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Spireのプリセットサウンドを更に良くするチョイ足しエディット術 vol.9

今回はパッド音色のチョイ足しエディット編です。
実際のアレンジ例と共に紹介したいと思います。

Factory 98番の「Unity」にチョイ足し

今回チョイスした「Unity」のように派手目なサウンドのパッド系音色は、音の立ち上がりがゆっくりで、余韻が長いものが多く、白玉コードなどで使用するには良いのですが、リズミックなコードリフは演奏し辛い傾向があります。


エディットを行う前のUnityの設定画面。

このような音色をアタックの速いシンセヒット系にエディットしたい場合には以下のような流れでエディットしていきます。

1:ENV1、ENV3のアタックタイムを最速に設定します

ENV1、ENV3のエディット。Attackの設定を基本的に両方最速に設定しているが、ENV3の調整次第でシンセブラス的なアタック感も表現できる。

2:REVのdry/wetバランスを調整して、リバーブのかかり具合を控えめにします

リバーブの設定例。パッド系音色の設定はリバーブタイムが長めのものが多く、コードリフには適さないため、ウェット成分を控えめにするのがポイントだ。

3:DELのwideとdry/wetを調整して、ディレイ効果を適宜加えます

ディレイの設定例。ディレイタイムは曲のテンポに合致したテンポディレイにするのがオススメ。wide設定を大きくして広がり感を出すと良い感じに仕上がる。

あくまでもチョイ足しエディットなので、曲調によっては細部の調整が必要になりますが、パッド系音色からアタックの速いヒット系にエディットする場合にはこのようなプロセスでエディットしてみると良いでしょう。

また、実際に曲中でアレンジしていて、白玉コードとコードリフを同じ音色で演奏させたいこともありますが、白玉コードのトラックとは別に上記の手順でエディットした音色を割り当てたコードリフ用のトラックを作成しておくとスムースにフレーズを作り分けることができます。

<!– <デモサウンドについて>
※ フレーズを分かりやすくするために、キックの4つ打ちを加えています。

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サンプル:Before(プリセットを未エディットの状態で演奏した白玉コードトラック)

サンプル:After(チョイ足しエディット後のコードリフトラック)

サンプル:Demo(2つのトラックを同時に演奏した状態)


Reveal Sound SPIRE

Spire

ポリフォニック・シンセサイザー

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。