【連載】Mixcraft 6で音と映像をミックス2 Vol.7!

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(2014/06/27)

Mixcraftの魅力をお伝えしている本連載。ここ数回は、マスタリングを取り上げています。
前回は、EQ(イコライザー)がどのようにマスタリングに役立つかをご紹介しました。

前回はEQについてご紹介したので、今回はコンプレッサーについて、ちょっとした使い方の提案を行いたいと思います。
※コンプレッサーの基本的な仕組みは、Mixcraft 6で音と映像をミックスVol.17でご紹介しているので、今回の連載と合わせてご覧ください。

マスタリングを開始する際、マスタートラックにはEQとコンプレッサーをインサート(挿入する)と以前に書きましたが、使用するコンプレッサーは1つだけではありません。複数のコンプレッサーを使って、音量が大きい部分(音のピーク)を抑えていきます。


音質変化を少なく、音圧を稼ぎたい

では、複数のコンプレッサーを使用する利点は何でしょうか?

答えは非常に簡単で、複数のコンプレッサーを段階的にかける方が、音質変化が少なく音圧を上げることができるためです。では、実際に耳で確かめていただきましょう。

  • 音源 A:1つのコンプレッサーで圧縮を行った音源
  • 音源 B:複数のコンプレッサーで圧縮を行った音源

以下の音源は、音源 A→音源 B→音源 A→音源 Bと順番で流れます。特に、音質を気にして聴いてみてください。

いかがでしょうか?音源 Aと音源 B、明らかに音質の変化を感じられたかと思います。そして、音源 Aに関していえば、若干音がつまっているような印象を受けた方もいるかと思います。
何故、このようなことが起きるのでしょうか?それについては、図を使って解説していきます。

圧縮は少しづつ少しずつ

ミックスである程度整えられてはいますが、マスタリング前の楽曲は音量にばらつきがあります。
音量にばらつきがあると、以下の図のように音量が飛び出ていたりします。このように、音量が大きくなっている部分を音のピークといいます。

ピーク図1

この音のピークを抑えて、楽曲の音量を均一にしていくことが、音圧アップに繋がります。

(このことは、Mixcraft 6で音と映像をミックス2 Vol.3!で詳しく解説しています。)

では、以下のような波形をしている楽曲のマスタリングを行うとします。

ピーク図2

音量が飛び出している部分、つまりピークが2カ所あるので、これらピークを1つのコンプレッサーだけで圧縮したとします。
すると、コンプレッサーのスレッショルド(圧縮を開始する音量レベルの設定)を、ピーク 2に合わせなければなりません。結果、ピーク 1に関しては大幅に圧縮がかかってしまい、音質変化が発生してしまいます。

ピーク図3

では、これらのトラブルを防止するためにはどうすればよいでしょうか?
それは、それぞれのピークに合わせた設定で、複数のコンプレッサーをかける方法が適しています。

まずは、ピーク 1だけにかかるようにコンプレッサーのパラメータを設定し、ピーク 1だけを圧縮します。

ピーク図4

次にピーク 2にかかるように設定したコンプレッサーで、ピーク 2だけを圧縮し持ち上げると、楽曲の音質変化を最小限に抑えて、音圧を稼ぐことが可能です。

ピーク図5

もちろんケースバイケースですが、これまで一つのエフェクトだけで圧縮を行っていた方は、是非上記方法にチャレンジしてみてください。

なお、注意点が1つだけあります。複数のコンプレッサーを使うことを推奨していますが、必要以上にプラグインを使用してしまうと、それだけで音質変化が発生する場合があります。
そのため、プラグインをバイパスしてみて音に変化がないようであれば、そのプラグインは外してしまいしょう!

エフェクトバイパス

「プラグインの使用は必要最低限に」

言葉でいうと簡単に聞こえますが、これが非常に難しい。練習あるのみですね!
それでは、また来週。