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Spireのプリセットサウンドを更に良くするチョイ足しエディット術 vol.8

今回もシンセベース音色でのチョイ足しエディットを紹介しましょう。

Factory 4番の「Drill Bass」にチョイ足し

デジタルシンセ風のゴリゴリした硬質のサウンドが特徴のDrill Bassは輪郭のしっかりしたベースラインに適していますが、オルガンのような持続音のため、シーケンサーの打ち込み的なフレーズの場合の相性としては今一つな感じとなります。


エディットを行う前の Drill Bass の設定画面。ENV1がオルガンのような音の変化に設定されているのがわかる。

そこで、サスティンが伸びっ放しのプリセットの状態から歯切れの良い減衰音系に変化させてみましょう。

操作は非常にシンプルで、ENV1のDecayとSustainの2パラメータの値をエディットするだけです。Decayの値を240〜250位、Sustainの値を0に設定します。


ENV1のチョイ足しエディット例。Decayの設定が、音の長さの調整ポイントとなっている。

Sustainを0にすることで、音の余韻は無くなりますので、発音時間を調整したい場合にはDecayの設定で行います。

このチョイ足しだけでも音色の印象は随分変わりますが、更にエフェクトのチョイ足しも行うのもオススメです。

Spireのエフェクトは曲のテンポにシンクしますので、ディレイを使用すると思いがけないトリッキーなフレーズになります。この際のポイントは、左右のディレイタイムを違うテンポに設定することと、左右の広がり感を調整するwideの広めに設定することです。これによって、立体感のあるスペイシーなベースサウンドに仕上げることができます。


ディレイの設定例。黄色の枠線で囲んだ部分がチョイ足しポイント。
画面上部がディレイタイム、中央右部がwideの設定パラメータとなっている。
<デモサウンドについて>
※ フレーズを分かりやすくするために、キックの4つ打ちを加えています。

サンプル:Before(プリセットを未エディットの状態で演奏した状態)

サンプル:After-1(ENV1のチョイ足しを加えた状態)

サンプル:After-2(更にディレイのチョイ足しを加えた状態)


Reveal Sound SPIRE

Spire

ポリフォニック・シンセサイザー

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。