは2種類の発音モードの設定が可能だ。

問題はランプ波をどのように再現するかですが、ランプ波は三角波とノコギリ波の中間的な波形ですので、SpireのオシレータセクションでClassicモードのノコギリ波とWAVEで三角波を選んでWT Mixで50:50になるようにミックスしてみました。

オシレータセクションの設定状態。同じ設定を複数のオシレータで行う場合にはコピー&ペースト機能を活用すると良い。

オシレータ1で設定したこの状態をオシレータ2にコピー&ペーストし、チューニングのfineを少しだけずらして、チューニングがピッタリ合わない感じを出します。

後は適宜フィルターのカットオフとエンベロープを設定すればほぼ出来上がりです。

ちなみに実機らしさを優先するのであれば、2オシレータで作成するのが良いかもしれませんが、Spireならではの4オシレータを活かしてオシレータの3と4にもコピー&ペーストして音の芯や厚みを加えるのも良いと思います。
実際にどんなサウンドになったかはデモサウンドを聴いてみてください。

<デモサウンド>
minimoogのシンセリード風サウンドのデモです。モノシンセらしさを出すためにグライドを少しかけています。


Reveal Sound SPIRE

Spire

ポリフォニック・シンセサイザー

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。