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TouchOSCとiPadでBLADEのXYパッドをグリグリする

少し前にiPadを買ったのです。

インターネットやちょっとした作業、写真やビデオ撮影などには使用するものの、購入前に抱いていたほどの大活躍ということもなく、気軽さではiPhoneに分があるし、インターネットも自宅ではiMacの大型ディスプレイの方が見やすい場合も多い。では、同じiOSデバイスとして、iPhoneとiPadの一番の違いは何か?と考えてみると、やはり一番の利点はディスプレイの大きさですよね。

このままではせっかく買ったiPadが持ち腐れてしまう・・・というわけで、有効利用しようと思うに至りました。

すでにこの『知る・楽しむ』のコーナーではSales TがiPadを楽器化してStudiologic Numaシリーズで演奏したり、DJソフトウェア化してBEATMIXでコントロールしたりという記事が紹介されています。

実際にやってみるとそれぞれとても面白いのですが、今回は逆にiPadでソフトウェアをコントロールする方法にチャレンジしてみたいと思います!

今回やってみたいことは実に明確です。「BLADEのXYパッドを直感的にグリグリしたい!」のです。

xypad
BLADE XYパッド

 

TouchOSCを活用する

弊社が取り扱っているソフトウェア・シンセサイザーの中で、Rob PapenのBLADEは中央に鎮座するXYパッドでHarmolatorやフィルターなどを直感的に操作できるのですが、マウスでのクリック&ドラッグ操作では少し寂しいというか、イマイチ盛り上がりにかけるというか・・・もう少し有機感を出したいのだけど、パッドコントローラを持っていないという状況だったので、ここぞとばかりにiPadの登場です。

iPadでMIDI信号を送信するためのアプリを調べてみると、噂には良く聞くTouchOSCに行き当たりました。App Storeで450円で販売されているアプリで、「優れた無償アプリが数多く出回る市場の中でこの価格は・・・」と他の似たような機能を持ったアプリを探してみたところ、同じジャンルのアプリの中では最も安い部類だったようです。

さっそく購入してiPadで起動してみるものの、何から手を着けて良いものかさっぱり判りません。開発元のサイトを参照して何をどうするものなのか調べるところから始めてたところ、どうやらTouchOSC以外にTouchOSC EditorというエディタとTouchOSC Bridgeというユーティリティのようなものを使用するようです。

エディタをダウンロードして起動してみると、とてもシンプルなインターフェイスでした。

TouchOSCEditor

SizeでiPhone用かiPad用かを選択して、右の黒い画面上で右クリックすると、追加する項目を選択するプルダウンメニューが表示されるので、ノブやスライダー、今回の主な目的のXYパッドをロードして、MIDIやOSC信号を割り当てるという仕組みですね。

今回はBLADEのXYパッドをグリグリしたいという目的なので、その名もずばり「XY Pad」というのをロードしてみました。

XY PadAddon

追加したコンポーネント(と呼んで良いものかどうか・・・)を選択すると上下左右にハンドルが表示されるので、好みの大きさにドラッグしたり、左側のインスペクターでカラーを選択したりできます。

あとは選択したコンポーネントを選択した状態で、OSCなのかMIDIなのか、コントロールチェンジなのかプログラムチェンジなのかノートなのか、ナンバーはいくつなのか、操作するレンジは最小いくつから最大いくつにするのか?というような設定を行います。

初めはXYパッドをグリグリと操作できれば満足だと思っていたのですが、やり始めたら「どうせならフィルターの値もいじりたいなぁ・・・」「Harmolatorも同時に操作できたらかなりグッと来るなぁ・・・」と思っているうちにこんなことになってしまいました。

BradeiPad1BradeiPad2

なんだかんだとXYパッドをいじるときにはHarmolatorの値もいじりたいし、XYパッド周辺の対応するX軸Y軸の値も設定したい。過激な変更をすればボリュームや音の立ち上がりも一緒にいじりたいときもあるし・・・とあれこれ追加していたら2ページにまたがるちょっとしたコントローラになってしまいました。。

念願のiPadでXYパッドをグリグリしているところを動画で撮ってみました。

Latchにしたアルペジエイターを初めに走らせたのと最後に停止した以外はすべてiPadからコントロールしています。HarmolatorのBaseやRange、Filterをいじっていたらサウンドが過激になり過ぎたので2ページ目のアンプのVolumeを調整したりしています。

ノブなどの反応が鈍いときがあったり、反応自体が怪しいときもあったり、Wi-fiの回線状況に影響を受けたりと、ひとくちにパーフェクトとは言い切れないようにも思いますが、すでにiPadをお持ちのユーザーさんが450円で手に入る機能としてはかなりのものという感想でした。何しろ一番の目的であるXYパッドの動作自体はほぼ完璧です。

せっかく作ってみたのでTouchOSCのBLADEのパッチと、BLADEで読み込むECS(MIDIマッピング)ファイルをダウンロードできるようにしておきます。

実際に使用できるようにするにはWi-fi接続とネットワークアダプター設定が必要です。詳しい情報はhexler社ウェブサイトや、日本語で解説されてる個人の方も多数いらっしゃるので、ここではBLADEを今回作成したiPad用パッチでコントロールするまでの流れを箇条書きで補足しておきます。

TouchOSCとiPadでBLADEのXYパッドをグリグリする流れ

  1. App StoreでTouchOSCを購入します(すでにお持ちの場合は2へ)
  2. Hexler社ウェブサイトよりTouchOSC Editor及びTouchOSC Bridgeをダウンロードします
  3. コンピュータとiPadを同じWi-Fi回線に接続します
  4. コンピュータでTouchOSC Editorを起動します
  5. Openメニューより、このページでダウンロード後に解凍したフォルダに含まれる「Bladeipad.touchosc」ファイルをロードします
  6. TouchOSC EditorのSyncボタンをクリックします(ポップアップメッセージが表示されます。表示されない場合ネットワーク回線を確認します)
  7. iPadでTouchOSCを起動し、画面右上の「i」をタップして設定を開きます。続いてLayout/Addとタップします
  8. ご使用のコンピュータ名称をタップしてTouchOSCにファイルを追加後、Layoutに戻り、iPadメニュー内の今読み込んだ設定「Bladeipad」をタップ、右上のDoneをタップします
  9. アプリケーション / ユーティリティ / AUDIO MIDI設定でMIDIスタジオを表示します
  10. ネットワーク・アイコンをダブルクリックし、MIDIネットワーク設定を表示します
    MIDI_NetPref
  11. 設定内左上、画像赤枠部分に何も表示されていない場合、直下の+ボタンでセッションを追加し、チェックをいれておきます
  12. ディレクトリでTouchOSCをインストールしたiPad名称を選択、接続ボタンをクリックします
  13. 接続が確立されたらネットワーク設定は閉じて構いません。TouchOSC Editorと同時にダウンロードしたTouchOSC Bridgeをダブルクリックで起動後、ご使用のDAWソフトを起動し、BLADEをロードしてください
  14. BLADEのロゴ左にあるECSボタンをクリックし、Load ECSを選択します
  15. Bladeipad.touchoscと同じフォルダに含まれるBladeipad.ecsをロードします

以上で設定は完了です。

XYパッドをコントロールする場合、BLADEの画面内のXYパッド右の動作選択のチェックをOFF/LIVEに設定しておく必要があります。

ECSファイルの読み込みに問題が生じる場合、BLADEのバージョンが低い場合やインストールが不完全に終了している可能性が考えられます。このような場合は再度最新インストーラのダウンロード/インストールをお試しください。