Spireでゼロからのサウンドメイク vol.31

Spireでゼロからのサウンドメイク vol.31

シンセの音色を作成している時には、自分がイメージした音色になるように作っていきますが、実際にオケに混ざった時に聴こえ方が違ったり、今一つしっくりこないことなども多々あると思います。

今回はシンセヒット系の音色作りと共に、オケの中で使用した際のサウンド調整などについて解説していきましょう。

今回作成した音色のメイン画面

<デモサウンド>

今回作成した音色のデモサウンドです。最初の8小節は、今回作成した音色トラックのみ、9小節以降からオケが入ります。作成した音色が単体での響き方とオケに入った時の聴こえ方に着目してチェックしてみてください。

シンセヒット系音色作りのポイント

いわゆる“オーケストラヒット”と呼ばれる音色のように、ヒット系音色は強いアタック感とインパクトあるサウンドをどのように作り出すかがポイントとなります。

実際にはエンベロープを打楽器的な立ち上がりが速い音に設定し、必要に応じて余韻をつけることと、高域から低域まで広いレンジ感を持ったサウンドになるようにオシレータのオクターブレンジを調整することなどが挙げられます。

また、今回の作成例では使用していませんが、オシレータモードのFMモードを適宜活用するのも良いでしょう。FM変調の得意とするパーカッシブなサウンドはアタック感を出すのに適していますので、出したいサウンドによってはとても効果的です。

オシレータセクションの設定ポイント

それではオシレータセクションから見ていきましょう。

4基のオシレータは全てクラシックモードを使用して、下図のような状態に設定しています。

上から順にそれぞれ、オシレータ1、オシレータ2、オシレータ3、オシレータ4の設定状態となる。

クラシックモードでは、オーソドックスなノコギリ波や矩形波だけでなく、Ctrl Aのパラメータを変化させるとノコギリ波と矩形波の中間的な波形を得られるため、オシレータ1と2は丁度波形の比率が1:1の状態に設定し、オシレータ3と4のノコギリ波と組み合わせています。

今回の音色では、波形設定だけでなくデチューン設定やオクターブレンジの設定行なっていますが、特にオクターブレンジの設定がポイントとなっています。

それぞれの設定値は、

  • オシレータ1:-1
  • オシレータ2:0
  • オシレータ3と4:+1

です。

このように設定することで全体が2オクターブの開きとなり、レンジの広いサウンドを出すことができます。この設定をベースにLFOやマトリックス機能を使用して変調させています(詳細は後述)。

ちなみにユニゾン機能は今回使用していませんが、これにはワケがあります。

ユニゾンでデチューンするボイス数を増やすと音の厚みが増すだけでなく音の輪郭も滲むので、設定によってはアタック感も甘い感じになる場合があります。音のアタック感を活かした音色を作成する場合には、音色自体の芯がハッキリと感じられるように調整していくと良いでしょう。

<音色データ>

今回作成してるサウンドのプリセット・データ(音色データ)です。
以下のリンクをクリックしてダウンロードされる「VintageSynthHit1.spf_.zip」ファイルを解凍後、現れた「Vintage Synth Hit 1.spf」ファイルを、SpireのLoad Presetから読み込みます。

Spire

ポリフォニック・シンセサイザー

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに参加の他、バンド「島へ行くボート」で活動中。黎明期からMIDIやDTMとの関わりは長く、音楽制作系のライターとしても広く知られており、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。