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ディリゲントと愉快な仲間たち Vol.2 〜Ploytec Markus Medau氏〜

2013年11月に発売され、話題を呼んでいる超コンパクトなシンセサイザー、
「πλ²(ピーエルスクエアド)」

これ、実際に使用されている方や、製品の情報を小耳に挟んだ方、いったいどんな変人が開発したんだろうか?と疑問に思われているのではないでしょうか?
こんなブッ飛んだアイデアの製品だからこそ、われわれ輸入代理店ディリゲントが、開発者本人の気持ちを正しく日本人ユーザーのみなさんに伝える価値があるというものです。

さっそく開発元のPloytec GmbH(プロイテック)オーナー、Markus Medauさんにメールでインタビューを行いました。

ちなみに、GmbHはドイツ語で有限会社の意味で、ゲーエムベーハーと発音します。
日本と比べると、ドイツでは会社の規模に関係なく有限会社が圧倒的に多く、グローバル企業であっても株式会社(AG/アーゲー)ではなく、有限会社(GmbH)だったりします。

Ploytec GmbH社オーナー Markus Medau氏

【Q1】 Ploytec GmbHについて、簡単に教えてください。

Markus氏

私たちは1999年から、”USB Audio” (*注1)というドライバーソフトの開発/販売を行っていて、そのソフトウェアは当時日本にも流通していました。その当時、日本企業ではヤマハも顧客の一つでした。

そしてよりプロレベルの業務を行う為、2004年に正式な会社としてPloytec GmbHを設立し、同時にUSB2.0オーディオデバイスの開発もスタートしました。

※訳注1
この”USB Audio”は、標準のUSBオーディオデバイスをASIO対応にしてしまう画期的なソフトで、2000年代のDTMユーザーはかなりお世話になったはず。その品質と安定性には定評があり、単品販売だけでなく全世界の有名機材ブランドの製品にもOEM供給されていました。
Ploytec GmbHは、世界中の音響機器/楽器メーカーを、ずっと陰から支え続けているすごい人たちなんです。

【Q2】πλ²開発のきっかけは何ですか?

2012年10月の終わり頃、当時私はTascam US366のファームウェア開発に携わっていて、とても忙しい時期でした。
その甲斐あってUS366は非常にクールな製品になりましたが、私は毎日12時間以上働き続ける自分に対して、何かリフレッシュできる、楽しいプロジェクトを必要としていたんです。

これがπλ²誕生のきっかけでした。
思った通り、最初の一日目からとてもリラックスできる楽しい時間を過ごせましたよ。

【Q3】最初のアイデアから製品発売までは、どれくらいの時間が掛かったんですか?

2013年4月にドイツで行われた展示会Frankfurt MusikMesseにいくつかのプロトタイプを展示したところ、大きな反応がありました。この時に取材された数々のレポート動画は、現在もYoutube上で様々な言語で公開されていますね。

そしてメッセの後すぐに生産に入ったので、発売に至るまでは実質1年というところでしょうか。

矩形波合成方式(Square Wave Synthesis)シンセは何年も前から考えていたアイデアですが、この方式にはまだまだ多くの発見や考えるべき要素があるので、今後もMIDIを使用したファームウェアアップデートで、新たな機能が追加できるでしょう。

【Q4】開発にあたって、苦労話などはありますか?

MIDIから電源を取得する設計だったので、可能な限り多くのMIDIアウトに接続して動作確認をするのが大変でしたね。
全てのハードウェア設計を担当したFelix Forschnerは、MIDI端子で供給された電力からクリーンなオーディオ出力を作るため、非常に高品質なフィルタリング回路を考えてくれましたし、我々の生産パートナーである台湾企業は、スムースな生産工程を手配するべく努力してくれました。
後はいろいろとお役所仕事が面倒でしたけど、これについては文句を言わないようにしておきましょう(笑)

【Q5】πλ²開発の際に、参考にした実在のシンセや理想とするシンセサウンドはありましたか?

