アナクロ母さんの 「インタビュー百人斬り」 – vol.2 -【DJ MiCLさん】<後編>

アナクロ母さんの

(2014/03/03)

こんにちは。「はぐれデジタル道」のWeb Yです。
今回のアナクロ母さんの “インタビュー百人斬り” は、多岐に渡り活躍の場を展開している DJ MiCL(マイケル)さんをお迎えしたインタビュー後編をお届けいたします。

“インタビュー百人斬り” – vol.2 -を【DJ MiCLさん】前編はこちら

実は、Web YとMiCLさんは同じ年。
ダンス甲子園やメロコア、高校生時代の居酒屋事情などなど、お酒片手に懐かしい同級生ネタ(インタビューでは省略w)で盛り上がる楽しいインタビューとなりました。
どうぞお楽しみください。

盛り上がれば盛り上がるほど、DJが無視されるみたいな。(笑) でも、
そういう仕事がカッコいいなと。

Web Y:世の中には、DMC(DJ技術を競う大会)に出るような技術を磨くDJさんもいるじゃないですか?
MiCLさんはそういうプレイには興味はないのでしょうか?

DJ MiCL

DJ MiCLさん(以下、DJ MiCL):よく控えめに「僕は曲を選ぶだけのセレクターだ」というDJがいるんですが、僕はそうではなくて、「この曲の後に、このタイミングでこの曲がこういう風に入って来たら気持ち良いんじゃないだろうか」ということを常に考えているので、これでさらにスクラッチもできれば、総合力的には良いスキルのあるDJになれるのだろうと、薄々気づいてはいるんですが、当然スクラッチをやるなら、ちょっとだけできる程度はイヤで。
上手にやりたいという思いがあったんです。
そこに労力や時間をさく情熱はないなと。

Web Y:DJさんにも色々なジャンルがありますもんね。

DJ MiCL:コンテスト志向の強いDJは、アーティスト志向に近いというか、ロックスターのようになりたいって人が多いんですよね。
僕の場合、DJに憧れたのは木村コウさんの影響が強いんですけど、木村コウさんのDJが盛り上がっている時って、お客さんがDJを観て「わぁ、神様をみた!」っていうよりも、お客さん同士で「今日楽しいね!」って。
極端に言えば、盛り上がれば盛り上がるほど、DJが無視されるみたいな。(笑)その様子を見て、こういう仕事格好良いなと思ったのが、そもそもあるので。ある意味、水商売のDJ屋さんなんだ、とへりくだった言い方をする人もいるけど、僕の中のDJ像はそれに近いんです。

Web Y:いまからDJになりたいと思う若い人は、よりやりやすい機材を選ぶと思うんです。MiCLさんとしては、もっとDJ足るもの、根本的なトコロから学んで欲しいんですよね?w

DJ MiCL:(笑)、、、。自然と若い子がやりやすい機材を選ぶと言うよりは、経済的なことも当然関係してると思うんですよね。
昔はDJを始めるには、ターンテーブル2台とDJミキサーを買うしかなかったからね。
安いDJミキサーを買ったとしても15万。15万円以下でDJを始めたいとなった時に、今当時のターンテーブルと同じ意味合いでの業務用機種っていうと、CDJ2000になるわけで、それを2台とDJミキサーを買おうとすると、30万円はかかってしまう。
経済的な理由でオールインワンコントローラーが選ばれている時代だとは思っているんです。
マーケティングに力入れてる企業の製品で、もっと安く「オールインワンじゃないけど、こういうソリューションがありますよ。トップDJも使っているソリューションですよ。」と宣伝されているものが無いんじゃないかと。
いまだからこそメーカーさんに言いたいのは、今、エクスターナルでビギナーでも使えるけど、プロDJも欲しがるようなソリューションを開発した会社がダントツ馬鹿売れすると、僕は思ってるんですよ。
なんで誰も作んないんだろう?!(笑)

今はダンスミュージック以外のジャンルにもDJの面白さが受け入れられている時代

DJ MiCL:僕がオールインワンコントローラーの登場でDJ産業にプラスになったと思うことは、例えば今までアニソンが好きで曲をつなげてメガミックスなんかを作っていた人が、「待てよ、これDJ機材でもできるんじゃね?!」ってなったコト。
ハウスとかテクノとかいわゆるダンスミュージックではないジャンルが好きな人達にとっても、「DJって面白いよね!」という時代になったのは、すごく良いことだと思うのね。
気軽に取り入れることができるから、それこそおじいちゃんが演歌でDJやっても良いと思うし。

裾野が広がって良いなとは思っています。
ただ、なかなか世知辛いもので、3万円くらいのDJコントローラーを持ってDJブースに現れたら、一発でまわりのDJ達は「あ、こいつやる気無いんだな」って見られちゃうんだよね。

