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パパDJ〜第3話「夢がリアルに動き出す」

パパDJ第3話

 電車に揺られること、30分。ようやく会社のある駅に到着した。どっと乗客がホームになだれ込む中の一粒の存在として、私も電車から吐き出された。しかし、電車に乗ったときの私と降りたときの私の心境は天と地ほどの違いがあった。駅から会社への道のりもいつもの光景と違って見える。気持ち足取りも軽やかだ。体は酒に毒され、だるさは否めないが、気分は明るい。

 会社までの道のりで、携帯電話を片手に「DJ」と検索している自分がいた。DJに関連するサイトを見ようとボタンをクリックしたとき、後ろから背中を叩かれた。

「おはようございます、栗生さん」
「お、おはよう。な、なんだ、照屋か?」

 リュックを背負った後輩の照屋が横に並んだ。

「栗生さん、二日酔いっすか?」
「分かる? 昨日は、飲み過ぎちゃってさ・・・酒臭いかな?」
「結構、臭いますよ。営業とか大丈夫ですか?」
「いやいや、これからフリスクひと箱食べるところだよ」
「マジっすか・・・そういえば何を調べていたんですか?」
「あ、ああ~。ちょっとね。まあ、二日酔いに効く薬っていったところかな!」

 年甲斐もなく「DJをやろうかな?」とも言えず、照屋に対してははぐらかした。

「栗生さん、昨日クラブで久々にライヴやったんですけど、結構熱く盛り上がったっすよ」
「へぇ~! 照屋ってバンドとかやるの?」
「バンドじゃないっすよ。DJですけど」
「っえ?! DJやってるの?」
「ええ、まあ。っていうか、知らなかったんですか? 結構、オレがDJやってるって有名っすよ。社内でも」
「す、すまん。全然知らなかった。そうかあ~。DJをやっているのか、ほんとすげえなあ~・・・」

 今朝見た夢とDJがリンクし、思わず言葉を漏らしてしまった。

パパDJ イメージ

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。何をいまさら、そんな驚かれたり褒められても何もでないっすよ」
「でも、あれだろ。結構DJって昔友達もやっていたけど、レコード回すさ、なんだっけ?」
「ターンテーブルっすね」
「そうそう、あと真ん中で指をチョコチョコ動かす機械とか、スピーカーとか、維持も大変なんだろ?」

「栗生さん・・・いつの話をしているんすか? 古いっすよ。古い。今はパソコンの時代っすよ」
「パソコンの時代? DJが・・・どういうこと?」

 話が盛り上がってきたところであったが、生憎会社が入居しているビルの前に到着してしまった。いろいろ聞き出そうとしたけど、タイムアウト。

「会社に着いちゃいましたね。栗生さん、何か食いつきいいんですけど、もし興味があるなら今晩でもいっぱいやりながらどうですか?」

 照屋が右手でおちょこを作る。

「いや、ゴメン。今日はさすがにきついんでね。でも、なんか、意外な一面が見れて、朝から刺激的だったよ。実は、ちょっとさ、今DJにめちゃくちゃ興味があってね。こんな話になるとは思わなかったよ、ほんとに。ちょっと自分で調べてみたいってのもあるんで、また、DJについて教えてもらえるかな?」
「もちろんっすよ。遠慮しないでくださいね。オレの特技ですし、なんか栗生さんが興味あるってこと自体意外なんで・・・。じゃあ、またその気になったら連絡ください」
「ああ、朝からありがとう。また連絡するよ」

 照屋はマーケティング部なのでフロアは1階上。私は営業部所属。1階にある自動販売機でブラックの缶コーヒーを買おうと、照屋とはエレベーターホールで分かれた。今日は、来週に控える重要な商談の準備に取り掛かるため、チームミーティングを行う日。長い会議になるだろうが、眠気との戦いになりそうだ。

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投稿者:Sales K


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