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Spireのプリセットサウンドを更に良くするチョイ足しエディット術 vol.11

今回はEDMの定番サウンドの一つであるHooverサウンドを作るためのチョイ足しエディットテクを紹介しましょう。

サウンドの決め手はピッチの変化をどのように設定するのかがポイントとなります。

Factory 44番の「Legacy」をHooverサウンドに変えるチョイ足しエディット

シンセリードのプリセットである「Legacy」は、ストレートなノコギリ波サウンドが特徴的なプリセットですが、このようなリード音色からHooverサウンドにエディットしてみましょう。


エディットを行う前の Legacy の設定画面。

この音色のポイントはピッチ変化ですが、Spireでこのようなサウンドを作る場合はMatrixセクションで設定を行います。

Matrixはモジュラーシンセのようにフレキシブルな変調を行うことができる機能で、複雑なサウンド変化を作り出すためには欠かせません。実際のエディットは次のような手順でエディットを行います。

1:Matrixを選び、空いているSLOT3のソースにENV4、ターゲットの1から3にオシレータ1から3のピッチをアサインする

各ターゲットの左にあるスライダーで、変化の深さを設定し、右に大きくすると正方向の変化、左の場合は逆向きの変化の深さが調整可能。

2:ピッチ変化がイメージに合った変化カーブになるように ENV4のアタック、ディケイタイムを調整する


ENV4の設定。黄色の枠線で囲んだ部分が設定のポイントとなる。

3:オシレータ3のオクターブを+1に設定して1オクターブ上げ、各オシレータのバランスをミキサーで調整する

より派手なサウンドにするためにオシレータ3のピッチを1オクターブ上げ、更に各オシレータのボリュームバランスを調整してサウンドを仕上げよう。

チョイ足しのポイントはENV4の設定です。Matrixで設定した各ターゲットへの変調レベルを調整しつつ、好みのピッチ変化になるようにすると良いでしょう。

<デモサウンドについて>

サンプル:Before(プリセットを未エディットの状態で演奏したトラック)

サンプル:After(チョイ足しエディット後のトラック)


Reveal Sound SPIRE

Spire

ポリフォニック・シンセサイザー

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。