Web Y:そ、それは、切ない、、、。

DJ MiCL:でも、それが耐えられる人なら、きっと伸びて行けると思うんです。
「おまえ、俺のプレー見て吠え面かくなよ。」という強いココロの持ち主なら、それで良いと思うんですけど。

まぁ、大概の人はその視線を食らった瞬間に折れちゃう。
迎合はしたくないけど、馬鹿にされたくないから、ipadにしよう!とかね(笑)
「ん?!あれなんだよ?!すげーハイテクなことやってんじゃん!」みたいにね。

Web Y:なるほど。ある意味、超えてっちゃうわけですねw

DJ MiCL:18年DJやっている僕でも、体裁は気になりますからね。
そういう意味では、今後業界がどう動いて行くかがすごく気になります。
ホントはクラブにDJミキサーだけがあって、テーブルがまっさらになってて、色んな人がコントローラーを好きに置いて、長いケーブルさえ買えば、何人もの人が順々にDJできるようになっても良いと思うんだけど、なかなかそうならない。
ミキサーの両脇にはCDかレコードがあって、その外の枠がコントローラー様の席という。でも、DJ機器メーカーがこぞって売ろうとしているものがコントローラーという、このギャップ。

若いDJ志望者が夜遊びの現場に来れる仕組みを作ってあげて欲しい。

Web Y:どうなるんでしょうね~?DJ産業、、、。

DJ MiCL:どうなるんでしょうね~?DJ産業、、、。
ただ、クラブ産業自体が下火なのがそもそもの原因なんじゃないかと。

Web Y:そうなんですよね。中学校では必須科目になっているヒップホップダンス。なのに風営法は改訂されない。そのあたりはどう考えてますか?

DJ MiCL: 、、あれはですね、、、。
陰謀論で言うと、ヒップホップダンスを必修科目にすることによって、若い人にヒップホップダンスはダサイものなんだという認識を植え付けようとしているという。だって、二十歳になって、みんなで飲みに行った後に、「おい、ちょっと器械体操やりに行こうぜ!」とはならないでしょ?

ってのはまぁそれはさておき。
風営法に関しては一筋縄では行かないことが色々あると思うんですけど、その前に今のクラブ自体の盛り上がって無さにはハンパない感があるんですよね。
90年代のクラブには、流行ってるお店があって、そのお店でDJがしたいから若手のDJはスキルを磨いてミックステープを作って、お店の経営者や先輩DJにアプローチして認めてもらえれば18歳の若手でも、もともと人が沢山いる場でプレーするチャンスをもらえてた。

今は極端な話、100人の前でDJがしたかったら、自分が100人集客しなくちゃならない時代。

これ、バンドをやっている人達は昔から直面していたことだと思うんですけど、DJってのは良い時代があったんですよね。
その背景には風営法のこともあると思うんですけど、警察の取り締まりが厳しくなることによって、そもそも18、9歳の子達が遊びに来れなくなった。
彼らが夜遊びの現場に来れる仕組みを作ってあげて欲しい。

Web Y:最後に、今後やってみたい「DJ+◯◯」のような新たな展開ってありますか?

DJ MiCL:プロジェクションマッピングは面白いなぁと思います。
DJに絡めるというよりは、DJをやる場としてマッピングが売りになるスペースを作って行くプロジェクトがあれば参加したいし、立ち上げたいと思っています。
店内の照明を全てプロジェクションマッピングにしてみたり。
プロジェクションマッピングは、2、3日のイベントにしては、かなり高額のものになるけど、長期間、例えば半年間同じ場所でやり続けるとしたら、リピーターも来てくれると思うし、長期間ならではの規模のものができると思います。

Web Y:長い時間、本当にありがとうございました。

DJ MiCL:ありがとうございます。

今宵も、奥深いDJの世界に乾杯〜♪

<終わり>

   

MiCL

DJ MiCL
1977年生まれ。映像プロデューサー。株式会社ムービーアーツ代表取締役。95年よりDJを開始。雑誌『GROOVE』で連載を持つなど、クラブ・ミュージックシーンでも活動中。DJ関連の映像作品としてはDVD『DJファーストミックス』(東北新社)の企画・制作など。近年はチュートリアル・ビデオ『Pump Up the DJ』シリーズの制作やワークショップの開催など、デジタルDJカルチャーの発展に力を注ぐ。

MixCloud / cuepoint.jp

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営業事務・ロジ担当。
デジタルチックなもの全般に苦手意識あり。BEATMIXに出会い、DJの世界にも少しずつ興味を持ちはじめる。製品の在庫状況につきましてはお任せください!

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