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The Scene【GrandVJ】 Vol.3 ~VJyou, marimosphere~

3月末に大々的にオープンした東急プラザ銀座とGrandVJの関係とは


みなさん、銀座にどかーんとオープンした新たな商業施設、東急プラザ銀座にはもう行きましたか? 国内初や東京初という話題の店舗がぎっしり詰まっていて、大きな話題になっているようですね。

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数寄屋橋交差点から3F直通のエスカレーターに乗り、右にグイッと行ったところがセレクトストア「HINKA RINKA」。入り口になんとかのニケ的な彫像が設置されていて、なんとこれがプロジェクションマッピングされています。

デジタルハリウッド大学院の院生浅田真理が各分野のアーティストとコラボし、東急百貨店の銀座5丁目の新店「HINKA RINKA」(3/31オープン)3F-5Fのアイコンを制作

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このニケのマッピング、実は制作工程の一部でGrandVJがひそかに活躍しています。
ん?一部だけ? 一筋縄ではいかないプロの制作現場を、映像を手掛けたVJyouさんとmarimosphereさんに伺いました。

インタビュー:  VJ/CGクリエイター VJyou, marimosphere

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デ (ディリゲント)
今回のインスタレーションアートの制作にはどのように携わったのですか?

VJyou
僕が担当したのは、3階のマッピング制作と、5階で床と天井に投影されている映像システム運用のお手伝いです。

トータルプロデュースのMira Creativeの浅田真理(以下、marimosphere)さんによるアートディレクションに基づき、投影する映像を検討して、インスタレーションそのものや店舗自体が持つコンセンプトとも調和するよう配慮しました。

marimosphere
私は今回のHINKA RINKAの3フロア全てのアイコンインスタレーションの企画、アートディレクションを担当しています。

今回、サモトラケのニケをテーマに据えて制作しました。メインエントランスになる3Fはお客様の流れも多いので、目を引く演出が必要になります。私も実はVJ歴が長く、今回HinkaRinkaのアイコンインスタレーションにプロジェクションマッピングを入れよう!という企画を立てたのも、VJ活動やマッピング制作の経験があったからでした。

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実際の制作手順の中で、GrandVJはどのように使用されているのでしょう?

VJyou
まず、marimosphereさんがニケ像の3DデータをもとにMAYAで3DCG上で、プロジェクターと投影物の関係をシミュレーションしました。そのレンダリング画像をAfter Effectsに取り込み、それをベースに素材を作り込みます。それを現場でプロジェクターから投影すると、レンズの歪みや設置場所の微妙な違いにより、かなりなズレが生じます。今回は現場での作業時間を短縮するために、GrandVJ2 XTのVideoMapper機能を使用して、プロジェクターから見た実際のニケ像の型取りを行い、補正用のマスク画像()を作りました。そのマスクを持ち帰り、再度After Effectsの映像を調整して完成です。

VideoMapper画面


VideoMapperを型取りのために使うとは、少し意外な使い方です。VideoMapperのデータを見ると、相当細かくサーフェスの設定がされていますね。

VJyou
開店準備中の店内では照明を落とすことも難しいので、VideoMapperのサーフェス設定画面は視認性が高く、立体物の構成面を切り取るにはよい方法でした()。像自体の形が複雑なのと、投影できる面積が少ないことから、できるだけ細かくマスクを作りたかったんです。

marimosphere
私もこれまでGrandVJをVJやパフォーマンスにはよく使っていましたが、こういうプロジェクトでVideoMapperを導入するのは初めてで、VideoMapperの扱いやすさに改めて感心しました。


完成した映像は、どのように再生されているのですか?

marimosphere
今回は、VJyouさんと私、そしてUsamiさんという方のリアルタイムで生成されるプログラムの映像をそれぞれ組み込み、時間軸に応じて入れ替え、またインタラクティブに反応させたいという演出上の希望がありました。
そこで、カメラの画像を解析するプログラムによって映像と音が切り替わるような仕組みを独自に開発しています。

VJyou
前を通る人を感知して映像が変化するインスタレーションで、単純なループ再生ではありません。カメラ入力をOSC信号に変換してレイヤーが自動で切り替わる設定はGrandVJで対応できますが、一つ大きな問題があったんです。

