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【Xkeyインタビュー】プロデューサー佐藤純之介

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(2014/7/7)

こんにちわ、梅雨の候いかがでしょうか?

本日はアイウィル社のスタジオにお邪魔して、アニソンを中心に年間約300曲以上の制作に携わる音楽プロデューサー佐藤純之介さんにインタビュー!Xkeyをご愛用いただいている佐藤純之介さんにインタビューを行います。

たらま:今日はよろしくおねがいします。
佐藤氏:はい、よろしくお願いします!

プロデューサー 佐藤純之介とは?

たらま:この仕事をされてどのくらいになりますか?

佐藤:
音楽歴でいうと高校生のころからになるんですど、仕事にし始めたのは二十歳ぐらいですね。劇伴や効果音を作る仕事や、芸人さんやグラビアタレントさんが歌を出す時のバックバンドとかをフリーでずっとやっていまして、一度サラリーマンになった後、26歳の時に上京し、27歳で某作曲家の事務所に所属しマネージャーとして業務するようになりまして、マネージャー業務の傍らエンジニアリングのお手伝いでデモテープ制作等をやっていました。

元々、音を作ることが好きだったので「エンジニア業務を もっとやりたい!」と当時所属していた事務所の社長に直談判したら、その3ヶ月後にその事務所がスタジオを立ち上げることになりまして、 現在も乃木坂にあるStudio LoopというProToolsスタジオを立ち上げて、スタジオ設立当日にチーフエンジニアに就任しました。(笑)

たらま:すごい運命ですね(笑)

佐藤:今まではデモ制作段階でプロの方々とプリプロ(*1)をやることをはあったんですけど、突然チーフエンジニアになったんで「これは、大変だ」ということで、特訓に特訓を重ねて、おかげさまでメジャー(レーベル)のアーティストのミックス業務のお仕事をいただけるようになりました。

それから31,2歳ぐらいのときにその会社を退職しまして、現在所属している会社の社長が僕のミックスを気に入っていただいたのと、僕自身が音楽作品全般を取り仕切るプロデューサー志向であることを見抜いておりまして、現在の会社に入社しました。

それから8年間この会社(ランティス)にいます。現在の所属はアイウィルですが、ランティス内部の制作専門の会社がアイウィルですね。
分社化でアイウィルに転籍したことで、他社の仕事も受けることができるようになったので僕自身は多種多様なクライアントからの仕事を楽しんでできています。

※1:本番のレコーディング前に、楽曲の構成やアレンジを確認するための簡易的なレコーディングのこと

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たらま:それでは、業務内容を簡単に教えてください。

佐藤:今は、チーフプロデューサーという立場で作曲/編曲、ミックス/エンジニアリング等の作業をに直接手をくだすことはなく統括をする立場なのですが、 例えばクライアントさんから「こういった曲がこのタイアップで欲しい」と言ったオーダーをいただいて、僕が手塩にかけた若手の作家であったり、有名な作曲 家、作詞家さんに交渉/発注をして、あがってきたデモを精査しながら「ミュージシャンはこの人にしましょう」「アレンジをこうしましょう」「イントロは もっと派手にしましょう」「ギターをもっと歪ませましょう」といった制作のディレクションを行い、実際のミックス時には細部を指示しつつ、全体を見渡す業務ですね。

あまり派手な業務ではないのですが、良いものを作るためには「タイアップ元の作品への理解力」「作詞への理解力」「作曲への理解力」が必要です。僕の場合は声優さんとの仕事が多いのですが、例えば「この声優さんならこのキーがきれいに歌いやすい」「このキーでは無理なメロディ」と いったのがあるので、現場でメロディを直したり、作詞も直したりして、現場でベストな状態に持っていく為に作家さんから一任いただいています。

Fairlight CMI IIIに憧れて、、

たらま:それでは、少し話題を変えて。シンセやMIDI鍵盤を多数所有されているとのことですが、思い出深い機種など教えていただけますか?

佐藤:やっぱり僕の今の代名詞にもなっている Fairlight CMI III(*2)ですね。僕が自分で音楽を作ろう!と思ったきっかけが、今は解散してしまったPSY・Sの松浦雅也さんだったんですけど、FMラジオ雑誌で松浦さんがコラムを連載していて、「Fairlightがあれば、世界中にあるいろいろな音が”楽器”として使える」という記事を読んで、 「未来だ! Fairlight欲しい!」と思ったんですが、1,600万円(笑)、、はさすがに中学生に買えないので、14歳で最初に買ったのがヤマハのTX16Wでした。これは小室哲哉さんが使っていたのが理由です。

※2:豪フェアライト社が1980年に発売したシンセサイザー

たらま:Fairlight CMI IIIはいつごろ手に入れたんですか?

佐藤:昨年、某所から譲っていただきました。現在は2台所有しています。(笑)

たらま:すごい!中高生当時に購入した機材は独学で覚えたんですか?

