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Rob Papen 独占インタビュー!

Rob Papen

Rob Papenはどんな人物なのか、そのソフトウェア・インストゥルメントはどんな可能性を秘めているのか。リリースが近づいている今、Rob Papenのことを知りたい方がたくさんいらっしゃると思います。そこでディリゲントは、オランダで制作に励むRob Papenを直撃。彼自身の生い立ちから音楽や制作への興味、インストゥルメントの活用方法までをじっくりとインタビューしてきました。Rob Papenから日本の皆さんへのメッセージもあります!

■ サウンドとインスピレーションにあふれる素晴らしい世界を描く – Rob Papen

– まずはRob Papenさん自身のことをお聞かせください。初めて興味を惹かれたアーティストは誰ですか?

初めてシンセサイザーを聴いたのは、Giorgio MoroderとDonna Summerの曲でした。ですが、本当にシンセサイザーが好きになったのは、 Jean Michel Jarreと彼のヒット曲「Oxygen」です。

– どの音楽ジャンルを好んで聴いていましたか? 今は特にどんなジャンルが好きですか?

Jean Michel Jarreを初めて聴いたのは12歳の頃だったと思います。その少し後にKraftwerk、Klaus Schulze、Tangerine Dreamと出会いました。私の父は常に素晴らしい音楽を家でかけていましたので、70年代のソウル・ミュージックも多く聴きました。私の好みは多岐にわたっています。クラシック音楽を聴くこともありますし、バッハはもちろんのことです。ですが、ポップ・ミュージックもよく聴きます。ダンス・ミュージックはダンスフロアで聴きたいですね。

最近のベスト・アルバムは Keaneの「Hopes and Fears」ですね。このアルバムは最初から最後まで素晴らしいです。あとはColdplay、Snow Patrol、Paul Kalkbrennerなど多くのダンス音楽のプロデューサーですね。そのため、シンセサイザー音楽だけでなく、ダンス・ミュージックも聴きます。ストーリー性のある曲が好きですね。

– 音楽制作に出会った、もしくは音楽制作をしたいと思ったきっかけは何ですか?

15歳の頃、オルガンとKORG MS-20、SQ-10を使って初めてライブ・パフォーマンスを行いました。もちろん、かなり制限された状況下での演奏でしたけどね。でも、あれが初めての経験でした。

他にも2人のシンセ・プレイヤーと出会い、一緒にPERU(NOVA)というバンドを結成し、いくつかレコードも作りました。1982年にオランダでAuroraという曲がナンバー1ヒットを遂げ、そして1988年に「Africa」という曲でオーストリアでナンバー1ヒットになったこともあります。当時私たちは、オランダでの最初のエレクトロニック・ミュージック・バンドでした。アーティストは発信するだけで、こういうことにつながるものです。音楽は情熱で、創造によりかき立てられるものなのです。

– これまでどのような活動をされてきましたか?

PERU(NOVA)では、アルバムを複数作り(確か12枚だったと思います)、他のアーティストもプロデュースしました。現在は音楽を作る時間がない状況で、私の前回のアルバムは2004年のものです。ですが、いつの日かまた新しいアルバムを作ろうと思っています。

– なぜソフトシンセやエフェクトを開発しようと思ったのですか?

studio

これは典型的な成り行きといった感じでしょうか。バンドをやっていて、特にシンセサイザー音楽を作っている場合はそうです。作ったサウンドがまたバンドのサウンドになる。私たちはバンドのためだけに全てのサウンドとプリセットを作りためてきました。

90年代始めに、私は Waldorf Microwaveシンセサイザーを聴きました。これはPPGの19インチバージョンのものです。でもファクトリー・プリセットが思っていたほど良いものではなかった。そのため、彼らに連絡して、最初のサウンドセットが出来上がった。 Waldorf Microwaveのための「シグネチャ・カード」です。

その後、他にも2つのカードが出来て、それらはとても人気がありました。次のプロジェクトでは、 Ensonique ASR-10のサウンドセットを作り、その後にE-muのためのサウンドを作りました。例えば E-mu Orbit-3などです。もちろん、本当に初めのころは、Virusのためにファクトリー・パッチも多くやっていました。RPの最初のサウンドです。

コンピュータのCPUパワーが増加するにしたがい、私が求めていた機能を搭載する独自のシンセサイザーを作るアイデアが浮かんできました。ブランドや彼らのアイデアによらないものを作りたかったのです。今はJon Ayresとチームを作り、一緒にプラグインを作っています。機能のアイデアを私が作り、プリセットを作る仕事も数多く行っています。Jon Ayresがコード作りを行い、私のシンセサイザーとエフェクトのアイデアが実現されていくのです。

– 開発で意識していることは何ですか?

