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パパDJ〜第7話「DJへの道・・・始動!」

パパDJ第7話 バナー

 暖簾をくぐると店内はたばこのせいで霞がかっていた。仕事帰りのサラリーマンですでにいっぱいだ。カウンター越しにいるいつものおやっさんが「いらっしゃい! まいど!」と威勢よく出迎えてくれた。

「おやっさん! 2階は空いている?」
「おうおう、どうぞどうぞ! お~い、2名さん上がるよ~!」

 入ってすぐの脇にある急な階段を上り禁煙席をリクエストした。幸い、この店では禁煙席は人気がなくすぐ案内された。席に着くなり「とりあえず生2つ」とオーダーをする。昔ながらの手書きのメニューと壁にかかっている黒板になぐり書きされた本日のおすすめなどを見ながら、とりあえずビールが来るのを待つ。

 中ジョッキになみなみと注がれたビールが運ばれてきた。

「お待たせしました、生中2杯です」

 ドン、ドン、とテーブルに無造作に置かれたビールの取っ手を掴み、

「まずはお疲れ様、乾杯!」
「お疲れ様っす!」

 どう話を切り出すか、あれこれ考えていたが、正直に今の気持ちを照屋に話してみよう。

「今日は悪かったな、突然の誘いで」
「いえいえ、大丈夫っすよ。ところで、栗生さんDJに興味あるってどういうことですか? 最近は、結構DJもいろいろなスタイルというか、楽しみ方も進化しているっていうんですかね、女子にも人気になっているんすよ」
「へえ~、実は話すと長くなるんだけど、話さないと分からないと思うから話すけど・・・」
「・・・っあ、結局は話すっていうことっすよね」

 まだまだ後ろめたさや照れがあるのであろうか。

「回りくどくてすまんすまん。実は、最近家庭的に結構末期状況というか、父親の威厳というやつが随分と下降しちゃっていてさ、こうなんていうのかな、かっこいいところを見せたいというか、いままで見ていた姿と全く違う自分を披露したいというか、そんなことをぼんやり考えていてね」
「そんなことないじゃないですか。十分栗生さんは威厳を保っているでしょう」
「いやいや、なかなかそんなうまくいかないんだよね。ほら、やっぱさ、第二次ベビーブーマー世代、団塊ジュニア世代の男って仕事優先というか、もっと下の年代とかはさ、イクメンとかいって家事とか子育てとかさ、手伝うのが普通というか、ファッション的な感じでかっこいいという風潮があるじゃない?」
「そうっすね、自分の友人もみんなかなり子育てがんばっていますよ」

 照屋が頷きながら、ジョッキを傾ける。

「そうなんだよ、さらに子どもの友達のお父さんとかも、結構子育て協力パパみたいにやっちゃっているんで、余計、子育てをしないオレが、妻から見ると目立っちゃうんだよね」
「なかなか、複雑な背景があるんですね」

 照屋はなんとなくだが、私の置かれている状況は理解してくれているようだ。

「それでそんな育児しない父親は父親じゃないといった空気が家庭内でつくられると、これは子供にも伝搬しちゃったりして、悪循環というか、威厳が日に日に落ちていくというサイクルになるといった状況になっているんだよ」

 続く・・・


投稿者:Sales K

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