佐藤:TMネットワークのコピーバンドをやっていて、「いかに本物の音に近づけるか」というこだわりを持って2台のシンセだけでのエディットをやりまくっていたら、結果的にエンジニアリングの勉強になりましたね。

音を作るよりも「音を似せる」ということをやったおかげで、聴音も身に付きました。ただ、やっていく過程で音は近づくんですけど、機材そのものも欲しくなっていきました。(笑)

佐藤純之介がXkeyを選んだ理由

たらま:それではやっとXkeyの話題へ(笑)。Xkeyは発売日に購入されたとうかがっておりますが、本当ですか?

佐藤:はい、そうです。
MIDI鍵盤って今までにもたくさん買ってきたんですが、古くはKurtzweil MIDIBoardだったりRoladのPCシリーズであったりとか、名機と呼ばれるものも所有していたんですが、USB接続のMIDIキーボードになってからは良いものに出会えてなかったんですね。

例えばフェーダー信号が逆転したり、接点の不良があったりで一年も持たないものが多かったんです。耐久性もなく壊れやすい印象でした。最近になって、コンパクトで丈夫なものも出てきたのですが、鍵盤がどうしても小さすぎたり、鍵盤の形が角張り過ぎていて弾いた時にひっかかりがあったりっていうのがあって、しっくりくるものがありませんでした。

多機能なのはいいんですが、シンプルかつ堅牢性が高く、フルサイズ鍵盤でベロシティ付き。という条件で探していたら、Youtubeでトーマス ドルビーの動画を見て「かっこいい!」と思いまして、たらまさんから案内をいただいた時に速攻で予約させていただきました。

たらま:ありがとうございます!

たらま:Xkeyを導入してみて、スタジオワークに変化はありましたか?

佐藤:現場でのメロディ修正、ハーモニー作りをする時にXkeyを使って元のメロディに対して弾き直しをしてみたり、オーバーダブしてみたりというので使っていますね。

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こちらはまだ広い方なのですが、スタジオによってはモニターのコントローラや別のコントローラが置いてあって、鍵盤を手元に置くスペースが確保できなかったりするので、XkeyであればMacのキーボードと同じ大きさですみますね。あと、厚みが無いってのがいいんですよね。

たらま:Xkeyに今後求めるものはありますか?

佐藤:やはり多鍵盤。4オクターブ(49鍵盤)はほしい。
男声であればソからソ+アルファで間に合うんですけど、女声ってドからドなんですよね。下のラから上のレとかミまで使ったりということがあるんですけど、2オクターブだとメロディをカバーできないんですよ。
例えば、3オクターブにするにしても「ミからミ」とか(笑)、見栄えは悪くなりそうですけど。3オクターブにするなら、もう1オクターブ欲しくなります。

4オクターブあれば、和声とベースを両方弾けるので作曲にちょうど良いし、弾き語りも出来ますね(笑)

たらま:折りたたみ式 とかどうです?

佐藤:それはすばらしい!

たらま:筐体がもつか心配ですけど。(笑)

佐藤:2台ジョイント方式もいいですね(笑)

たらま:XKeyのデザインはどう思いますか?

さとう:デザインは最高じゃないですか! 僕はMacを使っているので、アルミボディがMacといいマッチングになります。
あと、USBポートが横から出ているのがいいですね。Macのキーボードでも中央から出ているのって、邪魔になりやすいんですよ。
丸みのあるフロントに対して、後ろがすっきりしているので、Macのキーボードと上下に配置できます。

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普段は自宅の寝室でMacのワイヤレスキーボードやAKAI MPCと一緒においてあるのですが、おさまりちょうど良いです。

たらま:寝室でも作業されるんですか?

佐藤:はい。資料を丁寧に作っておきたいというのがあるので、例えば「メロディが聴き取りやすいデモ」とかを作っておいて、レコーディング本番までに歌い手さんに聴かせておくだけで制作の進行が違いますね。

たらま:なるほど、いつもご愛用いただいてなによりでございます!今回はありがとうございました!

佐藤:ありがとうございました。是非49鍵を、、、。(笑)

たらま:開発にフィードバックします!

<おわり>

佐藤純之介 プロフィール

株式会社Precious tone代表取締役。音楽制作プロデューサー。 1975年大阪生まれ。YMOに憧れ90年代後期よりテレビや演劇の音楽制作の仕事を始め、2001年に上京。レコーディングエンジニアとしてJ-POPの制作に参加した後に、2006年アニソンレーベル株式会社ランティスに入社、2011年ランティスの音楽制作部が独立した株式会社アイウィルに転籍。現在はプロデューサー、ディレクター、エンジニアとして、アニソンを中心に年間約300曲以上の制作に携わる。

たらま

音楽の"タノシイ"と"オモシロイ"ものを求めて、日々奮闘中。 仕事とプライベートの境が家族でもわからないと言われて、早10数年。