音楽的であり、良いサウンドで新しいアイデアが多くつまったものにしたいと常に考えています。私は常に新しい方向性を模索しています。例えば、BLADEがそうです。ですが、いつも気にかけているのは、音楽制作に使えるもので、最高品質のサウンドです。

– 製品の開発にアーティストの意見は反映されていますか?

そうでもありません。ですが、もちろんアーティストから意見をもらい、これを非常に大事にしています。彼らの要求はたいてい、より良いワークフローにしてほしいとか、良いプリセットが欲しいといったものです。多くのアーティストは時間がないので、良いプリセットがあるのは彼らにとって役に立つことが多いようです。プリセットがあまりしっくりこなくても、ワークフローが良ければ、最適なものが簡単に見つかります。

トップ・プロデューサーの中には、ビックネームの方々もいます。彼らが気に入ってくれる理由は、私のプリセットが彼らのトラックに良く合うからです。これらは非常にシンプルなものが多いのですが、楽曲に良く合うのです。最終的には楽曲に合うかどうかということが一番重要なことですね。

– Rob Papen 製品に共通の「根ざしているもの」は何ですか?

ミュージシャンやアーティストに役立つ素晴らしいサウンドのプラグインであることです。

– 他メーカーにはないRob Papenだけの特色は何ですか?

アーティストに与えるインスピレーションですね。サウンドをプレイすることで、新しい楽曲制作のインスピレーションを受けている……そういった意見をよく聞きますね。もちろん、嬉しいことです。

– Rob Papen 製品を手にしたユーザーさんはどんな世界を描けますか?

サウンドとインスピレーションにあふれる素晴らしい世界です。ユーザーさんの中には眠れなくなる人もいるでしょう。一旦インストゥルメントをプレイしたら、やめられなくなりますからね。

– Rob Papen 製品をどう使ってもらいたいですか? 具体的な制作テクニックもあったらぜひ教えてください。

一番良いのは、しばらくの間、1つのインストゥルメントをいじって遊んでみることです。そうすると、そのインストゥルメントの実力がわかるでしょう。それがわかれば、それを楽曲に使うようになります。そのときが、そのインストゥルメントが必要になる時期です。

SubBoobBass

音楽制作をしている間、エフェクトには注意してください。ドライなサウンドの方が、エフェクトを多くかけるよりも良い場合があります。少なくすることで、多くを得ることになるのです。例えばSubBoomBassで、どのくらいのプリセットが完全にドライなサウンドになっているか確認してみてください。こうしたベースはトラック上で目立った働きをします!

いつもコントラストをつけてみるのが好きです。例えば「モノ・ドライ・シンセ・ベース」に良いステレオ・パッド・サウンドを加えてみるといった感じです。「ステレオ・パッド・サウンド」は「モノ・ベース」があることで、よりステレオ感のあるサウンドになるのです。

– 日本のミュージックシーンはどう感じますか?

もちろん以前から「Yellow Magic Orchestra」は知っていました。日本では音楽の水準が非常に高いという印象があります。言語の違いのために、ヨーロッパではあまり聴くことがないため、残念なことです。ですが、日本ではトップ・プロデューサーの方々が精力的に活動を行っています。彼らの緻密さが私は好きです。

– 日本のアーティストで好きな方はいますか?

まだあまり日本の音楽を聴いたことはありませんが、浜崎あゆみは知っています。曲の緻密さが好きです。ですが、この緻密さは日本では当たり前のことのようですね。

– 今後の開発予定の製品について、ちょっとだけ教えてもらえますか?

BLADE

私たちは流れの中で、常に創意にあふれた仕事をしています。BLADEのアイデアはジョギングをしている最中に浮かんできました。シンセサイザーのパーツをコントロールすることで、人間味あふれるものができないかと思って作ったシンセです。

計画は数多くありますが、まずは長年やってきたプロジェクトをこなしていかなければなりません。それは、減算シンセシスを学ぶためのトレーニングであったり、DVDの付いた本であったりもします。夏以降にこれをリリースできればいいですね。

– 今はどんな毎日を過ごしていますか?

ほとんどの時間を私はスタジオでの製品開発、あるいは新しいサウンドの作成に費やしています。私はこれを行うのが大好きなのです。

– Rob Papenを待っていた日本のみなさんにメッセージを!