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u-heのイカしたサウンドを曲作りに活かす vol.8

今回は、リズムトラックに対してシンセパートをどのようにアレンジしていくかについてプロセス順に解説していきましょう。

今回のデモトラックを再生しているDAWのメイン画面(使用DAWはBitwig Studio 3.2.7)。

リズムトラックのアイディアにどのように上モノを載せるか?

今回は参考例のようなBitwig Studioで作成したリズムトラックのアイディアに対して、ここからどのようなアレンジにするかを考えていきました。

元となるリズムトラックはBitwig Studioで作成し、各パートのフレーズも本体に収録されているループフレーズを使用している。

このトラックは、シンプルなドラムとファンク風フレーズのベースにボンゴとコンガのパーカッションという編成ですが、既にリズム隊だけで曲の雰囲気が出来上がっています。この雰囲気を活かすためには、白玉コード的な和音で埋めるのは少々惜しいので、少ない音数でコード感を出せるようなアプローチでアレンジすることにしました。

そこで、まず作成したのがHive 2を使用して、ギターのミュート音やストリングスのピチカート奏法のようなプラック系の音色(プリセット:AZ Clean SuperPluck)でアルペジオのフレーズを加えました。

ここで使用しているHive 2の音色を表示した状態。
プラック系シンセのパートはこのように打ち込まれている。

オーソドックスな方法ですが、空間を埋め過ぎず、和声的な響きを感じさせることができるため、参考例のようなトラックの上モノパートを作成したい場合には試してみると良いでしょう。

リズムトラックにプラック系のアルペジオを加えたのが、デモサウンドです。

冒頭のデモトラックにプラック系シンセのアルペジオのパートを追加した状態。

ここでは曲完成後のミックスまでの仮設定ということでプリセットのままの状態で使用し、リバーブなどのエフェクトもシンセ本体の設定をそのまま使用しています。

この上モノパートを加えただけでもコード感が出てきますが、この後どうするかを次回に解説したいと思います。

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。