ロックとテクノロジーの融合

ロックとテクノロジーの融合

現在ではロックというジャンルは細分化され、様々なジャンルが生まれてきました。ブルースから発展したと言われているロックですが、決して長いとは言えない歴史の中で、独自の変化・発展を繰り返し、進化してきました。現在ではロックが好きと言っても、なかなか共有しづらいほど、音楽性は多岐にわたります。1960年代に生まれた世界的なバンド、The Beatlesがデビューしたときは「激しい音楽」と形容されたそうです。当時の人たちが、現代のロックを聴いたらどう感じるのでしょうか(笑)。

この進化に大きく貢献した一つとして、テクノロジーの発展が挙げられるかと思います。今でこそギターは楽器の花形ですが、エレキ・ギターが発明されなければ、バンドの中でギターは決して目立ちませんでした。当時のフル・バンドは全て生音のため、ギターの音はトランペットやドラムの音に負けてしまうのです。

そして、シンセサイザーに代表されるような電子楽器が登場し、様々なミュージシャンが自身の音楽に取り込んでいきました。ロック・ミュージシャンも例外ではありません。電子楽器をロックに取り込むことにより、新たなジャンルが生まれ、後世のバンドに多大な影響を与えてきました。

そこで今回は、テクノロジーとロックに注目し、電子音楽を取り込み、新しい道を開拓してきたロック・バンドをご紹介します。彼らは「自分達にしかできないサウンドを作ろう!」「新しい音楽を生み出そう!」という、未開の地へのチャレンジ精神にあふれています。テクノロジーとロックの関係性を全く意識したことがない方も、新たな発見が多くありますので、ぜひご覧ください。

BOOM BOOM SATELLITES

▶ BOOM BOOM SATELLITES
「NINE(QUATTRO Tour Special Movie)」

まずご紹介したいのが、中野雅之さんと川島道行さんから成るユニット、BOOM BOOM SATELLITES! デビュー当初から生演奏と打ち込みの同期を図っており、世界的に高い支持を得ています。

ヨーロッパでデビューということも相まって、デビュー当初から注目度が高かった彼らですが、音楽的に変化が生まれたのが「FULL OF ELEVATING PLEASURES」。映画「アップルシード」の主題歌にもなったDive For Youから感じ取れるように、楽曲がロック寄りに近づきました。そして5thアルバムの「ON」では、さらにロックに近づきます。彼らの代表曲「Kick It Out」は多くのタイアップがつき、音楽にそれほど興味がない方でも、聴いたことがあるのではないでしょうか。

また、FULL OF ELEVATING PLEASURESからプライベート・スタジオを構え、自身で録音・ミックスを行うようになります。レコーディング・エンジニアも賞賛するほどの高いレコーディング技術を要しながら、数々の名盤を生み出し、彼らの最新アルバム(2013年2月6日現在)EMBRACEへと繋がります。EMBRACEは彼ら自身も「特別なアルバム」と語るように、集大成とも呼べるアルバムです。テクノロジーを高い次元で自身の音楽に取り入れ、アルバムにストーリーを生み出し、感情に訴えかける作品に仕上がっています。

テクノロジーとロックを融合しているバンドは数多く存在しますが、テクノロジーを駆使しつつ、感情に訴えかけてくる楽曲を生み出すミュージシャンは少ないと言えるのではないでしょうか。

彼らの最新アルバムEMBRACEは、一人でも多くの方に届いてほしいです。

また、EMBRACEではソフトシンセが多用されており、Rob Papen(ロブパペン) PREDATORも使われているようです。BOOM BOOM SATELLITESファンの方は、PREDATORもチェックしてください。

▶ PREDATOR製品詳細ページ

Ministry

▶ Ministry_Rio Grand Blood Live

続いてご紹介するバンドは、Ministryです。テクノロジーとロック・バンドの関係性を考察するにあたり、避けては通れない音楽ジャンルがインダストリアルだと思います。インダストリアルとは、実験音楽的要素が強いノイズミュージックのジャンルを表しますが、現在ではインダストリアル・ロックを指すときに用いられるようになりました。

打ち込みのリズムにギターを演奏する手法は、テクノロジーが進化した現代では数多くのミュージシャンが行っていますが、この手法を最初に行ったとされるバンドがMinistryです。インダストリアル・ロックの元祖とも呼ばれています。

■ オススメアルバム

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▶ Mind Is a Terrible Thing to Taste

サンプリングやドラムの打ち込みに対し、スラッシュ・メタル色が強いギターリフが融合した楽曲は、過激なサウンドを生み出しました。まさに新しいジャンルが誕生した瞬間でもあり、後のバンドに多大な影響を与えています。

Ministryが誕生していなければ、Atari Teenage Riot、Slipknot、White Zombieなどのサウンドも、今とは違ったサウンドだったかもしれません。