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映像出力用PCが展示物に組み込まれており、毎日の起動と終了も全てオートにする必要がありました。ただ、GrandVJ単体では、起動後に「フルスクリーン表示」にする操作が自動化できません。いくつか方法はありますけども、結局今回は別な映像ミックスソフトを使ってインスタレーションを走らせることになりました。


なるほど… そういったオートプレイ的な機能は、これまでにもご意見をいただいてArKaosにリクエストした事があります。悔しいので、再度ArKaosの開発チームにリクエストしておきます。

こういう作品の場合、映像を作っている時のイメージどおりに投影できるものなんですか?

VJyou
もちろん投影される状況を想定して、映像素材の色や明るさを調整しますが、今回のように商業施設の中のオープンな場所となると、予想外の変更は頻繁に発生します。

日中どれくらい明るくなるか、周囲の店舗装飾との関係性はどうか、床材の色、天井の色、様々なパターンを想定していても、最終段階まで調整は必要です。

marimosphere
今回の場合は、舞台となる東急プラザ銀座さん自体のルールやレギュレーションがあって、視認性や安全性なども考慮の上、さらにHINKA RINKAさんの3F~5F各階ごとに設定されたコンセプトやテーマがあるので、全てに調和するよう全体をディレクションするためにそうとう調整が必要でした。

3Fに関しては、当初後ろに吊る予定だった布をなくしたり、ニケの羽の高さをお客様に圧迫感を与えないように2.4m以上の高さにしたり、5Fに関しては、お客様の安全や動線確保を優先して土台のデザインを変更したり、天井の投影面の一部に換気口などの設備がかぶったりして、映像自体のデザインを変更する要素もありました。

こういう変更や調整の多い現場では、フレキシブルに対応できるシステムの構築がかなり大事だなと改めて実感しました。

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限られた時間内で山のような制約をクリアするには、作品を創りあげる際に、たくさんのツールの中から柔軟に、時には贅沢に、必要な機能を組み合わせる発想が必要なんですね。

VJyouさん、marimosphereさん、ありがとうございました!

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この記事をご覧になったみなさんも、ぜひ東急プラザ銀座のインスタレーションアートを体験してみてください。動画や写真では伝わらない3Dプロジェクションマッピングの存在感、昼間と夜ではまた違った印象を受けますよ。

今後もVJyouさんやmarimosphereさんの作品やイベントなど、追いかけていきたいと思います!

 


VJyou
http://vjyou.blogspot.jp/
「いつも歩く道からほんの少し違った世界」をテーマに、日常の風景を加工した素材やプログラミングを駆使したインタラクティブ素材を混ぜた有機的な映像演出を得意とする。
舞台照明やステージ制作の経験を活かした、LiveCinema作品のプロデューサーとしても活動中。


Marimosphere(マリモスフィア) アートディレクター。
神奈川県出身。多摩美術大学デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。
ビジュアルアーティスト/アートディレクターとして、プロジェクションマッピング、メディアアートライブ、シアター作品、展示映像の制作、ゲームやアプリの企画・UIデザインなどを手掛けている。
首都大学東京システムデザイン学部にて非常勤講師として映像制作を教えたほか、映像文化都市宣言を掲げた逗子市にて、PR映像制作、フィルムコミッション・映画祭の立ち上げに携わる。
国立天文台にて科学プロデューサコース・科学映像クリエータコースを共に修了。
現在はデジタルハリウッド大学院にてデジタルコンテンツマネージメントを研究実践する傍ら、 marimosphere名義で、VJやプロジェクションマッピング、インタラクティブメディアアートパフォーマンス、情報の可視化をテーマとしたアプリ 制作など多方面で活動中。森美術館などのミュージアム展示映像の制作やファッション・ウィーク東京の配信・撮影などライブメディアの現場にも関わる。アー トを通じて、共有し体感するコミュニケーションとしての空間と時間を創り出し、人々の心に光をもたらすことを追求している。


ヒンカリンカ エントランス・インスタレーション
【クリエイティブディレクター】 浅田真理(Mira Creative
【マッピング映像制作】 VJyou、marimosphere