特にありません。πλ²自体が、ユニークすぎるシンセですからね。
ウェーブテーブルを持たず、アナログの矩形波が125KHz/8bitのデジタルフィルターを通って、最後にアナログフィルターを通過します。
その結果、出てくる音は時にCommodore 64のSIDチップにも似たクールな電子音で、まさに今ベルリンで流行している音になりました。

ただ、πλ²は異なる二つの方向に使用できます。
まず、πλ²は本当にシリアスな抜けの良いサウンドを作り出すので、その強力なベースサウンド、クールなストリングスをぜひ体感して欲しいですね。
もう一方で、Kelvin Sholarによるデモのように、恐ろしくクレイジーな、しかしあくまでも音楽的な音作りも可能です。

もし「私の好きなシンセは何か」という質問だったなら、私の愛機Access Virusを挙げます。
(ちなみにPloytecはVirusの”Total Integration”のドライバ開発も行いました。)
また、YAMAHA DX1を所有していることにも、誇りを持っていますよ。

【Q6】πλ²の名前の由来は何ですか?

Ploytecという会社名と同じく、古いギリシャ語で冥王星を意味する「πλουτεο (= PLOYTEO)」から来ています。
初期の段階では、会社名も「Ployteo」にするか「Ploytec」にするか悩んで、最終的にPloytecに落ち着きました。
Ploytecが作るSquare wave synthesis(*注2)と言う事で、πλ² になりました。
2004年の時点では、冥王星はまだ惑星だったんですけどね…。

※訳注2
ギリシャ文字でπはP、λはLを表し、Squaredは英語で”二乗”を意味します。

【Q7】πλ²発表後、何度も「なんて読むの?」と聞かれていると思いますが、めんどくさくありませんか?

そんな事はありませんよ。毎回「ピーエルスクエアドです」と答えています。
ただ、πλ²を省略してPL2と書く事は多いです。
特にヨーロッパの人は、あまり拡張文字セットを使用しませんからね。

【Q8】今後、さらなるシリーズ製品を発売する予定はありますか?

今、一年以内を目標に、πλ²とペアで繋げて使用できるような、USBからMIDIへの変換ボックスを検討中です。
まぁ、白にするかグレーにするかが悩みどころですかね(笑)
また、Musik Messe 2014に合わせて、πλ²のファームウェアアップデートを行う予定です。
Waveform #1のPWM1/PWM2機能の改善や、デフォルトMIDIチャンネルの設定、Note Limiting、Fine Tuneなど、いくつかの機能が追加されます。

【Q9】日本のπλ²ファン達に、メッセージをお願いします。

未だに、日本でπλ²が話題になりユーザーが増え続けている事が信じられません。
日本の皆さんからさまざまな反応を聞けるのは、本当にうれしいです。皆さんありがとう!
日本に行ったのは2001年が最後ですが、日本が大好きですし、次にまた日本に行く機会を待ち望んでいます。
最後に私から、ひとつ質問と回答を追加させてください!

【Q10】なぜπλ²のプリセットは、ベースサウンドから始まるのか?

みなさん、ぜひエレピの音の低音部分にπλ²のプリセット#1を足して演奏してみてください。いろいろな種類のエレピに合うはずです。
太くて暖かみのある低域が加わる事で、これまで聞いた事の無い最高のエレピサウンドが手に入りますよ。

いかがでしたでしょうか?

たしかに「πλ²(ピーエルスクエアド)」の開発者はずいぶんと変わった人かも知れませんが、世界の音楽機材業界を支えつつ、真剣にシンセを愛する一人の職人であることがお分かりいただけたと思います。

わざわざ10番目の質問を自分で追加してくるほどの気合いの入りよう。

英文のメールでは、行間から本人のノリノリ感がにじみ出てくる内容だったので、その雰囲気がうまく翻訳できていればよいのですが。

この先も、Medauさんのリフレッシュの材料として、よりブッ飛んだ製品が開発される事を願いましょう!

 

▼製品詳細はコチラ▼

πλ²(ピーエルスクエアド)

4.5cm四方の筐体にオシレーターやフィルターを搭載した、 スーパーコンパクトなシンセサイザー

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