Nine Inch Nails

Ministryが生み出したインダストリアル・ロックを、一気にメジャーに押し上げたバンドがNine Inch Nailsです。

▶ Nine Inch Nails_Wish

インダストリアルというジャンルを世界的に広めることとなった、彼らのセカンド・アルバムである「The Dowanward Spiral」は、打ち込み色が強い楽曲にも関わらず、トレント・レズナー氏(Nine Inch Nailsの中心人物)の世界観が表現され、アルバムは大ヒットを記録します。続く2枚組アルバム「The Fragile」は、Nine Inch Nails渾身の作品となっており、Nine Inch Nailsという存在を不動のものとしました。

Nine Inch Nailsはトレント・レズナー氏のソロ・プロジェクトであり、アルバムごとに作風が大きく変わることも特長です。The Fragileまではインダストリアル色が強い過激なサウンドでしたが、続く4枚目のアルバム「With Teeth」では作風が大きく変わり、ボーカルが中心のポップさが増した作品に仕上がっています。

また、6枚目のアルバム「Ghosts Ⅰ-Ⅳ」ではインストゥルメンツ作品となっており、現時点での最新アルバム「The Slip」(2013年2月6日時点)は、公式ホームページより無料ダウンロードが可能です。現在では、Trent Reznor And Atticus Ross名義で「ソーシャル・ネットワーク」、「ドラゴン・タトゥーの女」のサウンドトラックを制作したりと、常に新しい試みが行われています。

テクノロジーを駆使し、サウンドはもちろんのこと、音楽の新しいあり方まで提示するNine Inch Nails。常に新しい道を探し続けているその姿勢が、人々を引きつけるのかもしれません。

AA=

最後にご紹介するバンドは、AA=(エーエーイコール)。AA=とは、THE MAD CAPSULE MARKETSの頭脳として、世界的に高い評価を得ている上田剛士さんのソロ・プロジェクトです。最近では、映画「ヘルタースケルター」のエンディングテーマも提供し、話題となりました。

▶ AA=(aaequal)「The Klock」× 映画「ヘルタースケルター」
Special edit

上田剛士さんはTHE MAD CAPSULE MARKETSのベーシストとして、デビューを飾ります。結成当初はパンク色が強いサウンドでしたが、6枚目のアルバム「4 PLUGS」からはHIP HOPを取り入れ、日本のミクスチャー・ロックの礎を築きます。続く7枚目のアルバム「DIGIDOGHEADLOCK」では、デジタル・サウンドを大きく取り入れ、THE MAD CAPSULE MARKETSとして、ロックとテクノロジーの融合の観点から見ても非常に重要な作品となりました。

ロックとテクノロジーの融合は、作品を発表するごとに完成度を増していき、ついにTHE MAD CAPSULE MARKETSは世界に飛び出します。日本人で初めて、Ozzfestのメインステージの舞台に立ちました。日本人が世界的なフェスで演奏する姿は、多くの人々に勇気を与えたのではないでしょうか。

THE MAD CAPSULE MARKETSが活動停止後も、上田剛士さんは歩みを止めません。AA=の活動を開始し、現在までに3枚のアルバムを発表しています(2013年2月6日現在)。またAA=以外でも、映画のサントラ制作や楽曲提供、他バンドのプロデュースなど活動は多岐に渡ります。

新しいものを取り入れ、サウンドを常に変化させ、文字通り道を切り開いてきた上田剛士さん。現在は楽曲製作中とのことですが、AA=としての今後の活動が非常に楽しみです。

と、ここまでテクノロジーに深く関わっているロック・バンドをご紹介しました。冒頭でもお伝えしましたが、彼らから感じる共通の思想として「新しいことへの挑戦」ではないでしょうか。

テクノロジーが進化することで、音楽も進化していくことが、理想的な関係かと思います。テクノロジーに依存するのではなく、あくまでテクノロジーを応用する! こうやって、新しい音楽が生まれることを切に願います。

全く新しいテクノロジーAlphaSphere

そして弊社は、全く新しいテクノロジーを日本に取り入れます。

世界リリースが刻々と迫っている、イギリス発の新コンセプトのUSB / MIDIコントローラ「AlphaSphere」!

▶ NAMM Show 2013 Day3 AlphaSphere デモプレイ&メッセージ

上記の動画をご覧いただいて分かるように、既存のコントローラとは全く異なる新しいデバイスです。そのため、このAlphaSphereに秘められた可能性は、全く未開の状態です。今回、ご紹介したテクノロジーの先駆者のように、このAlphaSphereで新しい音楽をぜひ生み出してください。

誰がAlphaSphereの第一人者になるのか、誰がAlphaSphereで新しいジャンルを開拓するのか、それはあなたかもしれません!